ヨーロッパ覇権以前 上 もうひとつの世界システム (岩波現代文庫 学術448)

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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006004484

作品紹介・あらすじ

世界市場ブリュージュの賑わい、モンゴル帝国のもと活況を呈する「シルクロード」、海上交易で活躍するエジプト・カーリミー商人、「世界最大の都市」杭州の繁栄……。近代世界成立以前の一三世紀、ヨーロッパから中国に至るユーラシアの陸海は、すでに一つの世界システムを作りあげていた。広い視野と豊かな筆致で描かれるグローバル・ヒストリー。

感想・レビュー・書評

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  • ヨーロッパが覇権に乗り出す13世紀までの(旧)世界のシステムについて。その時代はヨーロッパや中東といったサブシステムとそれらを繋ぐ3つの回廊によって構成されていた。
    著者は中東に縁があるからか、比較的地中海の話と中東の話が手厚い印象。

  •  11世紀から12世紀における世界システムについて詳述されている。シルクロードとかシェルタリングスカイとか敦煌とか異邦人なんかに関心があったので読んでみたが、交易に従事する商人の活動が詳しく書かれており、面白かった。当時、食用肉は腐りやすく、腐敗をごまかすために香辛料が必要とされていたこと、それで当時の交易の物品として香辛料が重要な地位を占めていたことが分かって面白かった。
     西欧中心的歴史観は私にとってはどうでもよい。西洋びいきも東洋びいきもどうでも良い。

  • 東2法経図・6F開架:B1/8-1/448/K

  • 209.4||Ab||1

  • 【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
     https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/463889

  • 13世紀の「世界経済」、ヨーロッパがウォーラーステインのいう「近代世界システム」を構築しようとしていた16世紀前に世界システムがあったと、著者は言う。そしてそこには8つのサブシステムがあり、それぞれ西ヨーロッパ、中東及び東方アジアの3つの回路に組分けできるとする。

     以下、それぞれの地域ごとに、交易の産物や参加者の商人の範囲、信用取引等の仕組み、その繁栄と衰退の様子などの具体相が叙述されていく。
     第1部は、ヨーロッパ。
     トロワとプロヴァン等のシャンパーニュの大市、フランドルの織物生産に関する工業/商業町、ヘントとブリュージュ、そして北西ヨーロッパを中東の商品生産地に結び付けたイタリア海港都市、ジェノヴァとヴェネツィア。

     第2部は、中東。と言いつつも、まず東洋への3つのルートが紹介される。①コンスタンティノープルから中央アジアの陸地を横切る北方ルート、②地中海とインド洋をバグダード、バスラ、ペルシア湾を経由して結びつける中央ルート、③アレクサンドリアーカイロー紅海とアラビア海そしてインド洋とを結びつける南方ルートである。
     まず取り上げられるのは、モンゴルと北方の道。
     次に、モンゴルによるイラク、ペルシアの征服により、バグダードの衰退とペルシア湾の中心性の喪失が生じたことが説明される。

     ここまでが上巻。


     AというところとBというところの経済的な結び付き、交易の様相が具体的に叙述されていて、これまでバラバラには知っていたことが、世界システムの一環として全体の中に位置付けられているところが、特に印象深かった。
     
     

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