アンティーク・ディーラー 世界の宝を扱う知られざるビジネス

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023312012

作品紹介・あらすじ

【社会科学/社会】ヨーロッパのジュエリー、エジプトの古美術、アフリカの仮面、中央アジアの仏像、中東の古代ガラス、中国骨董など、世界にはまだまだ“秘宝”が存在する。世界各地を訪れ買い付けを行う著者が、不可思議な美術品とアンティークビジネスの裏事情を明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 銀杏堂 スフィンクスのつめ で参考文献にあった一冊。
    混沌の市場に向かう高田さんのお話の元になったとあり、興味を持ちました。


    978-4-02-331201-2
    c0036¥1600E
    アンティーク・ディーラー
    世界の宝を扱う知られざるビジネス

    著者:石井陽青(いしい ようせい)
    発行所:朝日新聞出版

    2013/08/30. 第1刷発行

    著者さんの略歴はメモへ
    --------------------
    カバー袖より
    お宝探して、西へ、東へ
    ジュエリーから古代エジプトの仮面まで、
    世界各地のマーケットを探索しておよそ20年

    銀座・日比谷に店を構える著者が謎に包まれたアンディー区の世界を語り尽くす。
    ニセモノ事情、鑑定方法
    これまで手にした世界各国の悲報まで、
    美しくも楽しいアンティークの世界へようこそ。
    ------------------------
    アンティークが好きとかというわけではなく、かろうじて、そういうものが世の中にはあるんだと言う程度の知識しかないので、この本に出会ったとしても、開かなかったとは思う。他の児童書の参考文献にのっていたので、世にいうお宝はどうやって人間の手に取られるのか。という興味で開きました。

    それ以外の収穫として、この人(このようなことを生業とする人たち)はどうやってこの道に入ったのかと言う興味がありました。
    著者さんは代々骨董屋さん(アンティークディーラーも兼ねる)で身近にあったのですね。なるほど。あとがきには自分の子どもについても書かれていました。文中には先達さんたち、後進たちについても気に留めている様子があり、国を超えて人と人とのつながりがあって成り立つことなんだなぁと感じました。

    この本には書かれていないけれど、危ないこともあったんじゃないかな・・。迷路のような市場で迷子になったり、治安上危ないところへ意図せず紛れ込んでしまったり、水や食べ物、宗教に習慣がそれぞれ違うので、誤解されないほうが稀な環境で、体を壊したり、怪我や病気などもあっただろうに。そう思うと、ぜひ、クレージージャーニーなどでピックアップしてもらいたいなぁ。

    この本を読んでいて、アンティークじゃなくてもいいのでとんぼ玉がほしいなと思いました。お手頃のものとのご縁を待ちましょう。

    ----------目次----
    はじめに
     1 過去と未来をつなぐ仕事
    アンティーク・ディーラーの世界
     2 ものの見極め方
    真贋を見抜く方法
     3 ヨーロッパ・アンティーク事情
    良品はすべて欧州に集まる
     4 アジア・アンティーク事情
    悲報探しの場から巨大マーケットへ
     5 中東・アフリカ・アンティーク事情
    いまだ根強いマニア垂涎の品々
     6 アメリカ・おセニア・アンティーク事情
    砂漠に世界のお宝が集結
     7 アンティークの楽しみ方
    ジュエリーを通して知るものの見方
    終章 アンティークの未来
    人類の遺産を継承するために
    21世紀のアンティーク
    あとがき
    参考文献
    ------------------------------

  •  敷居が高そうで、縁遠いアンティークの世界をのぞき見る一冊。
     それぞれの品物の鑑定の仕方や、アンティーク業界の業態や世界の趨勢も併せて知ることができる。
     「アンティークディーラー」は優雅な印象とは裏腹に、世界各地を飛び回り、商品を買い付ける仕事。体力も要求されるが、同時に確かな知識や経験に裏打ちされた鑑識眼も必要なハードな仕事。
     だまされたり、ぼられたり、空港で没収されるのも日常茶飯事だが、思わぬところで掘り出し物や良品に巡りあることもある。
     さまざまな品物とそれにまつわる著者の悲喜こもごものエピソードが、写真入りで気軽に読める。
     カタい内容ではないが、著者のアンティークにかける愛と情熱が楽しい入門にも適した一冊。

