スパイ教室 短編集05 『焔』より愛をこめて (ファンタジア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 74
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040752648

作品紹介・あらすじ

世界大戦終戦直後、スラムに現れた怪物『塵の王』。正体を探るギードが出会ったのは、わずか十歳程度の――後に“クラウス”と名付けられる孤児だった。これは、『世界最強』へと至るスパイの過去と現在を巡る物語。

感想・レビュー・書評

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  • めちゃ面白かった。シリーズ最高傑作(主観)
    短編集扱いにはなっているが、きっちり1冊でまとまっている。
    クラウスがギートに拾われるところから、焔がクラウスを残して全滅するまで。
    何と言ってもクラウスの成長する様子が楽しい。
    そして、あのクラウスのセリフの元ネタが出てくる。
    灯が結成される前のメンバーとの接点なんかもちらほら出てきて、
    大変よろしい。満足の1冊。

  • クラウスが『焔』へ入るまでの話と『焔』が壊滅するまでの話。

    今では世界最高のスパイと言われるほどの実力を持っているクラウスも、最初はただの子どもだったのだなぁと微笑ましくなるが、そんな時代もつかの間で、吸収力の早さ、能力の高さを見るとやはり恐るべし子どもだった。

    無人島では自身も感染症に罹りながら、病人を助けようとし、最終的には冷酷且つ合理的な判断を降す。
    クラウスのいる世界は甘い世界ではないと分かってはいるけれど、それでもクラウスがこんなに残酷な世界にいることに哀しみを覚える。
    ギードはじめ『焔』のメンバーとクラウスの関わりが書かれていてとても良いのだが、いずれ訪れるメンバーの最期を思うと読み進めたくなくなる。

    『灯』の少女たちの出番はないが、間接的にクラウスと関係していたことが仄めかされていて、ちょっと楽しくなった。

  • 前々から焔メンバーについてのエピソードを知りたかったから、とても読み応えがあった。それでもまだ暁闇計画についての全容は明かされず、焔メンバーの死についても謎が残る。

    1巻では澄ましたような様子で灯メンバーと対面したクラウスも、かつてはまともにコミュニケーションが取れずギード達を困らせたり、焔メンバーが皆亡くなった時にはどうしようもなく取り乱したりしていたことから、波瀾万丈の日々を送っていたんだなぁ。銀蝉との戦いでは本当に死にかけるほどの展開だったとは。

  • クラウスと焔のメンバー在りし日のエピソードを描いた短編集。本編では断片的に語られることの多かったクラウスの過去編はまさにファン必見!クラウスがどうしてあれほど強くなったのか……その一旦を知れて大満足。あと、ギードは苦労人すぎる(笑)

  • 作者がコメントで述べているように『スパイ教室』の前日譚であり、クラウスが如何にして今の姿になったかを明かす物語となっているね
    クラウスの成長を描くという意味では確かに教室と呼べるものでは有るけれど、どうしたって『焰』は家族と呼びたくなるし、だからこそ『焰』から派生した『灯』もまた一つの家族だと感じられるものだと再確認できたよ


    本作を読んで最も意外だったのは初期のクラウスがやんちゃ坊主というか全力で野生児をしていた点かなぁ
    そりゃ来歴を考えれば当たり前なんだけど、現在の泰然とした姿勢を当たり前のものとしてみてしまうとかなり意外性を感じてしまうというか

    また、後に本編で活躍する事になる人物が登場したり言及が有ったりという点はちょっとしたサービス要素として嬉しくなるね


    最初の2年間はまともにコミュニケーションも取れなかった。戦闘能力は高くても人間としてあまりに不足していた。けれど、『焰』の先輩方に育てられて世界最強のスパイへと成長した
    それは一息に成長が描かれるのではなく、幾つものエピソードを通して少しずつ成長する彼の姿が描かれたからこそ、そこにはどこまでも『焰』の愛を感じてしまう

    でも、それは各話タイトルに現れているように表の物語であるという点が少し物哀しいね…
    クラウスは『焰』の愛情を一身に受けるようにして成長した。でもその裏ではフェロニカは一人で世界の暗部を背負っていたし、ギードは裏切りへと突き進んだ。ルーカスとヴィレだって暗部に関わろうとしていたし、きっと描かれていないだけでゲルデやハイジにも何かしら裏は存在するわけで
    クラウスはそれらを知らないままに『焰』の崩壊に立ち会った。何も明かされて居なかった事は彼が信頼されていなかったかのように感じてしまいそうになるが、一方でギリギリの瞬間まで彼を表側に留めておきたかったかのように感じられる

    でも、それは暗部に立ち入らせないとするものではないから、クラウスが本当の意味で残酷な決断をする為の覚悟を欲した時に背を押す力となっていたね
    だからこそ、クラウスを殺せる筈だった銀蝉は失敗し、彼は極限状態から生き残れた。フェロニカが遺した言葉が彼をスパイの世界に留め置かせた


    『焰』から受け取った心の炎を分け与えて新たに作り上げた『灯』
    それがどのような経緯で生まれたか、クラウスがあの場所にどのような感情を持っているか。それを知れたという意味ではとても良い短編集でしたよ

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著者プロフィール

第32回ファンタジア大賞《大賞》受賞作「スパイ教室」でデビュー。

「2023年 『スパイ教室10 《高天原》のサラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

竹町の作品

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