怪異探偵の喰加味さんは悪意しか食べない (富士見L文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 85
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040731261

作品紹介・あらすじ

一風変わった探偵・喰加味に騙され、探偵の助手となった優。彼の目の前で喰加味は毎回依頼人に握手を求めるが、それは妖怪である彼が人間の悪意を食べるための儀式だった!凸凹コンビが謎解く怪奇ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • パン兄弟があまり好みではなかったので、それほど期待せずに読んだ(失礼)けど、こちらはとても楽しめた。やっぱり同じ作者さんでも、1作品で評価を決めちゃうのはもったいないねー。大好きな作家さんでも、好みでないときあるもんなぁ

  • 喰加味さんと優くんが出会ってから仲良くなるまでのお話でした。
    『正直すぎる青年』とあらすじにあったので、優くんはぴゅあぴゅあ天使系なのかと思っていた時期が私にもありました…。優くんの一人称で話が進むのですが、三章くらいまでは喰加味さんのやることなすこと気に入らないという描写の連続で、宿無しになりそうなところを特にひどい条件でもなく住処を与えられたというのに延々雇い主への反発を読まされるのかと思うと正直挫折しそうでした。
    が、三章からは喰加味さんにだいぶ慣れたようで態度が軟化し、四章では完全に仲良しになっているので一気に面白くなりました。主人公と相棒が不仲なのは苦手、仲良しが好き、という人はとにかく三章まで読んでほしい。心を開いた優くんはとてもいい子です。
    正直過ぎるというよりは世間知らずの青年が、喰加味さんを通してたくさんの悪意を見ることによって成長していく物語であるのは間違いないのですが、喰加味さんの成長(?)物語でもあったのは驚きでした。
    あらすじに書いてある通り喰加味さんは人間ではなく妖怪なので、人間基準の善悪はあまり意味をなしません。人間を餌としか思っておらず食欲を第一に行動する変人として登場するわけですが、優くんが喰加味さんの言葉と事件を通して変わったように、喰加味さんもまた優くんという人間を傍に置くことで考え方が変化していきます。自分で考えることから無意識に目をそらし続け反発していた優くんと、己の食欲さえ満たせれば人間の都合はどうでもよかった喰加味さんが、お互いに影響されて距離を縮めていく姿を見守る一冊でした。ピアノのエピソードがかなり好きです、これだけで買ってよかったと思えるくらいぐっときました。
    お互いがお互いを必要としていることを確かめ合うという、個人的にはここからが本番というところで終わってしまったので、ぜひとも続編が見たい。仲良しな二人を永遠に見ていたいです。

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著者プロフィール

2015年、第3回富士見ラノベ文芸大賞にて応募作『風見夜子の死体見聞』が金賞を受賞。応募作を改稿した本作にて、富士見L文庫より作家デビュー。

「2016年 『風見夜子の死体見聞 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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