蜘蛛ですが、なにか? Ex (カドカワBOOKS)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040735641

作品紹介・あらすじ

『蜘蛛ですが、なにか?』の世界観が鮮明になる!
ネタバレ要注意の設定が詰まった、魅惑の一冊!

1.書き下ろし&過去の店舗特典SS、計30本以上!
2.輝竜司先生のキャラクターデザイン30キャラ以上!
  設定ラフやこだわりポイントも掲載。
3.輝竜司先生描き下ろしカラーイラスト5点!
4.転生した他クラスメイトたちの固有スキルが明らかに!

感想・レビュー・書評

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  • イラストと小品集。書き下ろしは2つだけだったが、メイト、とら、メロン、ゲーマーズの特典やカドカワフェアの特典まとめ。ほとんど読んでないものばかりなので、結構エンジョイできた。ただし、相変わらずの短編苦手なので、楽しさも細切れというか微塵切りみたいな感じはする(主観)。イラスト集&設定集的なものに、プラス特典まとめ、大変良いと思う。他のコミックやラノベも特典のペーパーとかこんな感じにまとめたものが出ると良い。

  • まさかWEB版との違いが、書籍化の影響とは。

    小ネタ満載でおもしろかった。

  • 本書はEXとある通り、ファンブックである。
    描きおろし短編や裏設定等々である。

    中でも、著者インタビューが面白かった。

    13巻を読んだときに、13巻で明かされる内容を最初から考えて伏線を張っていたとするとすごいなと思ったものだ。
    これまで転生者シュン視点で書かれていたアナレイト王国の王位継承に関連するクーデーター事件が、実は黒幕が白であり、白の糸引きにより引き起こされていたことが明らかになった。これまでのお話と矛盾なく、しかも白の行動原理としても破綻なく見事に伏線回収がされていた。
    これが、当初から意図していたものだったことが明らかとされた。

    そもそも、「蜘蛛ですがなにか」は、これまでの異世界転生物語で、ゲーム的なステータスや数値が特に疑問なく採用されてきたが、その「ステータス」や「数値」はその世界にとってどのような意味があるのか、その世界の創造主はなぜ「ステータス」や「数値」を採用したのか、といった疑問から考察をはじめ、世界観が形成された。
    管理者Dや主人公白以外のキャラクターはストーリーテリングの必要性から生じたキャラである。
    どうやら、著者にとって本作の主人公は、異世界そのものであり、管理者Dであるようだ。

    このような物語の作り方があるのかと感じ入った。

  • 特典SSがこのような形で読めるのは大変嬉しいです。
    サイズ違いのファンブックとかにならなくて良かったぁ。

  • 戦い、お食事、おめかしに……、盛りだくさんの迷宮、異世界ガイドマップ。

    本来なら十二巻と十三巻の間に刊行されるはずだった『蜘蛛ですが、なにか?』の設定資料集であることはもちろん、過去に販売特典として付属したSS(ショートストーリー)などをまとめた一冊がこちらになります。
    諸々の事情、新型コロナウィルス(COVID-19)を主因とするアニメの放送開始延期が最も大きな影響とは存じますが、アニメの直前、約一か月前というナイスなタイミングでのリリースと考えればなにもかも許せてしまいます。

    さて。最初に断っておきますがネタバレの度合いとしては相当に高いのでそこをまずはご留意ください。
    最新の十三巻で本格登場するキャラクターまで網羅しているので新規層向けではありません。どちらかと言えば原作を商業書籍で読んできたファン向けにプラスアルファ―をもたらす本と考えてください。

    そちらの線から買い求める方に向けてプレゼンをしておくと、入手が難しいのに関わらず本編の補完としてかなり優秀だった掌編――各種SS集をまとめて読める恩恵はかなり大きいかと存じます。
    単独では物足りなかった4Pリーフレットの掌編が集合することでSS間に相互補完を発生させて、結果的に満足度と作品全体の完成度が上がるのだと私は思案する次第です。

    構成としては主人公にとってのはじまりの地になった「エルロー大迷宮」をはじめに舞台や所属勢力などのテーマごとに章立てがされています。章ではキャラクター、各種設定資料、SSがまとめられ、その間を原作者「馬場翁」先生のインタビューが箸休めとばかりに置かれる構成となっているのですね。

    私見を述べさせていただければ、テキストよりビジュアル重視です。
    世界そのものの設定文などは控えめで、感性で追っていける読み心地になっています。

    その上でネタバレを避けたい方向けに言わせていただけば……。
    最初の二章ぶん、「エルロー大迷宮」と「学園」は原作書籍六巻までの読了を推奨。
    「魔族軍」は九巻まで。関連する「人魔大戦」はその上で可能なら十二巻までを読了した上で読み進めることをおススメします。「エルフ、神言教」については最新刊のキャラも出ていますがそもそもの分量が少なく、裏事情にまで踏み込んだ説明がされていないので六巻まで読めば十分でしょうか。

