彼女が好きなものはホモであって僕ではない 再会 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 402
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040742458

作品紹介・あらすじ

BL好き女子・三浦紗枝との偽りの恋愛を終わらせ、大阪に転校した同性愛者の少年・安藤純は、クラスメイトの前でゲイであることをいきなりカミングアウトした。自らもゲイである五十嵐明良は、そんな純に苛立ちを覚える。一方、BLを楽しめなくなったことに悩む紗枝は、以前から仲の良かった高岡亮平から告白されるも返事に逡巡し、いまだ純への想いを消化できていない自分に気づく。やがて紗枝は大阪へ向かい、二人は再会するが……。同性愛の少年と腐女子のその後の物語。ミスター・ファーレンハイトの壮絶な過去を描く番外編も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 前作の続きから始まる。
    これはもう、やり取りが普通の高校生同士の恋愛で、相手が同性であろうと異性であろうと変わらない。純がのびのびとしていて本当に良かったねと思う。
    「名前を付けて保存」の恋愛と「上書き保存」の恋愛。それは男女の違いじゃない。
    みんなそれぞれ自分なりの答えを見つけて成長して終わる。こちらの読後感はとても良かった。

    それに対して、ファーレンハイトの話の番外編。前作から結果が分かっていて覚悟をして読んだのに、想像以上に凄くて切なくて悲しくて気持ちがざわつく。
    これはフィクションだと思いたいが、似たことは多くあるに違いないと思うとやりきれない。
    簡単にどうこうできることではないが、考え続けなければいけないと思う。

  • 心の中のツッコミ?ボケ?が面白すぎてたくさん笑った。
    大阪弁なのでテンポが良い。
    同性愛をどう思うか?
    大きなテーマ。
    ファーレンハイトの話が壮絶で凄まじい。
    中学生なのに、考え方が大人。
    もう、番外編なのに、こっちがメインだった。
    苦しくて、想いが大きすぎて、涙が出る。
    「ただ人を好きになっただけ」
    靴を履かずにタクシーに乗るって。
    よっぽどだよ。
    結末はそれ以上のことだった。
    細川さん、草を抜いてキレイにしてくれてありがとう。
    忘れられないすごい話だと思う。

  • 一~三話目までは楽しく読める。転校先で新しい仲間と共に歩み始めた純くんと、かつての仲間たちそれぞれのその後の成長ストーリー。みんないろいろな心の葛藤を抱えながらも少しずつ前に進んでいく様子が微笑ましかった。しかし四話目に関しては、前の巻にてすでに結末がわかっていることもあり、この先にはあの結末が待っているんだよなと思いながら、一つ一つかみしめるような気持ちで読んだ。周りに理解者が誰もいなかったせいで二人だけで世界を完結させてしまったのは寂しい限りで、純くんたちの話とは対照的だった。

  • 前作の続きで純の大阪での新生活の話。
    新しいクラスメイトや生活の中で心の成長が登場人物達にあるのが素敵だった。
    五十嵐が純の元交際相手を勘違いしたり、ゲイだけどクラスメイトの女子に告白されたり、恋愛って難しいなと思う所も沢山あった。

  • 「望むように育つ子しか愛さない親」、一番の不幸はこれなんだよ。前作でかなり重要だったファーレンハイトの過去編は辛すぎて咀嚼しきれないな。

    誰が好きだろうと、どういう風に生きようが歩こうが、自分が自分に向ける感情葛藤、自分で自を追いつめたら落ちるところは一緒なんだな。自分で自分が気持ち悪くてしょうがなくなる気持ちもよく分かるしあるし。でもちゃんと抜け出せる答えがあって再会に登場する人物達は…ただ一人を覗いて…ちゃんと騒がしく進んでいくんだ。あとは直哉に幸あれ!
    除くただ一人、暴走腐女子な後輩はあれだな、「年を取って感情思考にブレーキが利かなくなったわけじゃなく、最初からそう言う人」ってやつだな。そのまま順調に成長したら、ただの迷惑なおばさんで老人。

