一日一生 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.82
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022732385

作品紹介・あらすじ

現代の"生き仏"と称される酒井雄哉・大阿闍梨の慈雨の言葉。なぜ生きるのか。どう生きるべきか。苦しみや死をどう受け止めたら良いのか。人生に迷い悩むすべての人に。

感想・レビュー・書評

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  • R2.3.11 読了。

     酒井大阿闍梨の有難いお言葉と家族のこと、僧侶になるまでなどが分かりやすく語りかけてもらっているような文面。千日回峰行を2回も行った方だからこその実感がこもっている感じがする。自分自身を見失いそうな時に読み返したい。

    ・「一日が一生、だな。今日失敗したからって、へなへなすることはない、落ち込むこともない、明日はまた新しい人生が生まれてくるじゃない。それには、今日を大切にしなかったら、明日はありませんよっていうことでもある。今が一番大切だってことだよ。」
    ・「人間のすることで、何が偉くて、何が偉くないということはないんじゃないかな。仏さんから見ればみんな平等。」
    ・「自分の身の丈に合ったことを、毎日毎日、一生懸命やることが大事なんじゃないの。」
    ・「大事なのは、今の自分の姿を自然にありのままにとらえて、命の続く限り、本当の自分の人世を生きることなんだな。」
    ・「あせることも、自分はだめだと思うこともないよ。目の前のことをただ、一生懸命やるだけだよ。人生はその時だけじゃないんだって。」
    ・「何をやるにしても『何のために、何をもって』と考える。これが意外に奥が深くて、何でも通用する。」
    ・「答えが分からないといつまでも考えるだろう。肝心なのは答えを得ることじゃなく、考え続けることなんだな。」
    ・「自分自身が感じて味わって初めて本当の意味で『知る』ことができる。
    ・「人間だって自然の一部。自然はいろいろな命が繋がり合っている。たった、一人で生きている人間なんてだれもいない。だれもが、いろいろな命の中で生かされているんだな。」
    ・「自分の人生はこうやっていくんだというのを見つけてほしいと思う。困難も、苦労もはねとばして、自分の人生を大きな目で見つめて、自分の道を歩いていく。そんな力をつけてほしいと思うんだ。」
    ・「人間のものの見方や心のありようっていうのは、いろんなものでどうにでも左右されちゃうということを学んだんだ。…(中略)。自分がどんな立場でそれを見ているのかということをいつもいつも確かめないといけないんだな。」
    ・「争いになった時には、とかく相手を負かそうと躍起になったり、自分は絶対に正しいということを主張しがちだけれど、どうして意見が違うんだろうと考えたり、じゃあ何か『根本的な原点』はないだろうかと探してみる姿勢が大事なんじゃないかな。」
    ・「これまで何をしてきましただのではなくて、大事なのは『いま』。そして『これから』なんだ。いつだって、『いま』何をしてるか、『これから』何をするかが大切なんだよ。」

  • 知り合いに勧められた通り、読んでとても良かった一冊。
    読んでいると凝りがほぐれて、気持ちがふんわり軽くなる。
    決して上から目線の言葉ではなく、そっと読み手の隣に降りてきて、穏やかに親しみを込めて語って下さるので、このままずっと聴いていたくなる。
    難しい言葉は遣わず、誰もが分かるような柔らかい言葉で。

    「今日の自分は今日でおしまい。明日はまた新しい自分が生まれてくる」
    「今自分がやっていることを一生懸命、忠実にやることが一番いいんじゃないのかな」

    寝る前の一時、ゆったりとした気持ちで読むのがいいみたい。
    「今日のできごとは今日でおしまい」
    呪文のように唱えながら。

    「人からすごいと思われなくたって、いいんだよ」
    「どんなにひどい目にあっても、時間がたてば必ず、いろいろなことがあったなあ、と思える時が来るよ。後になってから意味が分かることもある。だから、あせることも、自分はだめだと思うこともないよ。目の前のことをただ、一生懸命やるだけだよ。人生はその時だけじゃないんだって」
    「肝心なのは答えを得ることじゃなく、考え続けることなんだな」
    「目の前の状況は、自分のしたことの結果が巡り巡ってきたものと思うと、しっかり受け止めて、これからは良いことをしていこうと思えるのではないだろうか」
    「朝起きて、空気を吸って、今日も目が覚めたなあってなったときにね、さあ何するかなって思って、起きあがらなくちゃ。それが今を生きているってこととちがうかな」

    本の厚さはそんなにないのに、内容はとても濃い。
    覚えておきたい文章をチェックしながら読んだので、付箋だらけになってしまった。

    • yhyby940さん
      同感です。とっても良い本ですよね。物凄く徳をつんだ大阿闍梨を近しく感じさせてくれます。嫌なこと、途方に暮れた事があった時、眠れない夜。そっと...
      同感です。とっても良い本ですよね。物凄く徳をつんだ大阿闍梨を近しく感じさせてくれます。嫌なこと、途方に暮れた事があった時、眠れない夜。そっと寄り添ってくれるような優しい言葉に安心します。何度も読み返しています。
      2020/07/19
    • mofuさん
      yhyby940さん、こんばんは。
      読んでいると自然と落ち着きます。
      おっしゃる通り、そっと寄り添って先を導いてくれるように思えますね。
      私...
      yhyby940さん、こんばんは。
      読んでいると自然と落ち着きます。
      おっしゃる通り、そっと寄り添って先を導いてくれるように思えますね。
      私も何度も読み返して、平常心を保ちたいと思います。
      コメントをありがとうございました。
      2020/07/19
  • 昔々CMではやった、「一日一善」のような道徳ではありません。

