魔女をまもる。中 (Nemuki+コミックス)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 139
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022143037

作品紹介・あらすじ

16世紀、数万人が迫害を受けて死んだ”魔女狩り”。その狂気の時代に魔女と断罪された人々に寄り添い、医療の力で救おうとしたひとりの医師がいたーー。精神医学の先駆者でもある実在した医師ヨーハン・ヴァイヤーを描いた歴史ドラマがついに書籍化!人を助けるためならば、教会との対立も厭わない師匠アグリッパの強い姿勢に心を打たれたヴァイヤーは医師として独り立ちをしていた。ある日、毒死した女性を検視していたところ水差しの底に「悪魔の印章」を発見する。これは悪魔の仕業なのか!?

感想・レビュー・書評

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  • 中巻も面白かった。

    つい誤解しそうになるけど、主人公は現代の私たちとは違う。あくまでも神も悪魔も実存を信じているんですよね。魔女は病気と言っても、病院で弱っているから悪魔に惑わされやすくなる、という考え方。

    さて、残る下巻がどうなるのか。
    楽しみです。

  • 「天地明察」しか読んだコトなかったのですが、興味が湧いてきました、、、「朱黒の仁」も

    +Maki Ebishi Official+
    http://ebisi.net/

    朝日新聞出版 最新刊行物:コミック:魔女をまもる。 中
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=22362

  • 引き続き回想。アグリッパがかつて救った魔女は、実は村の男たちの嬲りものにされ、それを隠すために男たちに魔女として告発されただけの不幸な娘だった。アグリッパは、魔女であると自白するまで、あるいは別の魔女の名前を言うまで拷問される魔女裁判の理不尽さについて言及する。そして女性はヒステリーを起こしやすく、それはただの病で、そこにつけこむ悪魔がいるだけで、その前に治療すれば治るのだと。

    現代人にとっては当たり前のことが、当時は悪魔のしわざ、悪魔憑きであり魔女であるとされた。魔女の名の通り、被害者がおもに女性であったことも、たとえば更年期の症状なんかを悪魔憑きよばわりされたのだとしたら説明がつく。ただアグリッパにせよヨーハンにせよ、当時の人々はあくまで、悪魔は存在する、神もいる、という前提での話になるので、現代のわれわれほど割り切ってはいない。

    やがてアグリッパが亡くなり独り立ち、結婚もしたヨーハンは、ある村の医師となる。ここで「ノーラ事件」が起こる。女性の変死が相次ぎ、判事のボルストから検死を頼まれたヨーハンは、彼女らの飲んだ水差しの底に悪魔の印象が描かれていたことに気づく。死因はヒ素による毒殺。やがて、ヨーハンが親しくしていた老女ノーラが、夜中に徘徊したり、身に覚えのない買い物や料理をしていたことから魔女として告発される。現代人から見て老女ノーラの症状はあきらかに認知症なのだけど、それが悪魔憑きとされてしまうのだから恐ろしい…。

    ヨーハンはノーラは魔女ではないと信じ、本当の魔女を探し出そうとするが…。案の定、美しいパン屋の嫁、名前は同じノーラが、さえないパン屋に嫁がされた境遇から幸せそうな他の女性を妬み、美人になれるバラ水を入れた水差しのそこに時間が経過すると溶け出すヒ素で悪魔の印を刻んでいたことが判明。連続殺人犯は、ただの嫉妬深い女性の犯行だった。ある意味彼女こそ本当の魔女なのだけれど、ヨーハンの推理は間に合わず、老女ノーラは魔女として火刑にされてしまった後だった…。

  • あくまで中世の世界観の中で「魔女をまも」ろうとしているところが面白い。神も、悪魔も、魔女も、その存在はおおいに認められているし、検死解剖は行われていながら、医学科学もまだまだ発展途上(四体液説。むしろ遠く古代ギリシャまで遡れる学説が中世ヨーロッパでまだ通用しているのに驚く)で、しかも容易にオカルトと結びつけて考えられている。あらゆる現象に主体的な意思の存在を信じる。これもそういうことなんだなと、最近読んだ『ヴァンパイアと屍体―死と埋葬のフォークロア』を思い返した。
    伝染する恐怖という普遍の病理、魔女の発生メカニズムの描写がとても怖い。教会のやり方も。現実にはもしかして、刑場に引き出された時点で五体満足の「魔女」すらいなかったのでは……。

  • 「人は見えないから恐れる」「知らないから怖い」これは本当にそうだと思う…。知識は身を助けるよなあ。

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著者プロフィール

漫画家、イラストレーター。装画に『さよ 十二歳の刺客』、『星の旅人』、漫画に『天地明察』、『朱黒の仁』、『魔女をまもる。』他作品多数。

「2019年 『万人の父になる 佐竹音次郎物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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