人口減少と鉄道 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022737601

作品紹介・あらすじ

全国の路線、鉄道会社を徹底分析。危ないのはどこか、生き残りの条件は?ついに日本が足を踏み入れた人口減少時代。需要が急減する未曾有の状況でも、打つ手はまだ残されている!国鉄改革に命がけで取り組み、構造的に赤字を免れない「三島会社」JR九州を率いること15年。多角経営への邁進で成長軌道に乗せた経営者が、画期的観光列車や新幹線物流はじめ、人口減少時代にも食べていける秘策を明かす!

感想・レビュー・書評

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  • 国鉄の解体の原因がよく分かった。また、これから人口減少が進む日本において鉄道のあり方を改めて考える必要があると感じた。

  • 人口減少する中で鉄道事業がどう生きていけばいいかを考えられた。貨物新幹線の可能性とそれが難しい理由、営業利益率と人口密度の相関について知った。

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  • JRの歴史について勉強するために購読。人口減少にJR九州がどのように立ち向かっていったのか、国鉄時代の殿様商売からの意識転換、事業の多角化というストーリーで、読み物としては面白かった。

  • 2019.10.22 国鉄崩壊からJR九州の躍進、上場までの歴史、回顧録的な元社長の本。面白かった。ただ、やや回顧的すぎるし、やはり内輪の目で書かれている気がする。人口減少社会に鉄道会社がどう生きていくか?もう少しイノベーティブな視点がないと生き残れないのではないか?多角化もこれからは厳しいと思う。

  • 【ノート】
    ・鉄道は装置ビジネス。上下分離もアリだが、やはりトータルで考えた方がよい。その意味で「鉄道学」というものがあってもいい。トータルで考えるのは、やはり大変なので。

    ・鉄道で儲かるかどうかは、単純に人工密度。JR東日本、東海、西日本が儲かって、あとの「三島」つまり北海道、四国、九州は大変。九州では多角化で上場までできた。

  • おもしろかったのですが、タイトルと内容にずれがない? 最後の講義録がわかりやすいし、そこがこの本の概要でもあります。

  • エリートの方でありながら、数々の現場を渡り歩き多様な経験をなさった筆者によるリアリティあふれる鉄道論。
    鉄道に限らずですが、この国のあらゆる産業が人口減少(しかも若い世代の減少が圧倒的に顕著)という状況に直面している状況下における生き残り策を提言されています。
    読めば読むほど、新幹線での貨物輸送はアリだよなぁと思うようになりました。
    巻末付録には、”人口減少時代の鉄道と「国鉄改革」”と題した2017年12月19日に法政大学市ヶ谷キャンパスにて行われた特別講義の様子が文字起こしされています。
    付箋は18枚付きました。

  • 最後の付録にすべてまとまっている。

  •  JR九州初代社長の、人口減少社会でも持続できる鉄道論。
     主張は二つ。多角経営化と貨物新幹線について。
     今回は、特に後者について考えてみる。

     貨物新幹線が実用化すれば、トラック65台分の荷物を一度に、しかも新幹線のスピードと正確さでもって南は鹿児島、北は函館まで運ぶことができるメリットがある。

     俺の考えでは、貨物新幹線の考えは新幹線技術の海外戦略に使えるとは思っている。
     東南アジアの国営鉄道はバカ安で(例えばラムパーン、チェンマイ間3時間乗って運賃80円だった)、そこに日本の新幹線を持って行ったところで運賃でペイできるわけがない。
     たいていの東南アジアは道路事情も悪く、渋滞もヒドい。ゆえに、新幹線を旅客輸送ではなく、貨物輸送に使ったほうがメリットが大きいのではないかと思っている。

     しかし、貨物新幹線を日本で導入できるかというと、俺はそう思わないし、現場目線でもご勘弁。
     新幹線の障害はほとんどなきに等しいが、それでも毎晩何かしらの作業が行われている。この点検作業がなくなることはない。貨物新幹線としての夜間走行は設備屋視点でムリである。
     さらに、貨物鉄道の定時性が全く信頼できない。旅客は比較的定時で動くが、貨物24時間遅れなんてのはよく聞く話だ。そのため、貨物新幹線を導入して定時性を確保できると思えない。

     かといって、貨物新幹線のメリットはある。どうやったら導入できるかという目線で考えると、俺の考えでは双方向運転がキモになると思う。
     新幹線も在来線も、日本では片方向にしか運転しない。しかし、ヨーロッパでは双方向運転は普通だし、日本の新幹線技術を売り込んだ台湾新幹線はATCなのに双方向運転できる仕様になっている。
     日本でも駅構内だけは入れ替えがあるから双方向運転は部分的にはできるのだ。

     双方向運転に加えて、無線ATCがキモになる。無線ATC双方向運転が実用化できれば、四国新幹線を単線双方向フル規格で建設しちゃってもコスト高くつかないんじゃないかと思っている。これから建設される新幹線の輸送密度を考えると単線で十分。
     で、単線双方向無線ATCが可能になれば、月水金と火木土で片側ずつ夜間運転用と保守作業用に分けることができる。もちろん夜間は本数間引いて、落雪の危険があるから速度は在来特急最高速の160km/hほどに抑える。保守作業用の安全警報装置も必要と思う。

     新幹線ネットワークは東京~仙台、東京~岡山あたりは過密区間だが、他は案外30分、1時間に一本と空いている。特に北海道新幹線は現在10往復/日だ。インフラの利用効率を上げるべきと思う。高い建設費使って使わないのはもったいない。

     と、いうわけで本書の主張に乗っかってみた。新幹線の未来は、俺の中では双方向無線ATC化かな、と思っている(新幹線でGPSは100%ねえな)。

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著者プロフィール

石井幸孝
1932年,広島県生まれ.1955年,東京大学工学部卒業,日本国有鉄道入社.開発期のディーゼル車両設計(キハ81形,DD51形等)に従事し,その後経営全般に転進.広島鉄道管理局長,工作局長,常務理事・首都圏本部長などを歴任.1987年の分割民営化にあたってJR九州社長となる.条件の悪い三島会社であるJR九州の経営を軌道に乗せ,1997年,会長就任,2002年退任.鉄道史・交通史を研究すると共に,鉄道の未来についても提言を行う.
主著『蒸気機関車』(中公新書,1971),『キハ58物語』(JTBキャンブックス,2003),『DD51物語』(JTBキャンブックス,2004),『キハ82物語』(JTBキャンブックス,2005),『九州特急物語』(JTBキャンブックス,2007),『戦中・戦後の鉄道』(JTBキャンブックス,2011),『人口減少と鉄道』(朝日新書,2018)ほか.

「2022年 『国鉄―「日本最大の企業」の栄光と崩壊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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