- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022951823
作品紹介・あらすじ
現代日本は「ペアレントクラシー(親の影響力が強い社会)」という言葉で形容できるほど、社会階層の固定化が進んでいる。かつてないくらいに、子どもの社会的地位、学歴と保護者の学歴、経済力とに強い相関関係が見られるようになっているのだ。生徒、保護者、学校、教育行政の観点から日本がペアレントクラシー化に至った経緯を分析し、教育の公正の実現に求められる策は何かを提言する。
感想・レビュー・書評
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人はだいたい、自分のいる階層がほかの階層と交わらない限り、そのメリット・デメリットについて考えることはないのだろう。
そして今の日本は、それがどんどん交わらなくなっている。
これを促進する要因のひとつが、「ペアレントクラシー」であることは間違いがない。
本書は、教育社会学らしく、聞き取り調査やデータを元に分析し、わかりやすく、またさまざまな立場の人(生徒・保護者・教師・教育行政)に視点をうつし、公教育への提言につなげている。
ここ何年か、子どもを育てていてはっきりと感じることがある。
私たちの世代とは、「教育」のあり方がまったく異なってしまっていること。
渦中にいて振り回されながら、「日本の教育は、はたしてこれで良いのか」と考え続けている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
格差格差と言われる中身をペアレントクラシーという視点から切り取った一冊。
アリストクラシー=貴族主義
メリトクラシー=能力主義
ペアレントクラシー=親の影響力の強い社会
戦前の身分社会から比べれば生活も豊かになったのにもかかわらず、格差については逆行しているような、進化しているような印象を受けた。
いうなれば「格差2.0」といったイメージ。
今後も追っていきたいテーマだった。 -
教育格差は親の経済格差からもたらされることが、周知され、「親ガチャ」という言葉も流行した。
この親の影響力が極めて強い社会を「ペアレントクラシー」という。メリトクラシーの究極の形として立ち現れる「ペアレントクラシー」の不平等と差別を分析している。
新自由主義的発想が「ペアレントクラシー」を作り、公教育がおざなりとなってしまった。卓越性より、公平性を重視しよう、卓越生も多様なものとしようというのご、本書の主張。
維新のお膝元の大阪大学でこのような論を展開するのは、さぞかし苦労も多かろうと思うが、さすが、真っ当な研究者である。
最後のまとめが、やや物足りないが、このような本が多く世に出ることが、世論を変えていくことになると思う。 -
高橋・新書ガイドから。本書でもチラッと触れられるけど、改めて”親ガチャ”って変な言葉。聞いても意味がよく分からない、センスの悪いネーミング。似たような印象の言葉に”エモい”があるけど、そういう言葉が増えてくるの、イヤだな。ちょっと話が逸れているけど、本書のタイトルも、そういう意味ではいまひとつ分かりづらい言葉。内容も、各視点からってことで子・親、先生、政治から語られているけど、いまひとつ機能し切っていないというか。
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東2法経図・6F指定:371.3A/Sh49p/Ishii
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「クラシー」〜の支配
「ペアレントクラシー」親による支配、親の影響力がきわめて強い社会 -
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