わが荷風 (岩波現代文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021986

作品紹介・あらすじ

少年時代から永井荷風の愛読者を自認していた著者による若い読者のための荷風案内。小石川、深川、麻布、銀座、玉の井、浅草、市川-作品の背景となった土地を実際に自分の脚で歩き目で確かめ、また作品世界の中へ戻っていくという往復運動によって、荷風の八十年の生涯と作品の特色、作風の推移の全貌を自身の青春への追憶と重ねて分かりやすく語る。年譜・参考文献を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 随筆・紀行賞ということであり、解説でも著者は荷風ゆかりの地を歩くと書いてありますが、通読するに、とりわけて街並みが浮かぶほどの風景描写を著者自身がされているわけでもないので、旅行記のような情感は伝わってこない。
    むしろ、永井荷風の生涯は現代の風景と対比せずとも充分に描かれており、荷風の悲哀さまでもが伝わってくる。
    花柳小説家とされ、一見華やかそうで、精力的に見える荷風も孤独死にも表れるように、長生きしたことも老醜につながるほど哀れを感じる。

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著者プロフィール

1911(明治44)年、東京生まれ。慶應大学予科中退後、文化学院文学部に移り、同校卒業。紀伊國屋書店出版部に入社。のち都新聞(現・東京新聞)、河出書房を経て、40年、初の著書『風の系譜』を刊行。44年、海軍に召集されるが、翌年、栄養失調のため横須賀海軍病院に入院。半年後に復員する。48年「文藝時代」を創刊。また「キアラの会」に参加。60年、同会によって創刊された「風景」の初代編集長となる。65年『徳田秋聲傳』にて毎日芸術賞を受賞する。76年『わが荷風』で読売文学賞(随筆紀行部門)、79年『かくてありけり』で読売文学賞(小説部門)、80年「なぎの葉考」で川端康成文学賞、86年『感触的昭和文壇史』で菊池寛賞を受賞。また82年には日本藝術院賞が授賞された。93年、呼吸不全のため死去。翌年、越谷市立図書館内に野口冨士男文庫が開設された。

「2021年 『巷の空』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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