- Amazon.co.jp ・本 (30ページ)
- / ISBN・EAN: 9784032010503
感想・レビュー・書評
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マリー・ホール・エッツ作。やまのうちきよこ訳。
これもまた意味深な絵本。
「はるのまきば」で草をはんでいる牛が、おいしい草をほかの動物たちにもごちそうしてやりたくなる。
そこにきたカケスが、お客を招くよう提案。動物たちを呼んできてあげようと飛んでいく。
(じつはこのカケス、ちょっと牛をからかってやろうとしている。草なんて食べない動物たちは呼んでもすぐに帰ってしまうだろうと嗤う)。
さてまきばに動物たちがやってくる。馬にヤギに豚に羊に犬と猫に、ガチョウとめんどり、おんどり。そしてねずみ。
みんなは楽しく歌ったり、おどったり、おにごっこをしたりする。そしていよいよ「おしょくじ」の時間。牛はとくいげに草をすすめる。
しかし草なんて食べない、犬が帰ってしまう。猫、ガチョウ、豚、めんどり、おんどりも、ねずみも帰ってしまう。
カケスが枝の上で笑う。牛は悲しくなる。
ところが、草を食べる馬や羊やヤギはその場に残って草をはむ。それから夏が終わるまで、みんなはなかよく草をはむ。
カケスはもう笑わない。樹上から動物たちを見下ろしながら歌う。
「みわたすかぎりの くさはらで、
みんながくさをたべるなら、けんかなんか おこらない。
みんな みんな、しあわせだ。でも やっぱり……
ぼくなら ありが たべたいな。
けむしだって ほしいのさ。」
作者の生きた時代背景を知った今、ここにも戦争を想わずにはいられない。カケスが戦争のトリガーの象徴にしか見えない。
しかし作者は決してそれを良くないものとしては描かない。各動物がそれぞれの欲望を抱えているのは当然のこと。
それと同じ意味で作者は、平和や仲間どうしの連帯を望む牛を善きものとしては描かない。牛の抱く幻想もまた、価値観の押し付けにすぎないという冷徹な目を持っているから。
善悪はおいといて、生きるということはそういうことなのだという真実をまるごと描こうとしている。でも本作には不思議と、諦めという毒気は漂っていない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マリー・ホール・エッツの本。草の大好きな牛がいろんな動物を牧場に招待して草をご馳走しようとするけど、中には草が好きじゃない動物もいて…というお話。ちょっと意地悪なカケスが、色々な動物を招待し、「でもみんなすぐに帰っちゃうだろうよ」と笑うシーンで、娘が「帰らないよ!」とカケスに抗議をしたりするので、ちゃんとストーリーを把握しているんだなぁと感心しました。
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「牧場の牛が、友だちをパーティーに招いてごちそうしましたが、草のきらいな動物もいたのです。自然界のありのままを伝える絵本。 3才から」
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読了
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春のまきばのおいしい草を、誰かにごちそうしたい と思ったうしは、おきゃくさまを呼ぶことに。
招かれたどうぶつたちは喜んで集まり、歌ったりおにごっこに興じたり盛り上がります。
でも、ごちそうが草しか無いと知った肉食のどうぶつたちはがっかりして帰ってしまい、うしは悲しくなってしまう。
仲良くすることと無理して合わせることはべつのもの。
みんななかよく教 みたいな組織や集団が多いことに疑問を感じているので、このおはなしの成り行きには潔さを感じます。
それと、みんな草が嫌いなのかしら…と落ち込むうしに
「ぼくは、だいすきだよ。」と、初めに言ってくれるうま。
すごくかっこいい。 -
ストーリーがしっかりとあるので、未就学児からでも読んでほしいですね。