捨てない未来 キッチンから、ゆるく、おいしく、フードロスを打ち返す

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023319660

作品紹介・あらすじ

農業生産者のサポートや「夜のパン屋さん」「大人食堂」などフードロス×飢餓ゼロ運動に力を注ぐ人気料理研究家が伝える、未来を捨てないために今考える食のこと。藤原辰史京都大准教授との対談、食材にも体にもやさしい保存法やレシピも。【本書の内容】■第1章 小さな台所と社会システム ○枝元なほみ×藤原辰史対談1「女に押し付けられるものがある?」  対症療法と、根源的な変革/楽しく食べること。誰かを傷つけずに食べること/システムの中に食べ物がある/戦場化する現代/食べられないことの恨み/「二度と飢えさせない」プロパガンダ/多様性に耐える ○ロスを打ち返すキッチン1    大物野菜を駄目にしない、ロスにしない     発酵白菜/半干し大根/にんじんの塩揉み/揚げねぎ   ついつい残しちゃいがちな香味野菜     三つ葉、せり、茗荷、しそ/青唐辛子、赤唐辛子/フレッシュハーブ類   余りがち、放置しがちなスパイス、乾物、調味料     パプリカ、ナツメグなどのスパイス類/中華料理、韓国料理用の乾物や調味料    ○フードロスについて考えてきたこと 00   芝居から学んだ、人の生き死にと食べること/   「一番貧乏な人は飢え死にですね」/ビッグイシューのフラットな関係性/ 捨てられているむかごをお金にできないか/姿形の悪い子たちに行き場を/「捨てない」を重荷にしない■第2章 右肩上がりの坂をパタンと倒す ○枝元なほみ×藤原辰史対談2「奪い合うパイは地球にはもうない」   ビックリマンチョコが象徴していたもの/欲望せよと駆り立てる社会/食べ物は消えていく/虚栄心と小さな自分/時間に自分をゆだねる ○ロスを打ち返すキッチン2    冷凍庫利用のすすめ    だしをとった後の昆布/油揚げ/きのこ類/生姜/トマト/     ついでながらパンの冷凍庫保存について   漬けたり、焼いたり     漬物/焼き野菜/柑橘ピール   晒について    ■第3章 根本に「愛」のようなものがあれば ○システムを内部から分解していく人たち /鴨志田農園/ばんざい東あわじ ○枝元なほみ×藤原辰史対談3 「『里芋の皮、揚げるとうまいね』の世界」  人が「混ざる」ことがいい/プライドの問題と食堂、給食/料理することと人間の尊厳/資本主義を内部から分解する ○コロナ禍や予想外に始まる戦争で見えた、抜け落ちている中身##著者略歴枝元なほみ えだもと・なほみ横浜市生まれ。劇団の役者兼料理主任、無国籍レストランのシェフなどを経て、料理研究家としてテレビや雑誌などで活躍をつづける。一方で、農業支援活動団体である社団法人「チームむかご」を立ち上げたり、NPO法人「ビッグイシュー基金」の理事も務め、雑誌「ビッグイシュー日本版」では連載も執筆。2020年に、フードロスと貧困問題の解決にチャレンジするため、営業時間終了直前に売り切れなかったパンを引き取って、同雑誌の販売員や、そのほか仕事がない人たちが販売する仕組みを実践する「夜のパン屋さん」をスタートする。また、子どもたちの給食を有機食材にするための活動にも心

感想・レビュー・書評

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  • 社会への優しい視線が感じられる枝元さんのエッセイは『生活と自治』でも人気です。本書はフードロスについて語り、問題を社会や歴史的観点から紐解いています。N

  • 藤原辰史さんとの対談がおもしろかった。
    「人を好きになるとか、ごはんがおいしくてたまらないとかいうのとは違う方向に、私たちが本来持つべき欲望が転移してしまっている。」
    「競争するときの負けないぞという気持ち、あるいは嫉妬といった人間の基本的なものを駆り立てることによって、資本主義は成り立っている。」
    「欲望を抱けと上から駆り立てられているのを、できるだけ我々の本来的な欲のほうに戻してあげれば、きっと、もっと休んでいいよ、もっとごはんをおいしく、2時間でも3時間でもゆっくり食べていいよという社会になると思うんです。」(p101)

    p114~115の豆をゆでる話にものすごく共感。
    豆を一晩水に漬けるというと、その時間を損してしまう気がする、消えてなくなるようなものに時間を使うのは損だと考える人が多い、と。
    水が戻してくれるだけなのに!
    で、「損得勘定だけしていくと、ちょっとでも自分の時間を奪われないためには、全部でき上ってパッケージに入った食べ物を買って、食べきれなければ捨ててしまうのがいい、となる。でも、食べ物の面倒を見てやることは、時間が奪われるのとは逆のことだと思うんです。」
    「社会もそういう方向に変わっていけるといいなと。豆を自分でゆでることが楽しいと思い、おいしいと思うようなことをとおして変わっていけたら…と」

    枝元さんはそんな暮らしを「猫ぐらし」と呼んでいるそうだけど、わたしもすでに「猫ぐらし」(笑)
    豆を煮たりパンを焼いたりするのが楽しい。何物にも代えがたい時間です。
    そういう人が増えるといい。そんなふうに暮らしていると、幸せを自家発電できます。

  • 少し気になっていたけど見ないふりしていました。
    大量生産、大量消費のかげに大量廃棄があることを。
    フードロスを減らしていきたいという気持ちを
    持ち続けようと思いました。そして、自分自身の
    食べ物ゴミ(できたら生活ゴミも)を減らしていきたいです。

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00564753

  • みんなが自分の命を削らなくても生きてけるような社会の土台、衣食住の土台を整えることが重要になってくる
    とあり、正にそうだと思う。
    ロスを打ち返すレシピも実行したい!
    「猫ぐらし」理想です。

  • 食べものを無駄にしないためのノウハウだけでなく、社会全体の屋台骨を食べ散らかしている資本主義が地球と未来を危うくしていることを藤原辰史さんと語っています。
    第一次世界大戦時のドイツでたくさん餓死者が出て、ヒトラーは「飢えさせない」というプロパガンダで人気を得たとか歴史の話も面白かった。
    ネギを刻んであげるのも美味しそう。
    「フードロス」対策は捨てるモノを利用するのではなく、そもそも食べられるものを捨てないこと。大量生産、大量消費、大量廃棄の社会システムを変えないとだめよね、と。

    枝元さん、本当に偉いなあ。
    お腹空かせてる人のことを黙ってみてられないし、日本を変えてゆこうと頑張ってます。

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著者プロフィール

料理研究家。

「2023年 『高校生と考える 21世紀の突破口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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