ザ・ラストマン 日立グループのV字回復を導いた「やり抜く力」 (角川新書)
- KADOKAWA (2021年1月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040823935
作品紹介・あらすじ
「ラストマンになれ」
私がこの言葉を聞いたのは、三〇代のころです。
当時の私は日立工場に勤めていて、たしか設計課長に昇進したときのことだったと思います。
日立工場長だった綿森力さんが、工場の執務室の窓の前でこう言いました。
「この工場が沈むときが来たら、君たちは先に船を降りろ。
それを見届けてから、オレはこの窓を蹴破って飛び降りる。
それがラストマンだ」
――そのときから、私の胸に「ザ・ラストマン」という言葉が深く刻まれています。【序章より】
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「自分の後ろには、もう誰もいない」――ビジネスマンに必須の心構えとは。
決断、実行、撤退…一つひとつの行動にきちんと、しかし楽観的に責任を持ってやり抜けば、より楽しく、成果を出せる。
7873億円の赤字から会社を再生した元日立グループ会長が、苦境の日本経済で戦い続けるビジネスパーソンに贈るメッセージ。
新規収録原稿「若い企業人の皆さんへ」「ポストコロナ時代の企業」
※本書は二〇一五年三月に小社から刊行された同名の単行本を加筆・再編集したものです。
感想・レビュー・書評
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日本の巨大企業「戦艦大和」のような時代遅れになりかけたのを、解体・再生した実行力は見事。日本の経営者で希有と言える。(同じ道産子として誇り)
日立は立ち直り、世界へ挑戦している。
他方、東芝は実質的に消滅してしまった。
この二社の運命は「日本の行方」を厳しく迫っている。
いずれにしても「トップのリーダーシップ」「高い見識」
→川村社長の「カンパニー制導入」自己責任体制と
東原社長の「BUビジネスユニット制」の対比は☆
経営理論の現実適用レポートとして大変勉強になる。
有数のBusiness School Case Studyに相応しい
日本の経営学者はもっと関与すべき。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日立製作所が7,873億円の赤字を出した直後の09年に執行役会長兼社長に就任し、V字回復を成し遂げた川村氏の著作。大企業のトップに立つ人物の思考、視座を垣間見ることができます。
【メモ(改革について書かれた第一章から抜粋)】
・一人ひとりが、会社から給料をもらうだけではなく、「自分がみんなの給料を稼ぐ」という意識を持てるようになれば、会社は再生できるはず。
・たいていの改革は、スピードさえあれば何とかなるもの。決断して実行するまでに時間がかかると、その反対勢力に根回しをされ、改革を断念せざるを得ない状況に追い込まれる場合もある。
・改革をするにあたって、最初に手掛けたことは、意思決定をする人数を絞った
・緊急時を切り抜ける方法は①出血を止める②キャッシュを生む事業を見つける→近づける事業と遠ざける事業を決める。 -
日立グループの変遷、特に業績悪化からの立て直しを行なっていた時期について知りたいと思い購入。淡々とした口調で語られながらも、日立が置かれていた状況やそれに対しての考えや当時の思い、行動が取り繕われることなく書かれていてストーリーとしても面白かったし、一ビジネスパーソンとしても心改められるようか場面が多かった。
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ラストマンの思想は普段の業務にも活かせるもの
自分の日々の行いが河村さんの言うラストマンと合致する点があり、自分の心持ちや行動に少し誇りを持てるようになった。責任感を強い方なので、自分がこの仕事をサボったらプロジェクトの成果に影響する、という思いのもと、たとえ一メンバーに過ぎないとしても従事してきた。この思いはぶらさず持ち続けたい
これから上位職になった際には、情を持ちつつ理を重んじ、強い思い出決断、断固実行する人間になる -
組織で仕事をする上での心構え。
教養も大事。 -
ラストマンとは「自分が責任を取るつもりで仕事をする」と考えて社長だけでなく、平社員も仕事をしろという著者の教えです。ただ会議をすればいいのではなく、何を考えて会議に臨むのか、結論を先延ばしにせずに決め切り、それをやり抜くにはどうすべきかなどいわゆるリーダー論がこの本には書かれていますが、これを日立製作所という日本でも有数の大企業でやり抜き、業績をV字回復させた部分が他のリーダー論を書いている本以上の説得力を感じます。日立製作所を目指す就活生や今現在リーダーなどの役職がある人はもちろん、役職のない人が読んでも自分のすべきことに対しての意識が変わります。(Y)
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自分の後ろには誰もいない。覚悟とは何なのかを示した自伝。