日本による朝鮮支配の40年 (朝日文庫 き 9-1)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022607249

作品紹介・あらすじ

植民地支配の後遺症は、一朝一夕になくなるものではない。日本と朝鮮、日本人と在日韓国・朝鮮人との関係を考えるとき、常にこのことが原点として存在する。植民地時代を生きた朝鮮近代史の泰斗が、冷静にその生活実感を文献で裏づけ、問題を整理しながら、新しい隣国関係への教訓をさぐる。

感想・レビュー・書評

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  • 1992年(底本1983年)刊。著者は花園大学教授。

     カルチャーセンターでの講演録の活字化。日本による朝鮮半島の植民地統治の実を朝鮮側の観点から解説した書である。

     植民地時代を日本側視点の書だけで把握するのは適切でないが、折角の本書も全く残念なレベルである。

     大前提として、内容は兎も角、その引用元の開陳が、極少の例外を除き無い点だ。
     例えば、朝鮮半島での戦前の独立運動・共産主義運動の特高による弾圧の内実は、立花隆著の「日本共産党の研究」でなされる如く、特高月報や様々な資料を駆使して解読する必要があるが、そういう史料解析の跡が見えない。

     また、同時期の日本国内との比較(例えば共産主義運動の弾圧過程)は勿論、他国の植民地支配(例えば、米国のフィリピン支配や英国のインド・ビルマ・エジプト支配)との差・異同の視座も皆無である。

     そして、根本的な問題は、朝鮮半島の近世期の内実(識字率など庶民レベルの教育程度、商業化・工業化の内実、近世期支配階層の長短など)の観点がないので、例えば、米の対日飢餓輸出の問題や、植民地期の工業化が極めて限定されていた点、独立運動が、検討課題として意義深いことは感得できても、朝鮮の前期近代期の多面的解読には不十分である。

     すなわち表面だけを攫っただけと言わざるを得ないのだ。立花のようなジャーナリストですらかなり突っ込んだ検討をする中、研究者なら当然要求されるレベルが上がり、本書のようなものでは、朝鮮半島の近代史研究者を専門とするのであるならば全く不満の残るものと言わざるを得ないのだ。

  • 今日の日韓・日朝に横たわる問題を考えるとき、常に日本が朝鮮支配を行なった過去がその原点として存在する。
    在日朝鮮人の形成にまで踏み込んで書かれており、問題への理解を深めるのに読みやすい一書。

  • 日本と韓国といろいろありますが、日本が昔侵略していたのは事実。
    そして日本が侵略に進まなければいけない状況にあったのも事実。。。

    あれから60年以上たった今でも残る根強い反日感情。。
    しかし、実際は日本人が思ってるものほど強くはありません。
    私の感覚では・・・。

    とにかくその辺について韓国の歴史と民俗性から解説してくれているので、
    読む価値はあると思います!

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著者プロフィール

1926年、韓国済州島生まれ。朝鮮近代史・思想史を専門とし、京都大学にて文学博士号を取得。大阪市立大学講師、花園大学教授などを歴任。『朝鮮近代史研究』(日本評論社)、『朝鮮の開化思想』(岩波書店)、『朝鮮儒教の二千年』(講談社学術文庫)など多数の著作がある。

「2021年 『朝鮮半島史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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