シフォン・リボン・シフォン (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647887

作品紹介・あらすじ

乳がんの手術後、故郷に戻ってランジェリーショップをひらいたオーナーのかなえ。彼女のもとを訪れる、それぞれの屈託を抱えた客たちは、レースやリボンで飾られた美しい下着に、やさしく心をほぐされていく。地方都市に生きる人々の希望を描く小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 15冊目読了
    P71
    「わたし、きれいな下着を身に着けていると、自分がとても大切に扱われているような気がするの」

    「だって、あなたがあなた自身を大事に扱っているのだから」

    P194
    人は縁がなければ生きていけないし、身内というのは一番最初で最後の縁なのだ

    P196
    絶対に生き延びたいと思っていた。病が自分を飲み込んで、咀嚼しようとするのなら激しく抗って、そこから逃げ出したい。病と戦って、どんな手段を使っても、生き延びたい。
    だが、今の感覚はもっと違うものだった。
    ありふれた、今日から続く明日を想像するように思う。

  • ランジェリーショップに纏わるお話。
    介護やセクシャルな面でのお話で、中々切ない感じになっていた。けれどやはり新しい下着を身につけると気分が上がるというのはわかる。

  • レースや刺繍で飾られた美しい下着。
    身に着けるとテンションが上がる。
    ただ眺めているだけでも楽しい。
    これほど“自分だけのため”に着飾れるものは、他に無いだろうなあ。
    だから下着に触れることで傷ついた心が癒されたり、抑えていた気持ちが解き放たれる物語には共感しかない。

  • とても読み易く安定の内容。

  • 「下着は自分を大切に扱うために纏う」という感覚はとてもしっくりきます。お話はシビアでしたがそのまま終わらないのでちょっと良い気持ちで読み終わりました。
    前半2話はお客さんのお話、後半2話は店長さんのお話。
    第一話の、所謂毒親から開放される女性のお話がとても好きでした。性的なのはいやらしいこと、と娘を罪悪感で抑えつけておいて、支配して家庭を切り盛りさせているのに、「結婚も出来ないのは恥ずかしい」って臆面もなく言えるのは娘を舐めきってるよな。佐菜子さんには幸せになってほしいです。
    親と子どもの確執もテーマのひとつなのかも。自分の思い通りに生きなかったからと、乳癌になった娘に「罰が当たった」って言葉を吐ける親もどうかしてる。。
    私事ですがわたしの親もここに描かれるような固さを持ってるので、少し心が軽くなりました。綺麗な下着を着けると気分が上がります。

  • 美しいランジェリーとは対照的な、地方都市に住む人々の苦悩と強さを描いた短篇集。
    共感できる部分も多く、ほろ苦いストーリーに惹き込まれた。一話の〝手を貸さなかった人間が逃げるのは簡単だ〟という言葉が刺さった、当事者としてリアルに自分も感じたことだったからだろう。

    残念なのは、既読感があるなと…。
    著者もタイトルも違うけれど、ランジェリーを扱う物語にはインポートランジェリー贔屓なことや、乳がん、LGBTなどの共通点があるように思う。

    ランジェリー好きとして、日本製の良さも伝えて欲しい。また、違う発想のランジェリーストーリーをもっと読めたら嬉しい。





  • 母親の介護や自身の身体のことなどが重なり東京のお店を任せ田舎に戻り商店街でランジェリーショップを営む女性が主人公
    タイトル通りの柔らかで穏やかな話
    になるわけないのが近藤史恵さんの好きなところ
    1話目から毒親登場
    毒親が抱える恐怖や娘の理不尽への従順さ
    それらにこちらのメンタルすらやられそうになる
    そんな娘の心を救うのが心躍る素敵なランジェリー
    下着って本当に不思議
    上下セットで千円なんてものでも十分事足りる
    でも自分の身体に合う素敵なランジェリーは 自身を奮い立たせる鎧になったり 心を支えるお守りにもなる
    身体の為のものが心に効いてくる
    心と身体を守るランジェリーは偉大だ

  • 1章と3章の毒親の言葉が酷すぎて辛い。

    4章に登場する女性の、店にとっては迷惑な、可哀想な行動も今の時代によくある悲しさか

    「きれいな下着を身につけると、自分がとても大切にして扱われているような気がするの」

    「だって、あなたがあなたを大事に扱ってあげているんだから」

  • ランジェリーショップのオーナーが主人公。最初の1話は客、次は客の父、そして、その後の2話はオーナーの一人称で描かれている。どの話も近藤さんらしい毒がありながらも、前向きに終わっているのがいい。

  • オーナーさんの芯の強さと気遣いの柔らかさがすてきです。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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