  • 前作の後日談。
    前作は苦しい描写も多かったが、今作は軽い印象 (ミスター・ファーレンハイトの過去編を除く)。
    各キャラクターの心情がかわるがわるコミカルに描かれている。ファン向けの続編。
    前作がとても好きだったので、私ももちろん楽しめたが、前作できれいに終わっているため蛇足な気もした。
    純たちの後日談でほっこりする一方、ミスター・ファーレンハイトの過去編は壮絶だった。後日談より過去編の方が好きだった。
    何かひとつでも違っていたら、もっと救いのある結末だったかもしれないのにと思わずにはいられなかった。

  • 2019年にNHKで『腐女子、うっかりゲイに告る。』のタイトルでドラマ化された『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』
    その後の彼らを追った物語。

    大阪に転校した安藤純はいきなりクラスメイトの前でゲイである事をカムアウト。
    その堂々とした態度に彼の成長を感じ嬉しくなる。

    元カノ・紗枝との再会シーンはまさに青春。

    作品内で姿を見せずとも、一際存在感を放っていたミスター・ファーレンハイト。
    彼の壮絶過ぎる過去を描いた番外編はひたすら苦しい。

    例え彼らの事を受け入れる事が不可能でも排除する世界は間違っていると言い切れる。

  • 再会とタイトルにあるように前作の続き。
    前半は前作で出した結論が間違いじゃなかったと思えるような造りになっていて大阪に転校した主人公のその後が複数人の視点で描かれている。
    ひとりひとりの単純さと悪人ではない感じが救いを感じる。

    後半は前作での重要人物だったミスターファーレンハイトのお話。
    これは前作の時間軸で話が進んでいくので彼の結末を知っている状態で読むことになるんだけど、知ってるからこそ読んでいるのがしんどい。
    救いがない・・と思う反面、きっとこういうことも実際に起きているのだろうなとも思う。

    前作が問題定義、今作がそこからの光と影を描いているように感じる。

  • 前作も素晴らしかったですが、こちらもとても興味深かったです。

  • 前作からの続きからの話。
    純とさえちゃん、良平、小野くん、ケイトさん、誠さん、新たに出てくる純の転校先の人間模様、
    みんながそれぞれただ高校生で、大人で、葛藤しながらもそこにあるものを当たり前に愛していく光景が想像できて、前作よりも微笑ましく読めた。

    しかし最後のミスターファーレンハイトの話がもう、辛くて辛くて、彼が死ぬ最期のその時まで見届けてるみたいでもう涙が止まらず。。。
    純もあきらも九重くんも決して何も無く今の環境を手に入れたわけじゃないし、これからも誰かの心無い言葉や態度に傷つくこともあるかもしれないけど、
    ミスターファーレンハイトや兄ちゃんにも少しだけこの境遇があれば、もう少しだけでも救われながら2人とも生き抜けたのかなと思ってしまう、、
    最後までミスターファーレンハイトと兄ちゃんの本名が出てこなかったのが、2人の孤独を象徴してるようでそれも悲しかった。

    QueenのToo Much Love Will Kill Youがこの2人にあまりにも合いすぎて悲しすぎて、久しぶりに本読んでここまで泣きました。。。
    「人を好きになった」「それだけだ」がどうか、みんなの当たり前になりますように。
    みんなに読んで欲しい、わかってほしい、
    でもこの本がなくてもいい世の中になってほしい。

    本当に辛すぎるので、track3を最後に残してbonustrackを間に挟んで読みました……
    読後感良くしたい方はbonustrackは間に挟むことをおすすめします……

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著者プロフィール

小説投稿サイト「カクヨム」に2016年10月より『彼女が好きなのはホモであって僕ではない』を投稿開始。2018年同作で書籍デビュー。同作は2019年に『腐女子、うっかりゲイに告る。』のタイトルでドラマ化され、話題となる。他著作に『御徒町カグヤナイツ』(KADOKAWA)、『今夜、もし僕が死ななければ』(新潮社)、『#塚森祐太がログアウトしたら』(幻冬舎)などがある。

「2023年 『100日後に別れる僕と彼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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