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- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022596345
作品紹介・あらすじ
1945年、焼土の日本。新しい時代に期待し、ほとばしる言葉、文章。だが、周到に張りめぐらされた占領軍の検閲は、原爆の悲惨さを伝える術さえ奪っていく。プランゲ文庫に残る原爆作品を中心に、検閲個所を復元しつつ、日本人自身の表現へのこだわりを問う。
感想・レビュー・書評
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占領軍による出版物への検閲の制度と実態を、特に原爆に関する表現に焦点を当てて明らかにしている。
原爆関係言説に対する規制は、数量としては政治的言論に対する規制よりも少なく、日本側の自己規制や非合法の地下出版をも厭わない抵抗精神の弱さを問題にしている。
なお、本書の刊行は1995年だが、あとがきでスリーマイル、チェルノブイリに続く「被爆」が日本で起こる危険性を「予見」しているほか、前年度の新聞協会賞に産経新聞によるテレビ朝日報道局長発言問題が選ばれたことを通して、マスメディアが競合他社の足を引っ張るために政治介入を招き、言論の自由を危機に陥れている状況を厳しく批判している点が注目される。「フクシマ」の現状や、政治とメディアが一体となった朝日新聞バッシングを考えるとき、著者の先見性は改めて評価されるべきだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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