悪党・ヤクザ・ナショナリスト 近代日本の暴力政治 (朝日選書)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022630971

感想・レビュー・書評

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  • 日本近現代史のB面を炙りだす力作。
    かろうじての類書に宮崎学(突破者♪)の諸著作がありますが、あちらはかなりエンタメな方向性。
    本作はゴリゴリの研究者の研究成果。著者の名前からすると日系らしいけど、それでも日本の近現代政治史の影を活写するのが米国人って不思議な感じ。頑張れ現役日本人。
    維新志士のテロから明治の自由民権運動の博徒、大正デモクラシーから昭和初期に猖獗を極めた壮士・院外団の政治的暴力、戦後の政治的暴力の衰退と金権政治の勃興までを、キッチリ通史に仕立ててる。
    権威主義的な明治政府の専制的で急進的な執政に、暴動と暴力で対抗した自由民権運動が、帝国議会開設を潮に体制内に取り込まれ、かつて薩長藩閥打倒を旗印に武装蜂起の機をうかがった壮士達が、体制内で相食みあう政党の政争の具に堕落。暴力に拠る政党は国民の信頼を失い、民意の支えを失ない抜け殻のようになった政党では、台頭する昭和軍閥の圧力に対抗しえず、政党政治そのものが倒壊ってあたりが、本書の白眉かと。
    本書を読みつつ、令和の世情と議会の先生たちの狂騒を見るにつけ「10年後が心配だぞ」と深いため息ばかりなのです。

  • 面白かった。近代日本において、暴力が民主主義とつながりあっていたこと、そして戦前における両者のつながりは潜伏していたわけではなく、社会のなかで表だっていたことが指摘されている。

    個人的には、自由民権期の「壮士」の暴力性が、明治20年代以降は「院外団」になるほか、大陸浪人というかたちで大陸に噴出していったという指摘にはっとした。

  • 明治維新以降、暴力がどのように政治を動かしていたのか、絡み合っていたのかということを丁寧に追いかけた一冊。
    戦前、政党の信頼(特に政友会)が失われた背景に国粋会とのつながりや、院外団の存在があったという指摘はおもしろい。
    自由民権運動側にいた壮士がいつの間にか体制側について、左翼や労働運動を抑圧するという構造もなんというか変節なのだろうか。

    戦後も暴力が引き続き政治と密接にある様子、社会全体として若かったといえばそれまでだが、ものすごく平和な時代に産まれたのだなと改めて思う。
    選挙の過程で暴力が役割を果たしたというのが、アメリカでもイギリスでもあって、日本だけではないという比較も参考になった。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/744149

  • 東2法経図・6F開架:312.1A/Si8a//K

  • ふむ

  • 日本特殊論、日本礼賛論など、日本を特別扱いしたがる人は多いけれど、本書は日本政治における暴力の存在を、他国と相対化したうえで、暴力と日本の民主主義のかかわりを丁寧に描き出している。

    アメリカ・イギリスと違い、戦前日本では暴力団・院外団が正当性を得ていて、暴力が当然視されていたのが違うようだ。

  • 本書では「暴力専門家」という耳慣れない言葉で、日本近代以降の政治や民主主義と暴力との関わりを検証する。明治大正昭和前期を扱う文章にしばしば登場する「院外団」「壮士」「大陸浪人」等というものがどういう存在だったのか、その当時の政治の有り様も含めて本書を一読するとかなりイメージがハッキリするだろう。

  • 博士論文ということで、浅学の身としてはなかなかハードでした。
    物理的でない暴力が蔓延してますけどね、2020年のわーくにの政治状況は。

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