- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022599834
作品紹介・あらすじ
福島第一原発の破滅的な事故にいたるまでの70年間、日本の原子力開発はどのように進められてきたのか。大戦中の実らなかった原爆研究の後、戦後は核平和利用の旗のもとで世界にもまれな「安定成長」をとげてきた日本の原子力発電だが、核燃料サイクルも使用済燃料処理も計画通りに進まず既設原子炉の老朽化が進む-それらを担ってきた政・官・産・学・自治体のせめぎあい、さらに背景にある核をめぐる国際政治などをあざやかに切り分けた本格的通史。福島事故後、再刊希望が殺到した旧版を改訂した待望の新版。
感想・レビュー・書評
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日本の原子力開発体制を、おもに軽水炉の技術導入・習得路線を追求する電力・通産連合ともんじゅに代表される自主開発を追求する科学技術庁グループとの二元体制モデルとして描いた通史。
構図がこのように明快な反面、具体的叙述には文字通り何でも書いており、それがまた読みにくさでもあるが、再読ごとに発見のある作品となっている。日本の原子力政策史の金字塔。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原発に関する本を読もうと思っていた中で目にしたので、読んでみました。
「読み応え」という言葉は、この本のために存在するのではないか、と思えるほど、読み応えのある本でした。
著者は、原発に反対ということもあり、その感情が若干漏れているように思いますが、日本の原子力に関する導入や開発、研究の過程を丹念に緻密に、そして、できるだけ客観性を保ちながら正確に論理的に説明するよう心がけており、原発やその仕組み、また、原発にまつわる政治や組織の歩みの全体像を丁寧に描き出そうとする姿勢を感じました。
理系的な素養を著者が持っていることで、原子力に関する理論や技術に踏み込んだ面も多々あり、そのことも読み応えにつながっているように思います。
惜しむらくは、「放射性物質」とすべきところを「放射能」としている点でしょうか。
たくさん出てくる言葉であるがゆえに、正確さを期してほしかった…。
(もちろん、「放射能」のままでよい部分もあるのですが、正しくは「放射性物質」の部分については、出てくるたびに違和感を覚えました。)
とはいえ、一読に値する本であることは、間違いありませんし、これ一冊で、日本の原子力に関しては、かなりの部分をカバーできると思います。
多くの方に読んでいただきたい本ですが、とくに国会議員や経産省の職員、電力会社の方々には、是非読んでいただきたい。 -
吉岡斉 原子力の社会史
戦後の原子力開発から2011年 福島原発事故までの通史。日本の原子力開発は 戦後復興のために始まり、原発震災により終わったとする論調
通史の中で残念なのは、大事に至らなかった 2007年 柏崎刈羽原発の被災対応。ここで 津波や地震による 全電源喪失や冷却機能喪失を想定できたのに。危機意識より安全神話を信じてしまった
開発当初の意識「原爆で殺された人々の霊のためにも、日本人の手で原子力の研究を進め〜日本を復興させる」は 理解できる。
風向きが変わってきたのは、2001年 科学技術庁の解体。経済産業省中心体制となり、安全規制面でのチェックアンドバランス機能が消滅したとしている。
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日本の原子力開発の通史。
振り返れば、技術的困難が多く、事故も多発、費用が膨れ上がり、人類はこの巨大科学技術を持て余してきたのがよく分かる。
戦時中の原爆研究から福島事故に至る原子力開発の歴史を概観するに最適の書。 -
地域史
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国の原子力政策について、原爆の時から遡って解説している。
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5/25 県立図書館にて借用。 早めに購入予定。
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日本がアメリカと原子力協定を結びアメリカから原子力発電所をユニットとして導入した当初から概ね僕が生まれる頃までのお話までを読みかけ。ページ数にしてだいたい1/4程度しか読めていないけれど、色々と理解できないところもたくさんあるし、これは僕にとってはかなり難読な読み物であろうと思われる。
少し集中して読まなきゃ、と思いながらなかなか読み進めていない、集中力、気力…読書力を要求される読み物です。