好きなシリーズなんだけど、この巻は個人的に残念な内容だった。
まず、主人公であるティグルがほとんど出てこない。これだけでもう減点80。見どころなし。
作者は「この物語の主人公はティグルブルムド・ヴォルンと戦姫達です」ってところなのかもしれない。
戦姫のサーシャが目いっぱい活躍してるから主人公不在じゃないですよ?って言いたいんだろうけど、俺としては、この物語の主人公はティグルなわけよ。
ティグルが出てこないと話にならんのよ。面白くねーのよ。
全然駄目。ひどい。残念。
そんで、前巻の感想でも書いたけど、死病ヒロインって大っ嫌いなんだよね。
死ぬ死ぬヒロインってすげー萎えるの。
サーシャはいいキャラだけど、どうせ死ぬんだったたら静かにとっとと早く退場してほしかった。
いい話でしたよ?いいキャラでしたよ?トルバラン戦面白かったですよ?
でもどうせ死ぬのがわかりきってるんだから、見せ場なんかいらんのよ。これが男キャラだとまた違うんだけど、死病ヒロインはホント駄目。
サーシャが退場してくれて正直ほっとしたけど、この8巻の見どころの半分は死病サーシャが作ってるから、個人的にまったく楽しめなかった。
いや別にヒロインが死んでもいいのよ。戦姫なんだから、戦死する場面はあってもいい。
だが死病は駄目だ。キャラに価値を見出せない。どうせ死ぬんでしょ?としか思えない。
あとはまあ、必要だってのはわかるんだけど、サブキャラの王権争いとかが蛇足過ぎる。
いやこれもあっていいのよ。むしろあったほうがいいんだけど、それは主人公の活躍とかのツマであるべきなの。
主人公がまったく活躍しないこの巻で、次の巻のための準備とわかりきっている第三勢力の王権争いなんて、読んでてちっとも面白くないのよ。
その後で主人公が活躍するからこそ、そのめんどくさい無駄知識も楽しめるんだけど、メインディッシュがテーブルの上にないのに、大根の千切りだけ食わされるようなもんなわけで。いらいらするわ!ホント。
最後に、エリザヴェータとティグルの関係も残念すぎる。
せっかくティグルが記憶喪失という非常に美味しいシチュエーションなんだから、もっとティグルとエリザヴェータの関係を掘り下げてほしかった。
エリザヴェータがティグルにこだわるようになるまでの描写が少なすぎる。
もっと交流させて、お互いの信頼を高めるようなエピソードがほしかった。
なにこれ?ティグルが行方不明になった意味も、記憶喪失になった価値も、まったく生かせてない。
もっと・・もっとやりようがあったんじゃないか?
出来ることが、すべきことが、やっておくべきことが、まだまだあったんじゃないの?
こころのそこから、この8巻は残念な内容だった。
もっと・・・もっと・・・みたいところがあったのに。
記憶喪失になったティグル視点で、もっと丁寧にエリザヴェータとの交流を描いてほしかった。
オルガとの交流はあんなに丁寧だったのに。