〈個〉の誕生 キリスト教教理をつくった人びと (岩波現代文庫 学術460)
- 岩波書店 (2023年1月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006004606
作品紹介・あらすじ
イエスの隣人愛の思想がその死後ギリシア・ローマの哲学的言語によって教義化されていく過程で、新たな存在論が作り出された。個の個的存在性(かけがえのなさ)を指し示す概念を中心とするこの存在論が古代末期から中世初期に東地中海世界の激動のうちで形成された次第を、哲学・宗教・歴史を横断し伸びやかな筆致で描き出す。(解説=山本芳久)
感想・レビュー・書評
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すごく良い本と評判なので読んだけど、キリスト教のこともギリシャ哲学も知らない自分には難しすぎた。最初と最後の亡くなった友人の話と、ところどころ挟まれるエッセイ風の著者の所感は楽しいけど気を抜くと全然わからなくなる感じだった。いつか再挑戦したい。
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三位一体論、キリスト論、その教義論争の歴史は、取り上げられてこなかった。しかしそこにこそ現代にまでつながる「個」というものを生み出した重大な過程があったという。「ビザンツ・インパクト」と著者が言う思想の展開は、些末なことに拘泥するという従来の西欧側からのビザンツ神学像をうちこわし、「ビザンツ」ということばにポジティブな意味を持たせている。画期的な一書。
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序章と終章にある一人の友人への語り掛けが、差し出された理解が、ある迂回路を経て普遍的なものに通じてもいる、というこのテクストの展開を、著者は「ヨーロッパの胎内巡り」、ボエティウス『哲学の慰め』に擬えているが、このテクストで扱われた内容である、個別と普遍の間の緊張関係を表してすらいる。なんという名著。
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東2法経図・6F開架:B1/8-1/460/K
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【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/468018