     個人的には、カメオはオバサンくさくて、いままで全然興味がなかったが、モノクロの写真からでも伺える美しさや技巧の高さが楽しめた。

  • 生粋のアンティークディーラーさんによる貴重な記録。ここまで赤裸々に、良心的に情報をシェアできることが本当にすごい。

    彼のような本物と向き合うディーラーさんからすると、壊れたヴィンテージをリデザインして販売するわたしの仕事はご法度ものなのかもしれない。それでも、わたしにできる形で後世に残し、ヴィンテージやアンティークを残し、提案していきたい。


    以下メモ
    アンティークと言う言葉には、実は厳密な定義があります。
    アンティークとは、「今から100年以上前に作られた製品」を指します。対象はジュエリー以外にも、家具、工芸品など様々です。この100年と言う区切りは一体いつ誰がなぜつけたのでしょうか。なぜ80年や 90年では無いのか?
    その発端は、1934年にアメリカで定められた、アメリカ合衆国通商関税法の中にある、アンティークとは100年以上前に作られたものを言う、と言う文面です。ここではアンティークには関税がかからないことが明記されています。これが基準となり、アンティークとは、100年以上前のもの、2021年 現在では、1920年以前のものをアンティークと呼ぶわけです。この定義は、現在もWTOで採用され、ヨーロッパの大多数の国や日本でも通じます。

    逆にヴィンテージには、厳密な年代特定はありません。あえて定義するとすれば、「生産が現在を得ている古いもので、価値あるもの」。例えばヴィンテージと言うとすぐ連想されるのが、ヴィンテージジーンズやヴィンテージワイン。10年20年しか経っていないものでも、発売した当時から10倍以上の価値になっているものもたくさんあります。ヴィンテージは、雑貨類やアクセサリーなど などにも使用される用語であり、古さの単位にかかわらず、価値ある古いものを指すと考えていただければ良いでしょう。

  • ・各国で人気のある品目
    ・買い付けでその国を訪れたときの実体験
    ・プロはどういった部分で鑑定しているのか
    など充実した内容で読み応えがあった。

    また、闇オークションはあるの?偽物と本物の見分け方は?いわくつきのお宝って実在するの?といった素人が興味を抱きやすい内容にも触れてくれていて嬉しかった。

    ただ、筆者がかつて手にしたことのある名品を紹介するページはぜひカラーにしてほしかった~!

  • 美しいものや、歴史的意義があるものなどに関心を持ち集める。そこまではいいんだけど、その後は結局高く売り飛ばすのが商売。何がこの仕事の社会的意義なのか。アンティークを日本の客に啓蒙して買ってもらうこと?誰のための仕事なのか。

  • 本書は力作である。
    アンティークが急速に廃れてしまっている日本に於いて、周りの人に少しでも興味を持ってもらおうとする強い意志を行間から感じる。
    また色校の問題もあるからだろうが、全ページモノクロで価格を抑えている所にも好感が持てる。

    アンティークを頂戴しても置き場所に困るのが正直なところだったが、本書を読み、少し考えを改めようかと思った。

  • 本書で初めて「アンティークとは」という定義を知った。まさか、アメリカ合衆国通商関税法(1934年)がもとになっていたとは驚かされた。
    アンティークジュエリーは、転売しにくいから盗まれにくいなど、裏側を覗くことができて面白い。
    ネコのミイラもアンティークになるなんて!
    アンティークって奥が深い。

  • 多くのビジネス同様、長期的な努力と信頼の積み重ねが鍵をにぎる。軌道に乗れば世界中を駆け回れるビジネスである。マーケットは縮小傾向だが、ハマればとんでもなく面白いビジネスだと思う。

  • アンティークを買うために世界中を周った筆者のエッセイ。
    主に地域別にどんな商品を手に入れたのかをどんな人と出会ってどんなことがあったのかとか、最終章でお気に入りの商品の解説。

    筆者はそれほど年でもないけれどそれでも後継者がいないことを嘆いているのが印象的だった。
    あと世界は狭いらしい。

  • 地域別の中では、中東・アフリカの章が読み物として特に面白かった。国籍を問わず、もっとも世界情勢に敏感なのは商人なんでしょう。

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