ドクター・サンタの住宅研究所

著者 :
  • 偕成社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036431106

感想・レビュー・書評

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  • 著者の稲葉なおとさんは、東京工業大学建築学科卒業の一級建築士さんです。
    児童書はこの「ドクター・サンタの住宅研究所」が第1作目ということです。

    「モリノ・マンション」のすぐ前に、高い木が生いしげった、深い森がありました。その森の奥には、怖いものが棲んでいるーという噂がありました。

    さて、本当にその森に住んでいるのは?ふふふ。

    モリノ・マンションに住む3人の子どもたちが、
    それぞれの悩みに困って歩いていると、公園の先の森に見覚えのない道が開けていますー
    「家についての悩みと相談なら、なんでも受け付けます。」「お母さんにも、先生にもできない相談、大歓迎。」

    『森の住宅研究所』にシャム猫と一緒に住んでいる、ちょっと?クセのあるドクター・ピエール・サンタのお悩み解決法がちょっと意外です。笑
    相談の前には、内緒の試験もありますよ。
    子どもたちに楽しく読んで欲しいです。

    大野八生さんの装丁のイラストもオシャレですね。

  • モリノ・マンションの前にある深い森。
    普段はフェンスに囲まれているけれど、悩みを抱えた子供たちの前には森の奥に続く道が現れます。
    入り口には金色の看板、道に沿って進むと辿り着くのは「森の住宅研究所」。
    ドクター・ピエール・山田の研究所です。
    あ、「やまだ」じゃありませんよ、「さんた」です。

    ドクター・サンタはちょっと癖のあるおじさまですが、礼儀正しい悩める子供たちを彼の大発明で助けてくれるのです。
    本書では3人の子供たちがドクター・サンタの元に相談に訪れます。
    いいなぁと思ったのは、それぞれの子供たちがドクター・サンタの発明品を通して「気付き」を得られたところ。
    すっきりした読後感で、最後までわくわくしながら読みました。

  • 絵本でよくある、フォーマット的な話の流れかと思いきや、あまり見ない形の連作短編でした。
    話の微妙な流れだけでなく、ハコである建物さえも、人によって形を変えます。
    ファンタジー要素だらけなのに、子どもの悩みはとてもリアル。大人になってもこの感覚を持ち続けているなんて、作者、素敵すぎです!
    子どもの心にきちんと尊厳が与えられている、良質な児童書に出会えて幸せでした。読んだ直後に再度読みたくなります。

  • 家って、ただのケースじゃないよなぁ。
    ということをしみじみと思わせる。

    児童書だけれど、これから家を建てる大人が読んでも面白いと思う。
    陥りがちな住宅プランの欠点をわかりやすく教えてくれる。

    このドクター・サンタは著者を投影しているんだろうね。
    蛍光灯に怒る部分は共感。

    建築マニアには物足りなくても、そこはほら児童書ということで
    これから建築に興味を持つ子が増えたらいいなというところだよね。

  • 子供の色々な悩みを、不思議なやり方で解決していく、
    ドクター・サンタ(山田)の研究所。
    どれもこれも、住宅に関するやり方で解決していくところが新しい!
    同じパターンを踏襲していく、よくありがちな短編集ですが、
    「住宅」というくくりのストーリーになっているところが新鮮でした。

    賃貸にせよ、持ち家にせよ、少なくとも、住空間に関して、
    一度でも悩んだことのある人はちょっと目を通してもいいかと思います。
    絶対に興味が持てるはず!

    作者は元々建築工学関係の人で、多数の執筆があるようですが、
    児童書は始めてとのこと。
    というよりも、こんなテーマの児童書は、世界でも初めてではないかと、
    推測されます。

    直ぐに読み終わりますので、ちょっとでも興味のある方はどうぞ。

  • ★★★★★
    けっしてはいっちゃいけない森の奥には、みんなの悩みを解決してくれる秘密の研究所がある。
    礼儀にきびしくって頑固なドクター・サンタが解決するお悩みは三つ。
    お家をもっと大切にしたいなあとか、もっと気持ちよくお家の中で暮らせるんじゃないかなあと思える^^
    不思議な研究所にへんてこな博士、すましたネコに不思議な解決方法、独特な雰囲気を持つお話でした。
    作者の方は建築のお仕事をされているようです。
    (まっきー)

  • 児童書とは本気で思っておらず…。
    マンションに住む子供たちが、
    親にも、学校の先生にも相談できない悩みを、
    ドクター・サンタに打ち明ける。
    そしてドクター・サンタは、
    その悩みを解決すべく、
    ある発明品を、相談者の子どもに届ける…。

    家のこと、勉強になりました!

  • えっと。「住宅研究所」という特性が、もっと入ってるストーリーかと思っていたので……
    肩すかし感が……否めません。
    おもしろかったのですが。

  • 家庭の悩み事を抱えた子どもが
    ふらりと迷い込んだ不思議な家「住宅研究所」。
    そこに住むドクター・サンタ氏が
    悩み解決のため、ある物を届けるという。

    3話収録されたおもしろい話で
    子どもより私自身が勉強になりました。

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著者プロフィール

東京工業大学建築学科卒業。一級建築士。建築家を経て98年、旅行記『まだ見ぬホテルへ』で作家・写真家としてデビュー。長編旅行記『遠い宮殿』でJTB紀行文学大賞奨励賞受賞。500軒以上の名建築といわれる宿に宿泊取材し、写真集、小説、児童小説を刊行するなど活動領域を広げ、日本建築学会文化賞受賞。取材開始から15年を経て刊行された本書『ホシノカケラ』は、児童小説『サクラの川とミライの道』、写真集『津山 美しい建築の街』と共に、著者ゆかりの街・岡山県津山市を題材にしている。他にノンフィクション『夢のホテルのつくりかた』など著書多数。

「2023年 『ホシノカケラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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