- Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784007000188
作品紹介・あらすじ
日本人は中国がわからない。対米関係のカギは〓(トウ)小平が握っている。台湾報道も混乱している。靖国問題をどう読むか。中国情報の取り方。
感想・レビュー・書評
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本書は読売新聞の特派員として中国に30年近くいていた著者が自身の経験を基づいて、日中関係、米中関係、台湾問題、靖国問題など、中国報道をどう読むのかを論じている。
六章に分けられた本書は、まずなぜ中国が「分からない国」になったのかを第一章で紹介し、第二章から第四章までは、日中関係、米中関係など、具体的な例を挙げてそれぞれの報道を解説する。第五章は、新しい中国の政治政策を分析して、中国の経済動向を予測する。最後の章では中国メディアの課題を指摘して、自分の中国報道の取り方を紹介する。
その中で、最も詳しく読んだのは第一章と第六章である。この二章では、両国のメディアは相互理解を促すどころか、必要以上に摩擦を高める役割を演じる根本的な原因について論じられた。それは、中国は依然として共産党の一党独裁制を取り、両国が異なった体制の下にあることからくる。特に中国では、当局の政策、方針と異なる世論が抑えられてきたし、また異なった世論がメディアを通して公表されることもあり得なかった。この点について、今もよく指摘された。もちろんインターネットでの言論は以前より自由になったが、主要なメディア機構は変わらず、共産党中央の宣伝部門として、大きな権限を有していない。また、国際の動向より、芸能人のゴシップ事件はもっと注目が払われてきた。
本書はもともと日本人のために書かれたが、逆に中国人の私達を反省させることも多かった。「報道改革を進めなければ、内外でのコミュニケーションギャップを、中国のメディアが拡大しかねない状況は克服できない」。著者が分析した通り、今は中国のメディア政策を転換すべき時代だと思う。この意味で本書を薦めたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示