- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023312012
作品紹介・あらすじ
【社会科学/社会】ヨーロッパのジュエリー、エジプトの古美術、アフリカの仮面、中央アジアの仏像、中東の古代ガラス、中国骨董など、世界にはまだまだ“秘宝”が存在する。世界各地を訪れ買い付けを行う著者が、不可思議な美術品とアンティークビジネスの裏事情を明かす。
感想・レビュー・書評
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敷居が高そうで、縁遠いアンティークの世界をのぞき見る一冊。
それぞれの品物の鑑定の仕方や、アンティーク業界の業態や世界の趨勢も併せて知ることができる。
「アンティークディーラー」は優雅な印象とは裏腹に、世界各地を飛び回り、商品を買い付ける仕事。体力も要求されるが、同時に確かな知識や経験に裏打ちされた鑑識眼も必要なハードな仕事。
だまされたり、ぼられたり、空港で没収されるのも日常茶飯事だが、思わぬところで掘り出し物や良品に巡りあることもある。
さまざまな品物とそれにまつわる著者の悲喜こもごものエピソードが、写真入りで気軽に読める。
カタい内容ではないが、著者のアンティークにかける愛と情熱が楽しい入門にも適した一冊。
個人的には、カメオはオバサンくさくて、いままで全然興味がなかったが、モノクロの写真からでも伺える美しさや技巧の高さが楽しめた。 -
生粋のアンティークディーラーさんによる貴重な記録。ここまで赤裸々に、良心的に情報をシェアできることが本当にすごい。
彼のような本物と向き合うディーラーさんからすると、壊れたヴィンテージをリデザインして販売するわたしの仕事はご法度ものなのかもしれない。それでも、わたしにできる形で後世に残し、ヴィンテージやアンティークを残し、提案していきたい。
以下メモ
アンティークと言う言葉には、実は厳密な定義があります。
アンティークとは、「今から100年以上前に作られた製品」を指します。対象はジュエリー以外にも、家具、工芸品など様々です。この100年と言う区切りは一体いつ誰がなぜつけたのでしょうか。なぜ80年や 90年では無いのか?
その発端は、1934年にアメリカで定められた、アメリカ合衆国通商関税法の中にある、アンティークとは100年以上前に作られたものを言う、と言う文面です。ここではアンティークには関税がかからないことが明記されています。これが基準となり、アンティークとは、100年以上前のもの、2021年 現在では、1920年以前のものをアンティークと呼ぶわけです。この定義は、現在もWTOで採用され、ヨーロッパの大多数の国や日本でも通じます。
逆にヴィンテージには、厳密な年代特定はありません。あえて定義するとすれば、「生産が現在を得ている古いもので、価値あるもの」。例えばヴィンテージと言うとすぐ連想されるのが、ヴィンテージジーンズやヴィンテージワイン。10年20年しか経っていないものでも、発売した当時から10倍以上の価値になっているものもたくさんあります。ヴィンテージは、雑貨類やアクセサリーなど などにも使用される用語であり、古さの単位にかかわらず、価値ある古いものを指すと考えていただければ良いでしょう。 -
・各国で人気のある品目
・買い付けでその国を訪れたときの実体験
・プロはどういった部分で鑑定しているのか
など充実した内容で読み応えがあった。
また、闇オークションはあるの?偽物と本物の見分け方は?いわくつきのお宝って実在するの?といった素人が興味を抱きやすい内容にも触れてくれていて嬉しかった。
ただ、筆者がかつて手にしたことのある名品を紹介するページはぜひカラーにしてほしかった~! -
美しいものや、歴史的意義があるものなどに関心を持ち集める。そこまではいいんだけど、その後は結局高く売り飛ばすのが商売。何がこの仕事の社会的意義なのか。アンティークを日本の客に啓蒙して買ってもらうこと?誰のための仕事なのか。
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本書は力作である。
アンティークが急速に廃れてしまっている日本に於いて、周りの人に少しでも興味を持ってもらおうとする強い意志を行間から感じる。
また色校の問題もあるからだろうが、全ページモノクロで価格を抑えている所にも好感が持てる。
アンティークを頂戴しても置き場所に困るのが正直なところだったが、本書を読み、少し考えを改めようかと思った。 -
本書で初めて「アンティークとは」という定義を知った。まさか、アメリカ合衆国通商関税法(1934年)がもとになっていたとは驚かされた。
アンティークジュエリーは、転売しにくいから盗まれにくいなど、裏側を覗くことができて面白い。
ネコのミイラもアンティークになるなんて!
アンティークって奥が深い。 -
多くのビジネス同様、長期的な努力と信頼の積み重ねが鍵をにぎる。軌道に乗れば世界中を駆け回れるビジネスである。マーケットは縮小傾向だが、ハマればとんでもなく面白いビジネスだと思う。
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地域別の中では、中東・アフリカの章が読み物として特に面白かった。国籍を問わず、もっとも世界情勢に敏感なのは商人なんでしょう。