    「かかし朝浩」先生が手掛けられている漫画版のみを追いかけている方にとっては2020年12月現在原作書籍五巻に突入した段階ですので、そちらの読者向けに提示できる選択肢としましては差分の五、六巻の二冊分を書籍で読んで追いつくか、もう開き直って突貫するかの二択でしょうか。

    また、「学園」の章に関しては漫画版ですとほぼ完全にノータッチです。
    仮に読まれる場合はネタバレを気にするよりアニメ視聴前の予習と割り切る選択もありかもしれません。

    設定資料集ならある意味当然ですが、全体的に既出情報でまとめられた体があります。
    ファンの間で公式からの見解を幅広く共有できる意味は大きいので無駄になっているとは思いませんけどね。
    とはいえ、繰り返しますように散逸気味なSSとイラストを一冊にまとめた功績はかなり大きい。

    それと後述しますが、新設定が欲しいファン向けの蔵出し情報としては巻末付近の「他転生者達」の章に集中している感があります。ここだけは「絶対に」九巻までを読了した上でお読みください。一ファンとしては懇願しかできませんが、原作で知った方がより一層よいので。

    登場人物の時系列順行動表やあらすじなどは載っていませんが、おおむね刊行順に今まで顔を出したキャラクターが順次並べられています。ここまでの流れを追いたいという既読者向けのユーズにも応えているとは思います。
    シリーズを追ってきたファンにとってはいよいよひとつの決着と「その先」を見据えた十四巻を前に、今までの流れを確認する一本になっているといえるかもしれません。

    終盤に差し掛かってのタイミングで刊行された設定資料集としては申し分ないかと。
    既にキャラクターもほぼ本編で出尽くしたでしょうし、彼女ら彼らのファンに向けたイラストも充実しています。非常に満足させてもらいました。

    一方、「次」の設定資料集を見据えるとすれば、いよいよ種明かしが連続する本編完結後に込み入った情報をテキスト、図解ベースでまとめるのかなと勝手に予測していたりもしますが、それこそ私見ですね。
    また、エルロー大迷宮以外のモンスター、延いては意外とキャラが立っている「龍/竜」関連は地龍を除いて未収録という都合もあるのでやはり第二弾にも期待したいところです。

    まぁ、それはそれ。そんなわけで気になる内容の内訳についても延べておきます。
    先ほども述べたように本書はイラスト担当者の「輝竜司」先生の、一枚にして世界を開く挿画に合わせて全体的な構成を組んだ感もあります。

    主人公「私」が各種形態、表情集などを含め丸々合算して10P強、「学園」パートのシュンとそのパーティーメンバーなど、「魔族軍」パートに属するソフィア&ラースからなるメインキャラが2Pずつ。
    その他のキャラクターデザインありのサブキャラが1Pずつの紹介という配分ですね。

    この本の表紙にもいますが、進化前のフェイ(漆原美麗)のデザインなどはアニメと並行してデザインされたのか(推測ですが)ここが初お目見えです。
    書籍に収録されている既存イラストであっても彩色が施されていたりで印象が変わりました。

    服飾の構造やちょっとしたコメントも含めてデザイン画はいずれもファンにとってはお宝でしょうね。
    中世風ファンタジー世界、王侯貴族のデザインと現代日本の一般的高校生たちの感性と精神の融合というべきか、華やかで細やかではあるのですが親しみが持てるわけです。

    一言で喩えるなら人も魔物も一切合切ひっくるめた「魔法の地図」というべきか。
    最初の章である「エルロー大迷宮」などはモンスターと地理地形の情報重視でまさに探検の手引書のような形態になっているのがその印象を補完しています。その辺に関しては輝竜先生の筆による迷宮内の風物、魔物のスケッチ画の大量収録が下支えしているとアピールしてもよいかもしれません。

    なお、今回のレビューでは描き下ろしイラストの内訳に触れることはしませんが、表紙画は十三巻分きちんと網羅しているのでそれだけでも元は取れるかもしれませんね、

    では次にSSについて。
    資料的価値としてはこぼれ話程度から本編の補完まで、内容もかなり幅広いです。
    乱暴ですが、章ごとに収録されているSSの傾向について軽く触れていきます。

    「エルロー大迷宮」では、主人公が出会ったけど本編では触れられなかった魔物についての内容が主でしょうか。
    それからレベルアップ、進化を重ねるにつれてできることの多くなっていく主人公が自分の身体構造を確かめたりと、些細な疑問に答える幕間も。いずれも独り語りがいつも通りにコミカルで、時々かなりシュールです。
    そんな中で「糸」にまつわる表裏一体のSSは本編の裏話になっているので外せない作品かもしれません。

