潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022950321

感想・レビュー・書評

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  • 中国を多少知るに物凄いリスクをおかしながら調査をしていることがよく分かる。著者のことはTwitterでだいぶ前からフォローし、発信している情報を興味深く拝見していたが、全くもってしてそれどころではないレベルの食い込み方をしていたことがわかり、脱帽ものでした。丁度重なる時期に二年ほど北京にいたこともあり、当時の時事ネタをタイムリーで見知ってので尚更だった。

    少なくとも今の中国を見ていると、著者が最後に書いたように、最後の中国特派員となる可能性もあると思った。

    一つ一つは歴史の中に埋もれてまうような政治スキャンダルかもしれないが、全体を通して見ると、彼の国の言っていることとやっていることのギャップが大きいということがよく分かる。やはり言葉ではなく、行動で判断することが大切だなと感じる。

    そういえばだいぶ前に読んだルポ隠された中国の著者も同じ朝日新聞だった。結構骨のある記者が多いのだなと感じた。

    P.43
    習は就任当初から、「戦えば必ず勝つ軍をつくる」と頻繁に訴えてきた。日本を含めた海外では、「中国では戦争をしかけようとしているのではないか」といった分析や疑念が出ている。しかし、このような軍内の深刻な腐敗を見てみると、また違った側面が見えてくる。
    カネで官位を買った無能な幹部ばかりが登用され、部隊の訓練が計画通りに行われていないような軍が実戦に臨めるとは思えない。むしろ自ら「戦うことができない軍」であると認めているからこそ、必死になって汚職摘発を進めているとも言えよう。

  • まさに命懸けの記録。たまたま筆者の件がニュースになっていたタイミングで読んでいましたが、、記者として、というより人としてのネットワーク力が惜しみなく発揮されていて、ただただ敬意を示したいです。
    中国、ロシアに関する本を読んでいると、朝鮮半島について理解していないと分からない部分も多く、次は北朝鮮の本を読もうと思います。

  • 自分が中国の奥地をバックパッカーとして訪ねていたのはもう15年以上も前で、その頃はまだネットカフェに行ってようやくネットにつながるような時代であった。
    もはや中国はその頃とは全く異なる環境になっているだろうし、本書でも述べられているように著者の取材時と比べても恐るべきスピードで変化しているのだろう。

    異形の大国中国の戦略的影響は現在はアフリカ大陸など世界中におよび、局所では香港を破壊し、台湾、東〜東南アジアを狙い、ますます看過できない状況に至ってきている。

    中国共産党の政治について中国人のMBAクラスメイトと議論した際に言っていたのだが、彼女は中国から出て欧州に住みたいし住もうと思っている。しかし家族や親類が中国に残り政府に人質として取られている以上、最終的には中国に戻らざるを得ないだろう、と諦観していた。また、中国の若い世代は中国の政治体制に疑問を持ってはいるが、経済発展による恩恵を優先させているとも話していた。
    もちろんN数の少ない観測に基づく推論であるが、中国の拡大はこのような様々な形の歪みに基づいているのであろう。

  • 6年にもわたって中国への特派員として勤務したジャーナリストによる本。当局に拘束された回数は20回に及ぶ。
    取材内容として本書に取り上げられているのは2011年の殲20、2010年サイバー攻撃の発信元である職業訓練校、2011年宇宙飛行士科学研究訓練センター、2011年スパイ活動、2009年空母島と呼ばれる上海の長興島、定点観測を続けた北朝鮮国境、2011年青島に入港したきりさめの取材、2011年海南島の軍事管理区域などなど。
    そしてそれから数年を経て目覚ましい変化を遂げた中国国内についての話も。監視体制や雰囲気など。10年前に2週間ほど訪れた中国だが、今はきっと様子が全く違うのだろうな。

  • ・新型ステルス戦闘機、サイバー空間、宇宙空間、スパイ活動、海軍大国

  • 「潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日」https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21334 読んだ。むー。読みながらいらいらしただけのひどい本だった。なんかもうねエゴの塊でルポとかじゃないの全然、ただすごいでしょボクこんな危険なことやったんだよー!というだけで危険さも何も伝わって来ない話でした、おわり

  • 【振り返ってみれば、私が中国にいた頃が、各地を縦横無尽に駆け巡ってルポができた最後の特派員の時代だったのかもしれない】(文中より引用)

    文字どおりの「潜入」も含め、中国の隠された部分への取材を敢行した様子を綴った作品。党や軍の内実に肉薄しようと試みた貴重なルポルタージュとなっています。著者は、朝日新聞で中国総局員を務めた峯村健司。

    とんでもない突撃取材の数々そのものだけでなく、わずか10年弱の間にこのような取材がほぼ一切できなくなるような状態になっているというのも驚き。現在の中国を知るという意味においてだけでなく、往時の中国の取材感を知る上でも貴重な作品と言えそうです。

    取材ができないのではなく、方法を変えるという意気込みにも☆5つ

  • ステルス機は張子の虎。軍は練度が低いが、習さんが気合を入れてきた。空母では無人機を運用。北朝鮮は中国にとっても暴発が怖い国。一方、経済制裁でかえって資源が適正配分されて復活してきた、などなど。面白い本でした。

  • 取材というものがいかに地道で過酷なものかを知ることができた。また、通常の情報媒体では知りえない中国の実情を知ることができ、改めて中国という国は様々な意味で今後も目が離せないと思った。

    何か物事を認識するときに、一つの情報ソースのみを信じることの危険性は承知の上だが、それでもここまで身を挺して取ってきた情報には大きな重きを置かざるを得ないと感じた。そういう意味で、このようなジャーナリズムが世界中で今後も続いていってほしいと、淡い期待を抱かざるを得ない。

  • 朝日新聞元中国特派員の峯村記者が記した特派員時代に見た中国の実情。
    知っているという話もあったけど、軍事関係とか知らない話もあってちょっとお勉強。結局習さんは経済も軍事も両面で世界一の国になりたいと思っているわけで、両面知らないと。
    カメラだらけの街で、逆に守られている安心感を感じつつありますが、民間人もスパイ容疑で捕まったりしていますので、品行方正に暮らしたいと思います。

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著者プロフィール

峯村健司(みねむらけんじ)一九七四年生まれ。青山学院大学客員教授。北海道大学公共政策学研究センター上席研究員。ジャーナリスト。元ハーバード大学フェアバンクセンター中国研究所客員研究員。朝日新聞で北京、ワシントン特派員を歴任。「LINEの個人情報管理問題のスクープと関連報道」で二〇二一年度新聞協会賞受賞。二〇一〇年度「ボーン・上田記念国際記者賞」受賞。著書に『宿命 習近平闘争秘史』(文春文庫)、『潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日』(朝日新書)がある。

「2022年 『ウクライナ戦争と米中対立』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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