- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006022044
作品紹介・あらすじ
荷風作品の中で、特に俳味に富んだ『冬の蝿』『〓(ぼく)東綺譚』『雨瀟瀟』『断腸亭日乗』を中心に取り上げて、集中の荷風俳句を江戸俳諧の伝統を踏まえて評釈する。さらに、荷風が心許した市井の風流子(籾山梓月、相磯凌霜、邦枝完二、森銑三…)との交遊と彼ら粋人の遺した荷風評を通して、荷風俳句の放つ「特有なる隠遁の風致」を味読する。初めての本格的な俳人荷風の提示であり、「市隠荷風の手すさび」を読み直すことで、荷風小説また随筆を格別に味わいゆたかにする初めての荷風論である。
感想・レビュー・書評
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俳人としての荷風にスポットライトを当てたこと自体が白眉である。管見の限り、未だ嘗て誰もこの規模でやったことはない。
内容としては、1 少し勘ぐりが入っている部分があって、秋庭氏の精緻な考証に比べると、劣ると思う 2 俳句そのものに焦点を当てるのではなく、小説や周辺者という外延から迫っていく、その関係で俳句と小説・随筆等を含めた荷風作品そのものを見直すということになっていて、切り込み方に不満が或る。特に後半の正岡容や邦枝完二は本当に必要であったのか。3 「思いやり」のない、つまり、十七字で完結することが、文学としての俳句である。著者は「風流を解する者に通じればよしとする矜持が俳味である。」と主張するが、これでは座の文芸、第二芸術たる限界を認めたことになろう。
いずれにしても、故人となられた今では改訂のよしなし。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かなり残されているが、従来評価されて来なかった荷風の俳句について、俳句そのもの評価と荷風の隠遁生活の中での俳句の位置付けを行っている。俳人の著者だから可能な仕事だが、読者の方も江戸俳句等の知識が必要なようで、読後感がまとまらず、はっきり言って降参である。
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余程・・・・永井荷風に執心していなければ、よくわからない。
荷風は俳人である。素人かもしれないが立派な俳人である。
傍証もある。証言もある。
・・・・・というような研究発表でもあるのでしょうか。
それにしても・・・、後書きの半ばで亡くなられたとは・・・・。