- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784036355006
感想・レビュー・書評
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シリーズの中で、一番重い作品。読み進めるのが辛く、何度も本を閉じた。
私たちは過去にきちんと向かい合っていない。そもそも知識すら正しく持っていない。自分達がしてきたことを知りもせず中国や韓国を非難する言葉をぶつけるのはあまりの所業ではないか。子どもの受難。子供らしく甘えることができなかった時代。早くに消えていった命たち。次の世では幸せに生まれ、穏やかに死を迎えられたのであって欲しい。
松谷さんの作品は優しい作品しか知らなかった。過去に対して熱い思いを秘めているからこそ、優しい作品たちが生まれたのだろう。 -
直樹とゆう子の物語の最終巻。太平洋戦争の終戦時に朝鮮から引き上げてきたみすずさんの体験談を中心とした物語。
悲惨なことは多々ありますが、それは「人」の問題というより、それを引き起こした「時代」であるとも思えるし、ひいては、それを招いた「国」の問題でもあるように思えます。
でも、そんな「国」を作ってしまったのは「人」ですから、やはり、一人ひとりの良識と選択が、のちの運命を作っていくのかもしれません。
今の「選択」が、のちの「国」と「時代」を作る。
「今」が「戦前」なのです。
そう思うと、人の選択には重い責任が発生しますね。
『ふたりのイーダ』からの年月を思うと、直樹の成長ぶりが頼もしく、嬉しい。 -
★あらすじ
中学3年生になったゆう子は、花姫の山荘の管理人・みすずさんが語ったテープの起こしを、ルポライターの母からアルバイト感覚で請け負う。
みすずさんは、不思議な体験を数多くしている人なので、ゆう子的にはそっち方面の話を期待してのことだった。
しかしそのテープに入っていたのは、みすずさんが終戦時に、子供3人を連れて朝鮮から引き揚げて来たときの、過酷な体験談だった。
★感想
大陸からの引き上げのという事実に初めて出会ったのは、藤原てい『流れる星は生きている』を読んだ小学生の頃でした。
もちろん愕然としました。ホントにもう、読んでてつらくて悲しくてorz
この本も、ホントつらいんですが『流れる…』よりは幾らかキツくなかったです。
それはみすずさんの淡々とした語り口のせいもあると思うんですが、大戦中に日本の一般民衆が行った、朝鮮半島の人々に対する罪を、みすずさんがしっかりと認めて受け止めているからじゃないかと思いました。酷いことをしたのは、軍だけじゃないんだよね…
忘れちゃいけないことだよな、と改めて肝に銘じました。 -
「直樹とゆう子の物語」。実はまだ読んでいない。
この作品で完結するという「「直樹とゆう子の物語」は、自分の子どもが大きくなったら絶対読ませたい本である。 -
(2001/8/11(土))