- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006002978
作品紹介・あらすじ
田中正造の没後百年にあたる今、正造の思想の先駆性と生命力に新たな関心が集まっている。とりわけ「真の文明ハ山を荒さず、川を荒さず、村を破らず、人を殺さゞるべし」という言葉に象徴されるその文明観の射程に、三・一一を経て関心が寄せられている。近代日本に根底的な問いをぶつけ格闘し続けた生涯から、私たちは何を学ぶべきか。本書は、正造研究の第一人者が稀有な思想家の全体像を描き、とりわけ正造の思想史的な意義を丁寧に読み解く。
感想・レビュー・書評
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田中正造の思想史。
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少し前、話題になった田中正造という人はどういう人なんだろうか?とふと手に取った本。
言うまでもなく足尾銅山鉱毒事件で被害地となった谷中村に住み、
経営主である古河(現、古河機械金属株式会社)や時の政府と、住民とともに闘った人。
天皇への直訴でも有名。だが、天皇直訴のみが注目されていて、彼の思想は現在は語られるのは少ないのではないだろうか。この本は「直訴」にはほとんど重きをおいておらず、彼の思想を体系立てて紹介している。
彼の思想・言葉は3.11以降の日本においても十分示唆に富んでいる。 -
没後100年に当たるらしい。
1991年の東京新聞に「尾引く『足尾問題』今も微量の銅流出。11年ぶ許容限度超す」とある。
著者もまた福島原発に触れる。
田中正造の人生哲学をあらためて学ぶ必要性もあるのでしょう。
「山」という漢字が「川」の下に一本線を引いていることから、川の水をせき止めるのが山の役割というのはおもしろい発想だと思った。