ヒロシマ市長 <国家>から<都市>の時代へ

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022509932

作品紹介・あらすじ

核廃絶から暴走族対策まで、核兵器廃絶の運動を世界規模にひろげた市長が12年の市政から提言する「新しい都市の時代」。

感想・レビュー・書評

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  • 広島市がいかに市民のための都市、そして平和をリードする都市になってきたか。
    都市は、こども達つまり未来のためにあり、多様性と寛容さをもって平和を目指していかなければならない。
    主にこの2点について書かれている。
    確かに、シンポジウム等通して、国、都道府県を通さないで都市通しが交流を始めている。
    都市同士がネットワークでつながり、都市が世界をリードする時代になってきているといえよう。
    ただ、そのためには、基礎自治体の長と職員の意識が変わらなければならない。

  •  やや評価が低いのは、どのようにしてあのすばらしいヒロシマ宣言を生み出してきたのかの視点で、購入したためであり、地方自治や都市問題に関心の高い人であれば、もっと評価はあがるのでないかと思う。
     しかし、秋葉氏が、市民(暴走族にさえ)に正面からぶつかって問題を解決していこうとする姿勢や、都市が変われば世界が変わっていくとする核廃絶や原発、環境問題などの視点はとても重要だと思った。
     氏が提唱している「廃県置藩」も、二重・三重の構造となっている現在の行政単位をフラット化するというもので、民主主義がどのように機能すべきかを市長としての経験をふまえて提起している考えだということがわかった。また、多様性を認めていくことなども市の柔軟な思考スタイルがうかがえる。

     平和についての観点では後半からとなるがそれでも、原爆を投下したエノラ・ゲイの機長と当時の広島市長の高橋昭博氏との対面(秋葉氏はその時の通訳)の場面や、被害の苦しみを乗り越えて「報復」「あだ討ち」であってはならず「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という考えにいたるヒバクシャや秋葉氏の思いは、さすがにと思えた。
     これは現在の死刑制度問題や、銃社会のアメリカの問題にもつながっている。

     また、今の時代で、核兵器が使用された場合の被害想定数(広島市でや原発が攻撃された場合の被害総定数をつくり「国民保護計画」をつくっていくべきとの主張は(どういうものかわからないが)、算出していくべき課題だろうと思った。
     
     全体としてはやや幅広く盛り込みすぎで読み応えがたりない。テーマを絞った上でじっくり話などを聞いてみたいと思った。

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著者プロフィール

1942年、東京生まれ。高校時代AFSによってアメリカに留学。東大理学部数学科・同大学院修士課程卒業。マサチューセッツ工科大学(MIT)でPh.D.を取得後、ニューヨーク州立大学、タフツ大学等で教鞭をとる。世界のジャーナリストを広島・長崎に招待し、被爆の実相を伝えてもらう「アキバ・プロジェクト(ヒバクシャ・トラベル・グラント・プログラム)」の運営に携わり、その後、広島修道大学教授に。1990年から衆議院議員を10年近く務めた後、1999年に広島市長就任。3期12年在職。その後2014年まで広島大学特任教授、AFS日本協会理事長。市長在職中、平和市長会議会長を務め、当初は参加都市数が440ほどであった組織を、約5,000の都市が加盟・賛同する組織に育てる。市政では財政再建、情報公開、市民サービス、都市環境などに力を入れ、暴走族追放条例、新球場建設、オリンピック招致にも取り組んだ。マグサイサイ賞等、多くの賞を受賞。著書に『真珠と桜──「ヒロシマ」から見たアメリカの心』(朝日新聞社)、『“顔”を持ったコンピュータ』(コンピュータ・エージ社)、『夜明けを待つ政治の季節に』(三省堂)、『元気です、広島』(海鳴社)、『ヒロシマ市長』(朝日新聞出版)、『新版 報復ではなく和解を』(岩波書店)ほか。現在、広島県原水禁代表委員。

「2019年 『数学書として憲法を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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