寡欲都市TOKYO 若者の地方移住と新しい地方創生 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040822853

作品紹介・あらすじ

「チル」ブームの街、東京は今や”サイコーにちょうどいい”街になった!? 所得水準が上がらないなど経済的な面で先進各国との差が開いていく中、コロナ禍を経て、この街はどのように変わっていくと考えらえるか。

感想・レビュー・書評

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  • 世界中でアンケートをとり、しっかりと各国の情報等を読み込まれて書かれているのでとてもわかり易く、内容も分析・考察まで深くされているので興味深く読めた。特に若者の世代別の変化の仕方などはなるほどなぁと実感できるものだった。
    本を読む中で疑問に思ったのが、このような日本の現状が自然発生的に形成されたものであるとされているが、日本と同じ状況の都市を意図的に作り上げることができるのかということが気になった。都市地理などの分野で研究される人がいたなら深く掘り下げてほしい研究テーマであるし、そのような研究の種が多く含まれている本であったと感じる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/789407

  • 911

    原田 曜平
    日本のマーケティングアナリスト。芝浦工業大学 デザイン工学部 教授、信州大学・特任教授、レイヤーズ・コンサルティング顧問、玉川大学・非常勤講師、経営学部国際経営学科「マーケティング、消費者行動論、若者研究」。ワタナベエンターテインメント所属。BSテレビ東京番組審議会委員。

  • ●東京が歩む未来のシナリオ。程よい人口流入で居心地の良いまま残る。もしくは物価や賃料が高くなりすぎて人口流出か起きるか。
    ●東京は、世界で最も魅力的な都市になりつつある。移民を今以上増やしても、欧米先進国のようなトラブルだらけの状態にはならない可能性が高い!?

  • すごく明確。

  • 東京の良さを上手く表現していると思う。自身は東京含む日本にもっと悲観的な見方であったが、ややこの本を通じて東京にも見るべきところはあると思いなおした。

  • 「寡欲都市」ってワードを思いついたことで本にできちゃった。
    薄味。東京はゆるふわ脱力脱がっつき系の人が集まる大都市として生存みたいな。
    たしかにそうなるかもしれない。東京はとりあえず不滅だろう。
    他は人口減。

  • 日本が抱えている問題は大きい。国の債務が増える一方、少子高齢化の波が収まらないなどだ。




    あえて東京にフォーカスしてこれからの日本について考察しているのが今回の本だ。





    コロナ禍で、東京を離れて地方に移住するが話題になっているが、実際はそうではなかった。



    グローバル都市不動産研究所の総務省住民基本台帳人口移動報告を元にした分析を引用している。




    東京23区外、多摩地域と神奈川、埼玉、千葉の郊外部に移った人が大半だった。




    その上、東京23区の人口も増えていた。都心区で人口が減少したのは、外国人の多かった新宿区、豊島区、港区だった。日本人の増加に関しては21区で人口が増加していた。




    男女比で見ると、女性のほうが男性よりも転入超過数が2.23倍にもなる。




    著者は指摘しているが、地方に興味を持つ若者は、超ごく一部の高学歴の中に多い、いわゆる意識高い系であり、(ドラマ「あまちゃん」の主人公の)アキのような引っ込み思案でイケてない子では決っしてない。




    東京は世界の若者にとっては意外とイケている街だった。




    遊ぶ場所に関して東京ディズニーランドのような施設もあれば、カラオケ、ゲームセンター、漫画喫茶のような手軽に楽しめる施設もある。




    自然触れ合いたければ、電車に乗ってあっという間に高尾山、御岳山、秩父に行ける。遠くに行かなくても、公園がたくさんある。




    衣食住も安いのにそれなりのレベルで満足できる。




    著者は数値的指標に表れない東京の良さとして、都市ランキングの項目に問題があると指摘している。




    ミレニアル世代・Z世代と言われる世代のニーズに合わないランキングだと述べている。医療、教育、富裕度などの項目は、若い世代にピンとこないから無理もない。





    著者は東京に引き寄せられる若者たちの思想について、若者の行動原理は「利益」でも「倫理」デモなく「楽(ラク)」だった。




    高度経済成長の頃やバブル景気の頃のような這い上がってやろうという思考の持ち主は絶滅危惧種で、便利なものを利用して人生を楽に生きたいと思う若者が主流だ。






    未来の日本が進むべき道について、




    著者はあえて東京の一極集中を加速度的に押しすすめるべきと考えている。地方が束になっても東京に勝てる要素がなく、地方に資金や人を投入しても地方創生は絵に描いた餅だ。





    東京をさらに発展させて、東京稼いだ金を、ふるさと納税のような形で地方へ再分配する。





    ここでは触れていないが、若者が地方へ行かないあるいは地方から出て戻らない理由の1つは価値観の違いだ。今でもいるか分からないが、地元で進学あるいは就職して早く結婚して子供を育てるの正しいという「昭和レトロのビンテージもの」のような思考回路の持ち主たちが居れば、都会に避難して二度と戻ろうとしないだろうなあ。




    仕事が地方にあってもマインドが変わらないと「デジタル田園都市構想」なんていうフワッとした政策を掲げても見向きもしない。




    地方創生を掲げて美味しい思いをしたい地方出身の国会議員や地方議会の議員などには、聞きたくないことだろうが。

  • p28 ドラマ GIRLS 2012-2017

    p44 東京は世界の最先端都市と比べても安いエリア

    p51 それは、東京が世界の先進国の大都市部でもっとも楽に暮らせる街だからです

    p108 誤解を恐れずに言いましょう。今の東京に、少なくとも先進国・先進エリアから一流の若者は来ません。生き馬の目を抜く世界最先端の場所で自分を切磋琢磨しNo1になりたいと息巻くトップオブトップ思考の若者は、シリコンバレーやNYやLAやロンドンに行っています。

    p115 BSプレミアム THIS IS US 2016-

    p117 実は日本人が憧れるアメリカの大都市部では人口減少がおきている

    どこに移っているか オースティン、ラスベガス、オーランド、ナッシュビルなど
    いずれも世界から優秀な移民が集まり、競争が激しく、l物価や家賃が高いLA等に比べれば手頃な家賃、街としてそこそこの便利さ、潤沢な雇用と適切な収入が得られる街として、ミレミアム世代やZ世代の若者たちを引き寄せているのです

    p151 年齢で人を評価しないは、東京を外国人にも住みやすい街とするために重要な視点かもしれません

    p190 日本 様々なルールがしっかりと決まっており、皆、自分の利を最大限に考えることなく、そのルールに従うことで社会の利を優先する。多くの人が社会の利を優先するから、他国に比べるとトラブル等が少なく、後から自分にも利が戻ってくる。だから、とりあえず何も考えずにルールに従う人が多い。逆に言えばあまり何も考えていない人が多い、ということなのだと思います
     中国であれば、自分の利を最大限に考えないと自分が損をする社会なので、逆に言えば、金持ちから庶民まで、常に頭をフル回転しながら生きている、ということなのかもしれません

    p201 終身雇用が主流でなくなりつつありますし、古くて大きい会社のメリットだった我慢して居続けていればそれなりのポストにつけるという制度も維持できなくなっています
    結果、若い世代になればなるほど、我慢をしなくなりました。我慢をするだけの対価が得られない社会に日本がなっているのです

    p214 日本は世界第4位の移民大国

  • 良い所突いてます。

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著者プロフィール

マーケティングアナリスト

「2022年 『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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