- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022615329
感想・レビュー・書評
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一時帰国期間中の短い古本屋紀行のさなかに遭遇できた良書。
とはいえ1年程前の自分であったならその価値をまったく認識できなかったという事実が面白い。mixiの日記をたどると2013年6月に小津作品を35本一挙に映画館で観た記録が残されている(笑) その経過を経た故に本書を「良書」と断言するのであり、この星の数は世間一般の人にはなかなか伝わらないものなのであろう。
没年からはもう20年を超える時間が経過しているにもかかわらず、「北の国から」の豆大尽役をはじめ数本の木下惠介名作も含め、自分にとってこの方は全て21世紀に入ってからの鑑賞機会を通して強烈な輝きを放ちだした。20世紀にテレビを通して楽しませてもらっていた老け役名優大滝秀治なんかをあとから追い抜いていった格好になる。なんなんだろう、この底力は。
あぁついに食わず嫌い感のある寅さんシリーズ、観はじめちゃうのかなぁ(苦笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
装丁の写真と本の内容にお人柄が滲み出て、懐かしさと温かさと寂しさを感じた。昭和の良き時代を心で感じさせてくれた。程よい心地よさを感じていたくて、ゆっくり読み進めた。
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小津と笠智衆、日本映画が世界に誇る絶対的コンビ。黒澤と三船に負けないインパクトありと思うんだけど。
まぁともかく何だか映画そのままの語り口調で思い出を語ってくれる。編集者の作戦勝ちかな。
しかしこのそのままというのが曲者。小津という偉大な映画監督は素のように見せる素養をこの俳優に見出し、それを自らの世界で絶対的に生かし切った。例えば北野武は監督の意志通りに動く素人を好む傾向があるが、小津は時代もあったのだろうがそれをプロの俳優に要求した。そしてその世界を見事に忠実に表現してみせたのが笠という名優。
このコンビの出会いを神に感謝しなくては(ってこんな時だけ神なるものを持ち出す輩であります、当方は)。 -
役のまんま。
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誘われるとことわれない、乗せられるとその気になる。
「親子は離れていても心が通い合う」
「男は天からあたえられた仕事をまっとうすべきだ。」
僕の演技の基本は、自然です。
小津先生のは、自然というより様式に近かったと思います。
無駄なものをどんどん削ぎ落としていくやり方です。
小津安二郎はいう
「僕は、君の演技より映画の構図のほうが大事なんだよ。」
いぶし銀のような演技をする 笠智衆。
語る言葉も わずかな言葉で、その間から 湧き立つ不思議な雰囲気。
いいなぁ。
熊本の男のもつ 独特な風格。 -
あくまで「俳優・笠智衆」という立場からの小津安二郎の回顧録。
プライベートではあまり関わりはなかったというのが意外なエピソード。 -
俳優という立場だからこそ語れる、思い出話集。小津安二郎だけではなく、笠智衆さんの人柄もそれとなくわかる、ほっこりさせられる一冊でした。
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朴訥とした映画での役柄同様、飾り気のない文章が沁みる一冊。
また「東京物語」観たいな。 -
昨年の秋ごろブックオフで購入。
映画が活動写真と呼ばれていたころからの俳優さんなので、映画の事をシャシンと語っておられます。
小津安二郎監督の事、
若き日の笠智衆さんご自身の事、
山田洋次監督の事も書かれています。
寅さん映画の御前さまですよね。
黒澤明監督の『夢』にも出演されていました。
ヴィム・ヴェンダース監督の『夢の涯てまでも』にも出演されていましたね(劇場で観た記憶です) -
東京物語では、老人らしくないという指摘から背中に座布団をいれていたなど、笠 智衆 視点で語られる小津映画を知ることができた