    「学園」では前世とのギャップに平和に悩むシュン視点と、それに加えて前世は男性だったのに女性として現世での経験値を積んでいくカティア視点を半々で。主人公とは違った視点からこの世界の一面を切り取っていきます。

    上流階級には特定のスキルが必須技能として組み込まれていたりと、こっそりと作中世界観を補完、補強するような一幕が用意されていたりもします。この辺、SSは本編の一部ではないのですけれど単にお遊び要素と割り切れないと思ったりで地味ではあるんですが嬉しくなりましたね。

    「魔族軍」ではにぎやかし役の「パペット・タラテクト・シスターズ」の珍行動を中心にこの辺では振り回される側に回った主人公が目玉でしょうか。
    大人数での旅の最中という話の前提あってか、和気藹々と楽しいSSが揃っています。揃えて読んでこそなのに揃えるのが難しいSS四本が揃ったということで、本書が世に出てよかったーと思うことしきりなど。

    「人魔大戦」では戦火を前にやたら素っ頓狂なSSも入っていますが、本編で語られなかったひとつの戦線について語った本書書き下ろしSSも収録されています。次の「他転生者達」の章のSSにも書き下ろしSSが一本入っていますが、本編を理解する上で余技ではあるけれど知っていれば趣が増すくらいのバランスといったところでしょう。





    ではそろそろレビューの終わりが視野に入ってきたので本書の目玉である「他転生者達」について述べていきます。この章においては本編中にいるはいるんですけど、本筋には絡めなかった(であろう)その他大勢の転生者(クラスメートたち)の人柄と転生に伴って付与された特典スキルが公開されました。

    まず前提として確認しておきたいのが本作のジャンルは「集団転生」モノでもあり、その総員としては生徒二十五名+教師一名。うち、主人公とレギュラー陣(+本筋に一応絡めた者)は現状で十二名強、つまりは約半数。
    加えて、本編の進行につれて各人の特典スキルは明らかにされていったのですが、最新刊時点でも六~九名とごく限られていたわけです。

    いよいよ本編が最終局面に差し掛かる中、実際に本編で触れられるかどうかはわからないにしても一挙公開するタイミングはここを置いて他には存在しないかもしれません。
    個人的見解を述べると使い方によっては筋書きすら変わっていたと思わせるチートスキルがいくつか散見されたり、かと思えばやっつけ仕事としか見えないスキルも見えたりでなんというか残酷に思えました。

    本当に神の視点に立っていて、上記スキルを管理する立場にあり(一応)作中人物にも関わらずこの作品の全てを掌握している黒幕「D」からの一言コメントも挿入されていたりするので、文量自体はそこそこでも拾える情報量は多いと思います。何者かの意図が加わることで多角的に分析できるのはなかなかに心憎い計らいなのかも。

    悪意のコメントが情報を毀損せずに確度を高めているのは皮肉ですね、なんとも酷い事実です。
    「D」は本書で結果が発表された人気投票の上位に食い込んだようですが、(性質上表舞台に出てもらっては困るキャラで)出番自体はそうでもないのに思い入れを傾ける読者が多い事をもうなづける存在感の出し方でした。

    そうそう、人気投票といえば巻末に、刊行に先立ちTwitter上で告知・公式に開催された企画の結果発表が収録されていたりもします。ここで詳細を述べることはいたしませんが、人気の傾向を掴むには申し分ないかと。

    キャラクター部門、主人公の進化形態部門、モンスター部門の三部門。
    各部門に対して一人一票だったので、母数もまだ小さい方なので票が固まる向きはあると思いますが、今後の商品展開を占う上でも参考になっていいのかな? などと一読者としてはいらん心配もしてみます。

    かく言うわけで、余談も混じりましたがさてもさても。
    最後に原作者「馬場翁」先生のインタビューについて触れてからお別れしようと思います。
    内容としては以前に既出のものもあるとはいえ、「アラバ」周りの心情や作劇的なメタ事情込みの創作事情など、分量としてはそこそこながら作者の真摯な人柄を拾えて今後の展開に期待を持てるものだったと述べておきます。
     
    結末を先に考えてからリアルタイムで執筆していったからこその手に汗握る激闘が生まれたり、メディアの変遷に従って加筆修正が施された結果――など裏事情が明らかにされます。クライマックスが見えてきた今だからこそ、言葉の一字一句が重いですね。
    とはいえ、どうか重くなりすぎず軽快にお読みください。きっとこの本はその助けのために編まれたのですから。

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著者プロフィール

小説投稿サイト「小説家になろう」に2015年5月より『蜘蛛ですが、なにか?』を投稿開始。初投稿作品だったが一躍人気作になり、本作で書籍化デビュー。アニメ化も決定しており、WEB版はPV数4億6000万を超えるヒット作となっている。(2019年9月現在)

「2022年 『蜘蛛ですが、なにか? 16 短編小説小冊子付き特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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