- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006002473
作品紹介・あらすじ
見た目はかなり違っても、パンとクラッカーのレシピの違いは大さじ一杯のイーストだけ。似たところなど何ひとつなさそうな言語どうしも、実はレシピがほんの一カ所違うだけかもしれない。言語学は、日本語や英語、アメリカ先住民の言語など、あらゆる言語の多様性の本質に迫りつつある。多様性と普遍性の矛盾を解くカギはパラメータだ。
感想・レビュー・書評
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生成文法(理論言語学)って何やってんの?というのを一般の人向けにもわかりやすく書いた本。
記述系の自分にも十分楽しめた。
幅広い分野にわたる言語学者がみなこういうことをやってると思われても困るのだが、
(うえで「生成文法(理論言語学)」と書いたけど、そこからも異論はありそう)
言語学の一分野ではこういうこともやってるんだぞ、ということを伝えるものとしては読みやすくてよいと思う。
とかく理論言語学、生成文法には批判的な人もいるけれど、
食わず嫌いな方はこれを一通り読むだけで「余計な」批判はしなくて済みそう。
言語の多様性は、それだけで魅力的だけれど、
その言語を分析する切り込み方、視点の多様性も、
言語の魅力のひとつかなぁと。
惜しむらくは、やはり原書が英語話者向けなので、
訳者後書きにもある「いわれのない」英語中心主義の謗りを払拭しきれない感がある。
(もちろん、ちゃんと読み込めば、そんな批判はできないけれど)
例えば、日本語話者向けに同程度の読みやすさ、わかりやすさ、内容をそなえた本を、誰かが書いてくれないかなぁ。
訳文中の「多総合的」(polysynthesis/-tic)は「複統合的」「複総合的」という訳の方が一般的の由。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1341円購入2012-01-19
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著者はモホーク語などを研究する言語学者。本書は、生成文法において言語の多様性がどのようにとらえられるのかを紹介しています。限られた数のパラメターでさまざまな言語の違いが説明できることにワクワクしてください。
(選定年度:2016~) -
単なる比較言語学と違うのは、似ている言語を比較して共通の祖先を見つけるだけでなく、あらゆる言語を対象として言語自体が持つ普遍性を明らかにしようとするところにある。
どんな言語も文法規則を持ち、その文法規則の差異(例えば目的語が動詞の前にくるか後にくるか)をここではパラメータと呼ぶ。それこそがその言語を構成する原子なのである。構成物が原子の組み合わせによって説明されるが如く、あらゆる言語はこのパラメータの組み合わせによって説明することができる。
やっていることも語り口も難解ではないのでとっつきやすい。日本語と英語だけという人よりも、何らかの第二外国語を勉強している方が理解し易いと思う。 -
生成文法絡みの本は得てして難解なのが多いのが、「イーストを大さじ一杯加えるだけで、パンのレシピはクラッカーになる」といった身近な例や比較例として日本語が多用されることもあり、この手の中では読み易いと言える本。言語の最小要素は単語ではなく「パラメータ」と呼ばれる文法規則の要素であり、それを元素の周期表の様に法則性を持った上で提示できれば言語の多様性とそのパターンを網羅できるという主張はかなり興味深く、またパラメータ分岐の深さと幼児期における文法能力の取得時期が対応しているという事実には驚かさせられた。
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オビには「日本語も英語もナバホ語もほとんど同じ」と書いてありますが、ボクの印象としては主要部方向性パラメータからすれば、日本人が英語をマスターできない原因がここにあったような思いがします。二分された一方に日本人はいる・・・という不幸があるようです。
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単行本で既読。