ねじ曲げられた桜 (上) 美意識と軍国主義 (岩波現代文庫 学術445)
- 岩波書店 (2022年3月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006004453
作品紹介・あらすじ
日本の将来を担うべき多数の若者が、特攻機に搭乗して海の藻くずと消えていった――「桜が散るように」。為政者は桜の美しさを、ナショナリズム高揚と戦争遂行に利用したのだ。そのとき国家と国民のあいだに起こった「相互誤認」を、学徒特攻隊員の日記をきめ細かに分析して証明する。象徴人類学の見事な成果。[解説=佐藤卓己]
感想・レビュー・書評
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「本書は、日本の絶対主義的政治体制下において政策がどのように「美化」されたか、…シンボルとか理想を「美化」することによって、政策がいかに国民に抵抗少なく受け入れられていったか、という過程についての研究である」(序章より)。
そして本書では特攻隊員、なかんずく学徒兵が、天皇を中心としたイデオロギーを本当に信じていたのかどうかを問題とし、「天皇のために美しい桜の花びらのように散れ」という用法にみられる、桜の象徴的意味に焦点を当てて考察が行われる。
第一部では、桜の花の象徴的意味の考察が行われる。この部分が最初に来るわけだが、正直、記紀神話における桜と米の象徴的結び付きとか、死と再生としての桜の花とか、咲く桜の花から散る桜の花へとか、そう言われればそのように読める歌や本、あるいは民俗事象はあるのだろうが、「桜にいろいろそういう意味があると言っても、だから何」という感じであった。
第二部では、明治以降の政治制度について、特に、明治政府責任者が大日本国帝国憲法において天皇をどのように位置付けることとしたのか、そして桜の花の象徴的意味がどのように変化したかに焦点が当てられる。
このあたりの叙述はある程度の知識もあるところで、内容自体は分かりやすかったが、依然として良く分からないままに読み進めることとなる。
(*下巻の第四部まで読むことで、やっと第一部、第二部における考察の必要性を理解することができた。それまでは少し辛抱が必要かもしれない。)
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下巻にまとめて記載
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各瞬間を絶対たらしめて生きよ。さすれば、苦も楽も生も死も、すべて悔いなき一生たり得るであろう。
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東2法経図・6F開架:B1/8-1/445/K
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【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/463337