金子と裕而 歌に生き 愛に生き

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022516664

感想・レビュー・書評

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  • 朝ドラ『エール』のモデル、古関裕而・金子夫妻の物語。

    ドラマとは違う部分がいくつかある。
    顕著なのは志村けんさん演じる小山田のモデル・山田耕筰がドラマとは真逆で常に裕而を応援してくれていることと、金子の母親みつが当時としては典型的な母親、つまり金子には歌手という夢を見るのではなく身元と経済力がしっかりしたよき男性の元へ嫁いで欲しいと望んでいたこと。

    一方、ドラマ内で夫婦が時にバカップルばりに二人で盛り上がっているシーンがあるが、実際のところもかなりの熱々振りだった。
    序盤には元々文通から始まった二人の往復書簡が綴られているのだが、読んでいるこちらがドキマギしてしまうほどあからさまで熱く盛り上がっている。
    しかもその熱々振りは終生変わらなかったようで、それもまたこの時代の夫婦としては珍しい。

    プロ作曲家となってしばらくヒット曲が出なかった裕而だが、夫妻の生活が苦しくなることはなく、むしろ金子は歌の勉強を通して様々な人脈を作り、裕而ともども親交を深めて楽しんでいる。

    だが中盤以降、戦時中の話に移るとさすがに二人の暮らしも気持ちも変化が出てくる。
    裕而は従軍作曲家として様々な激戦地を回り、時に危険な病に罹ったり時に攻撃を受けて危険な目に遭ったりしている。
    だが皮肉なことに裕而が作った様々な軍歌や戦意高揚のための映画の音楽は次々ヒットし、裕而の名声は高まっていく。
    一方で金子は子供たちや家を守るため、周囲の人々と地域を守るために奔走している。

    戦後の裕而の活躍は知られている通りだが、その心の奥底にあったのは、いかに軍部に命じられたこととは言え、自分が作った曲で戦地に赴き若い命が多数散ってしまったことへの悲しみ苦しみ悔い…様々な思いがあったのだろうことは想像出来る。
    そんな時にも常に寄り添い、常に様々な前向きなものを追い求め実践していく金子のパワーは、裕而の何よりの慰めであり作曲の源になったのだろう。

  • 「エール」毎日楽しみに見てました。
    ドラマの2人も仲良しだったけど、実際のお2人もラブラブだったんですね。
    出会うべきして出会った運命の2人だったのでしょうね。羨ましいかぎりです。

    私の曲はすべてあなたのもの。
    そんな事言われたらね。本当にごちそうさまです。

    戦争の悲惨さも丁寧に書かれていて、何も知らない世代だけどつらくなりますね。
    戦いはしなくても戦地に赴いて本当によく生きて帰ってきてくれました。

    読みやすくて、わかりやすい内容でした。

  • 古関裕而さんと金子さんの実話に基づいた物語。常に2人に音楽があって、体験?経験があっての作曲がある。たくさんの楽曲を世に送り出した方だけれど、1つ1つに思い出があり、愛情があると思った。

    朝ドラ「エール」を見ていたので、各シーンを思い出しながら読み進めていた。裕一さんも音ちゃんも仲良すぎだったけど、このお二人もお熱い。特に馴れ初めの頃。あと音ちゃん(朝ドラの方)のお母さんの「ダメって言いたいけど、心が行けと叫んでる」という名台詞を思い出してしまった。実際はもっと厳格な方だったのね。
    この間の五輪の閉会式でも、オリンピックマーチが流れたけど、夜空から2人で見ていたのかしらん。

  • 『エール』の原作。
    我が家にはテレビがないので、ピンとこなかったのだが、連続テレビ小説のことね。なるほど。
    この時代にこの行動力、素晴らしい。やってみること、やってから考えればいいのかも。

  • <閲覧スタッフより>

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    所在記号:913.6||イカ
    資料番号:10256488
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  • 朝ドラ「エール」のモデル古関裕而、金子夫婦を描いた小説。福島と豊橋。文通から始まる二人の恋。音楽を通じた二人で歩いた幾春秋。

    朝ドラがことのほか面白く、中公新書、文春文庫それぞれ読んだ勢いでこちらも挑戦。こちらは事実の羅列でなくノベライズ版。

    イギリスの作曲の賞を若くして受賞した古関裕而。新聞記事をたまたま読んだ金子がファンレターを書くことから二人の恋は始まる。赤い糸というか運命の出会いというのが本当にあるのだ。正にドラマの原作向きな二人の歩んだ人生。

    文通する二人の手紙のやり取りの部分が多いのが実に良い。

    ドラマの方が本書よりも随分とデフォルメされていることが良く分かる。それでもドラマと並行して楽しめる本でした。

  • ラブラブの話

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著者プロフィール

1956年、山形県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。女性誌を中心にライターとして広く活躍。著書に「結実の産婆みならい帖」「読売屋お吉甘味帖」「女房は式神遣い! あらやま神社妖異録」シリーズ、『妻恋稲荷 煮売屋ごよみ』などがある。

「2023年 『桜色の風 茶屋「蒲公英」の料理帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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