    「一日が一生と思って生きる」
    一日が一生だな。
    今日失敗したからって、へなへなすることはない。
    落ち込むこともない、明日はまた新しい人生が生まれてくるじゃない。
    今日を大切にしなかったら、明日は有りませんよってことでもある。
    今が一番大切だってことだよ。

     先日87才で亡くなられた酒井師は、比叡山の山々を7年かけて修行で
    回る荒行、千日回峰行を2度満行されています。どれだけ偉い修行僧なの
    かと思いきや、気さくで自然な語り口と、若い頃の苦労と無茶は、大阪の
    オッチャンといった雰囲気です。

     自然とともに生きること、自分も自然の一部であり、生かされているとい
    うことを感じるときに、心のありようも変わってくるのかもしれません。

  • 阿闍梨というからにはどれだけすごい人なんだと思うが、文体から感じられる物腰はものすごく柔らかい。でも、物凄い修行を行なってきている人だけにその時どきに感じられた事がずっしり書かれている。
    謙虚でいることの大切さを再確認した気がする。

  • 天台宗の教えとして、教行一致に感銘。
    教えを知っているだけでは、何もうまれない。
    教えと行いが一つになって、意味がある。
    知っている事に満足する事に意味はない。
    常日頃から心がけたい。

  • 分かりやすい語り口調の文章とともに、
    草花の挿し絵にも優しさを感じて読了。
    「仏さんには、なんもかんもお見通しかもしれないよ」と、
    そうであって欲しいなぁ‥
    生き残ったのは、生き「残された」ということ、
    な~んかわかると思いつつ、
    その答えを一生考え続けなければならないのか‥。
    本書で呼吸の、学ぶことの‥生きる上で大切なものを教えてもらった。

  • 天台宗の大阿闍梨となった酒井僧侶のエッセイ。
    10人兄弟の大家族で生まれて、戦時中は特攻隊に任命されるが幸い出撃前に終戦を迎える。

    戦後は様々な職を転々としし、33歳の時に結婚するがすぐに死別する。
    その後もなき嫁の郷里である大阪に住むうちに、比叡山に通うようになり、ある日そこで「行」から出てきた阿闍梨を見て、仏門に入ろうと決心される。

    という、僧侶として以上に1人の人として壮絶な人生を歩んでこられた方。

    そんな方の言葉だから気軽につぶやかれたような話でも重みがある。

    心にとめておきたいなと思った言葉

    ・周りの自分への対応が変わると、自分が偉くなったような気がしちゃう。自分の心を磨くなる。現実に今囚われている世界だけでもって勝負しようとsてしまうから表面ばかりが気になるが、人生は見えている世界だけではないからね。

    ・どんなひどい目にあっても、時間がたてば必ず、色々なことがあったなあと思える時が来る。後になって意味が分かることもある。

    ・何をやるにしても「何のため、何をもって」と考える。これが意外に奥が深くて、なんでも通用する。
    例えば会社に入ったら、会社のためでなくて、自分の人生として、こんなふうにやるべきだと、考えてやればいい。

  • ・とても読みやすく一気に読み終えました。
    優しく穏やかな語り口調ですっと心に入ってきます。
    ・最近心がお疲れ気味の方におすすめです。
    ・ご自身の身近な経験を基に教訓が書かれているのですが、その経験と教訓の結びつきが弱いというか、綺麗に合点がいかない部分があるのと、とても読みやすい分、当たり障りがなく全体的に自分には重みが感じられなかったので星4つとさせていただきました。

  • 千日回峰行を複数回成し遂げた天台宗の僧侶酒井雄哉著。
    若い頃は勉強も運動もできず妻を自殺で失った。波乱万丈な人生の中、仏教と出会い、一日一日過ごす方法を見つけたその内容を記載されている。
    生きていく中で、思い通りにいかないと思う人も勇気付けられる内容になっている。
    「人は誰もがどこにいても何をするにしても何のために来て何をするべきかという宿題を仏様から授かって生きているんだよな。」

  • 一日一生
    朝日新書
    天台宗大阿闍梨 著作酒井雄哉
    千日回峰行を二度満行した大阿闍梨、著書。仏門を志す前のあれた生活をはじめ、回峰行のこと、日々のお勤めのことなどを、まったく飾らずに語るその言葉に、悟りを開いた人の大きさ・深さを感じる。
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

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著者プロフィール

■酒井 雄哉(サカイ ユウサイ)
天台宗の僧侶。1926年、大阪府生まれ。
太平洋戦争時、予科練へ志願し特攻隊基地・鹿屋で終戦。
戦後、職を転々とするがうまくいかず、比叡山へ上がり、39歳で得度。
7年かけて約4万キロを歩く荒行「千日回峰行」を1980年、87年の2度満行した。
天台宗北嶺大行満大々先達大阿闍梨、大僧正、比叡山飯室谷不動堂長寿院住職を務めた。
2013年9月23日、87歳で入滅。

「2019年 『人生を楽しく過ごしなさい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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