モ-モ-まきばのおきゃくさま (世界の新しい絵本)

  • 偕成社
3.61
  • (13)
  • (14)
  • (32)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 248
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (30ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784032010503

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • マリー・ホール・エッツ作。やまのうちきよこ訳。

    これもまた意味深な絵本。
    「はるのまきば」で草をはんでいる牛が、おいしい草をほかの動物たちにもごちそうしてやりたくなる。
    そこにきたカケスが、お客を招くよう提案。動物たちを呼んできてあげようと飛んでいく。

    (じつはこのカケス、ちょっと牛をからかってやろうとしている。草なんて食べない動物たちは呼んでもすぐに帰ってしまうだろうと嗤う)。

    さてまきばに動物たちがやってくる。馬にヤギに豚に羊に犬と猫に、ガチョウとめんどり、おんどり。そしてねずみ。

    みんなは楽しく歌ったり、おどったり、おにごっこをしたりする。そしていよいよ「おしょくじ」の時間。牛はとくいげに草をすすめる。

    しかし草なんて食べない、犬が帰ってしまう。猫、ガチョウ、豚、めんどり、おんどりも、ねずみも帰ってしまう。
    カケスが枝の上で笑う。牛は悲しくなる。

    ところが、草を食べる馬や羊やヤギはその場に残って草をはむ。それから夏が終わるまで、みんなはなかよく草をはむ。

    カケスはもう笑わない。樹上から動物たちを見下ろしながら歌う。
    「みわたすかぎりの くさはらで、
    みんながくさをたべるなら、けんかなんか おこらない。
    みんな みんな、しあわせだ。でも やっぱり……
    ぼくなら ありが たべたいな。
    けむしだって ほしいのさ。」

    作者の生きた時代背景を知った今、ここにも戦争を想わずにはいられない。カケスが戦争のトリガーの象徴にしか見えない。
    しかし作者は決してそれを良くないものとしては描かない。各動物がそれぞれの欲望を抱えているのは当然のこと。
    それと同じ意味で作者は、平和や仲間どうしの連帯を望む牛を善きものとしては描かない。牛の抱く幻想もまた、価値観の押し付けにすぎないという冷徹な目を持っているから。
    善悪はおいといて、生きるということはそういうことなのだという真実をまるごと描こうとしている。でも本作には不思議と、諦めという毒気は漂っていない。

  • 中古購入

    サーモンピンク色の表紙に惹かれて
    手にとって
    鉛筆描きのかわいらしい牛にほっこり
    色もデザインのうちだと改めて思う色
    牧草に混じったキンポウゲと夜景に
    黄色もプラスされている
    サーモンピンク・黄・黒(鉛筆)
    このお話にピッタリの色合い

    うしがモーモー牧場の草を
    みんなにご馳走したいわと呟くと
    カケス(鳥)がみんなを誘ってこようと言う
    でもちょっとイタズラしたくなって
    草を食べない動物たちも誘う
    おもわず意地悪だなぁと読みながら呟くと
    子どもも ひどいよ!とカケスに文句
    それぐらい うしは“いい人”そうなのだ
    動物たちはみんなとっても楽しそうだし
    うしもとっても嬉しそうなので
    どうなっちゃうのかちょっとドキドキ
    子どもは無言だったけれど
    同じ気持ちなのが伝わってくるような
    真剣な空気を感じた
    案の定 草を食べない動物たちは帰ってしまう
    でも残った動物たちを見て
    「このこたちはくさをたべるからへいき
    ◯◯ちゃんしってるから」
    と得意げに そして嬉しそうに教えてくれた

    文才がなくてうまく言えないのだけど
    読者をドキドキさせた分
    おいしい牧草を分かち合える仲間との幸せな時を
    他の絵本よりも長くして
    余韻を残してくれた感じが良かったなぁ
    カケスは意地悪をしたけれど
    自分が他の動物を誘ってる間に
    仲間にキンポウゲで花冠を作ってあげてと頼んだり
    最後のページのセリフで
    やっぱりうしが好きなのねって思う
    “いい人”が愛されていて
    とても安心する絵本だった

  • マリー・ホール・エッツの本。草の大好きな牛がいろんな動物を牧場に招待して草をご馳走しようとするけど、中には草が好きじゃない動物もいて…というお話。ちょっと意地悪なカケスが、色々な動物を招待し、「でもみんなすぐに帰っちゃうだろうよ」と笑うシーンで、娘が「帰らないよ!」とカケスに抗議をしたりするので、ちゃんとストーリーを把握しているんだなぁと感心しました。

  • 基本図書らしいので、借りてよんだ。

    はるの まきばで、うしが くさを たべています。
    おいしいくさを ごちそうするために、うしは みんなを モーモーまきばに しょうたいします。

    春らしいきれいなピンクに、差し色のイエローがかわいい。
    食べ物があんまり美味しいから、誰かにご馳走したい、というお裾分けのような心がすてきだ。
    かけすのちょっと意地悪な気持ち、こういうのってあったかもなぁ。
    招待したみんながみんな、草をおいしいと思うわけではないけれど、おいしいと思ってくれるひともいる。
    それでいいと思う。
    ねこがチェロ、はきっとマザー・グース。
    絵だけをよんだら内容がわからなかったし、文と絵がずれているところがある。
    『わたしとあそんで』のほうが好きだ。

  • 「牧場の牛が、友だちをパーティーに招いてごちそうしましたが、草のきらいな動物もいたのです。自然界のありのままを伝える絵本。   3才から」

  • 読了

  • <COW'S PARTY>

  • 春のまきばのおいしい草を、誰かにごちそうしたい と思ったうしは、おきゃくさまを呼ぶことに。
    招かれたどうぶつたちは喜んで集まり、歌ったりおにごっこに興じたり盛り上がります。
    でも、ごちそうが草しか無いと知った肉食のどうぶつたちはがっかりして帰ってしまい、うしは悲しくなってしまう。

    仲良くすることと無理して合わせることはべつのもの。
    みんななかよく教 みたいな組織や集団が多いことに疑問を感じているので、このおはなしの成り行きには潔さを感じます。

    それと、みんな草が嫌いなのかしら…と落ち込むうしに
    「ぼくは、だいすきだよ。」と、初めに言ってくれるうま。
    すごくかっこいい。

  • 原題 cow's party

    かけす
    こまどり
    うま
    やぎ
    ぶた
    ひつじのこ
    いぬ
    ねこ
    かちょう
    めんどり
    おんどり
    ねずみ

    猫のチェロでお誕生日の歌を歌う
    ひらいたひらいたを歌う
    おにごっこ

    もーもーまきばには草しかないのだけど
    どうする

    6分

  • ストーリーがしっかりとあるので、未就学児からでも読んでほしいですね。

全22件中 1 - 10件を表示

やまのうちきよこの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×