衣服で読み直す日本史: 男装と王権 (朝日選書 601)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022597014

作品紹介・あらすじ

本書は、見ただけでわかる人間相互の標識、衣服から日本の歴史を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 第三章の、孝謙は冕冠を被ったか否かの考察が、なかなか興味深い。日本の衣服は元来ユニセックスであるという定義のもとに展開する、衣服の性差とそれにまつわる王権の関係について論を展開する。

  • 男装、異性装から歴史を読み解いていく書。
    物語や百人一首に描かれた画像、様々な点を取り上げており興味深い。

  • 変身→変心、衣服が人格を変える機能を持つ事。衣服は人間の肉体を離れては、衣服としての「機能」を果たし得ない。

    新たな形態の衣服に価値の転換を生じた過程、どのような価値観が生じたのか、社会がどう対応したのか? 

    日本古来のユニセックス的な美意識。衣服の性別未分化、古代、男女が同じ衣服を着用していた。 

    平安時代、男性の美意識・行動様式の理想像や価値観が女性のそれと極めて接近していた。 

    男女の美貌の類型が合致していた。 

    日本の服装の歴史は、究極的には、常に男装が女装に駆逐される形で展開してきた。

  • 非常にかいつまんで言うと,日本列島では弥生時代の貫頭衣から近世まで性差の少ない被服文化が継続しており,そのユニセックス文化の基層の上に外来の性差が劃然としている服飾文化が権力構造とセットで乗っかっているのではないか.という論旨.「とりかえばや物語」の服飾的考証などは本書の最も面目躍如たるところ.
    日本文化には服装の性差が少ないというのは安土桃山時代に日本を訪れた宣教師たちも指摘しているし,鈴木 春信の浮世絵なども性差が少ない画風だが,古代からそういう傾向が続いていると仮定すると,昨今の漫画やエロゲやアニメなどで女装少年などのトランスモノが沢山あるのも納得できるようなできないような.

    そういえば「とりかえばや」をラノベライズ(笑)した氷室 冴子の「ざ・ちぇんじ!」ってのもあったし,同タイトルの漫画化もあったなぁ.ちなみにどっちも非常に面白かったぞ.

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著者プロフィール

1948年東京都生まれ。大阪大学名誉教授
専門は日本史学・服飾史・女性史。大阪外国語大学教授(1997年)、大阪大学理事・副学長(2007年)を経て現在、追手門学院大学地域創造学部教授。
おもな著書に『古代国家の形成と衣服制』(吉川弘文館1984年)、『信仰の王権 聖徳太子』(中公新書1993年)、『衣服で読み直す日本史』(朝日選書2000年)、『娘が語る母の昭和』(朝日選書2000年)、『太子信仰と天神信仰』(思文閣出版2010年)、『交錯する知』(思文閣出版2014)、『いにしえから架かる虹』(いりす・同時代社2014年)などがある。サントリー学芸賞(1985年)、濱田青陵賞(1995年)、紫綬褒章(2003年)を受賞。


「2016年 『礼服 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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