トムテ

  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (30ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039610904

感想・レビュー・書評

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  • 雪明かりの中に浮かび上がる夜の農場。美しい絵に思わず息を呑むほど!

    小人のトムテは、食糧小屋や牛と馬、仲良く眠る羊の親子を見てまわります。鶏小屋を出て、犬のカーロに会ったら、母屋の主人夫婦も見まわりました。最後はもちろん子どもたち。かわいい寝顔を見るのがいつも楽しみだから。

    ひいおじいさんが子どもだったずっと
    ずっと前から見守ってきたトムテ。
     ひとは どこから くるのだろう
     ひとは どこへ いくのだろう

    真冬の夜空に瞬く星の下で、あらゆるものが眠りについています。
     ねむらないのは こびとの トムテ
     ただひとり

    「あとがき」を読むと、トムテを大事にすれば、夜番をしたり仕事がうまくはかどるように手助けをしてくれると書かれてありました。
    クリスマス・イブにはお粥を器に入れてうまやや納屋などに置き、食べてもらうのだそうです。
    スウェーデンでは、毎年大晦日の夜に、リードベリの詩「トムテ」がラジオで朗読されると知りました。やさしく寄りそうウィーベリの絵に魅了される絵本です。

  • 雪がしずかに降りつもる夜。
    こびとのトムテはそっと、夜の番へと歩きだします。
    こたえのない問いを、抱えながら。

    真冬の夜に読みたい1冊。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    読み聞かせをしているとき、「不思議な語感の文章だなあ」と思ったのですが、その謎を解くカギはあとがきの説明にありました。

    「外国語版の絵本『トムテ』には、リードベリの詩を用いたものと、それをもとにアストリッド=リンドグレーンが書き改めた文によるイギリス版・デンマーク版等があります。この日本語版は、リードベリのすぐれた詩のスウェーデン版をもとにしました。(編集部)」(引用)

    つまりこの絵本「トムテ」の文のもとは、詩だったのです。

    この絵本のなかのリードベリによる詩は、不思議な響きをもち存在しています。
    さらにその詩によりそう、まあるくて深い色合いのハラルド=ウィーベリの絵が、夜にしずかに降りつもる雪の“空気”と“音”をも、想像させてくれます。

    わたしが特に好きなのは、雪の牧場を描いた一枚目の絵です。
    そこにはまさに、“眠る”牧場の姿が、描かれています。
    その絵を眺めていると、わずらわしい大雪さえもまた、心おだやかに受けとめることができるから、不思議です。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    深い深い雪とともに、牧場を夜回りしながら、「人はやがていなくなる。どこへいなくなるのだろうか」というこたえのない問いを考え続けるこびとのトムテ。
    トムテはずっとずっと長い時を生きているこびとなのですが、おそらく「死」というものを知りません。

    「こどもが おやになり、また その こどもたちが おやになる。
    にぎやかに たのしく くらし、としおいて、やがて いってしまう。
    だが、どこへ いくのだろう。」(引用)

    トムテにとって人間の死にあたるものは、「どこかへいってしまう」ことと同じなのですね。

    生まれて育ち、年老いて、人間はいったいどこに「行く」のでしょう。
    トムテだけではなく、人間もほんとうの意味では、そのこたえを知りません。

    トムテは今日もまた、深々と降る雪の中で、そのことを考えながら、夜回りをするのでしょう。

  • 寒いスウェーデンの農場で終わりのない夜番をし続ける妖精のお話し。

    物語の進行は特になく、しんしんと積もる雪のように情景を描写しつつ、トムテが考える生命の不思議をまた綴っていく。

    独特の言い回しとふっくらとした挿絵で、とても暖かな気持ちにさせてくれます。

    遠くからかすかに届く滝の音が、人が生まれやがて去っていく時の流れを連想させるシーンがお気に入り。

  • のんびりして眠くなった

  • 言葉がきれい。
    生命の不思議を語り、生きている喜びを伝えている
    そんなことだろうか。
    読んでいて言葉の美しさにはっとさせられる。

  • スウェーデンに伝わる小人のお話。我が家にもトムテはいるのかな。

  • 図書館で借りました。もらったことに感謝する心はしっかり持とうと思いました。

  • トムテ。静かな雰囲気。こういう存在を信じる気持ちを大切に。

  • 月イチ絵本。
    何気なく手にとって購入した。
    北欧の妖怪?トムテ。
    何百年、何千年かもしれない。
    一人存在してきたトムテ。
    人が生まれ成長し死ぬのを見続けてきた。
    人はどこから来てどこへゆくのか?
    突然現れて少し存在して突然消えていく。
    トムテの時間軸からしたらあっという間のことだろう。
    かといってかなしいとかそういうことは思っていなさそう。
    それが自然。
    当たり前のことである。
    まあ疑問には思うんだけど。
    深い。
    なんだか深い。
    人は生まれそして死ぬ。
    そういうもんである。

  • 長い時を過ごす親切なトムテを好きになる人は多いと思う。

  • 2017/12/11 学年読み3年生(2017年度)

  • 【図書館で】トムテは、長いこと、この農場を見守り続けている。だけど、『難しすぎる。わしにはやっぱりよくわからん』と悩んでいる。つまり、トムテは、成長しないってことなのか?といまいち私も “よくわからん”。

  • 見たことある内容だと思ったらリードベリという人物の詩だった。

    スウェーデンではトムテと呼ばれている小人。
    ノルウェーやデンマークではニッセと呼ばれている。

    この詩はスウェーデン版のこのリードベリとイギリス、デンマーク版のリングドレーンのがあるのだとか。
    前に見たのはリングドレーンの「見回り小人」かな。

  • 冬の夜のやさしい雰囲気の絵本ですよ。

  • 冬っぽくて気になっていたので、借りた。

    トムテ:スウェーデンの農家や仕事場などにすんでいる小人。その姿をはっきり見る機会はない。何百年も生き続けて、その家の人々が幸せになるように守っている。ノルウェーやデンマークでは、ニッセとよばれる。

    同じ詩的でも、『きんいろのとき』と比べて、読みやすい。
    「わしには まだ、どうも よくわからん。」、私もです。
    しん、きり、とした夜気を感じる。
    みどりの夜空がとっても美しくて、オーロラが出ていそうだ。
    生きていくふしぎ、美しい夜、の絵本。
    子ども向けではない。

  • スウェーデン、トムテ、懐かしい…こんなお話しいいな…

  • スウェーデンの小人トムテの話
    ちょっと大人向けな雰囲気でしたね
    小学生中学年以上といったところでしょうか
    絵も語りもいいですが…ちょっとテーマが重い気がします

  • クーナかな。
    そうかな。

  • 詩的で穏やか。
    大切に大切にしたい絵本。

  • 2011年度:6緑

    • ふみさん
      星越さんに紹介してもらった絵本です。
      なんかこれは、シンシンと心の奥に入り込んでくる。
      こびとのトムテは、家族とそれを取り巻く全てを優しく見...
      星越さんに紹介してもらった絵本です。
      なんかこれは、シンシンと心の奥に入り込んでくる。
      こびとのトムテは、家族とそれを取り巻く全てを優しく見守っています。
      ざしきわらしやトイレの神様に近しい日本人には何やら染み入る昔話。
      こども達の反応はまちまちですが、こういう無意識に訴えかけるようなロングセラーは、折をみて紹介していきたいジャンルです。
      2011/07/16
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