ザ・ラストマン 日立グループのV字回復を導いた「やり抜く力」 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
4.02
  • (15)
  • (30)
  • (10)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 251
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040823935

作品紹介・あらすじ

「ラストマンになれ」

私がこの言葉を聞いたのは、三〇代のころです。
当時の私は日立工場に勤めていて、たしか設計課長に昇進したときのことだったと思います。
日立工場長だった綿森力さんが、工場の執務室の窓の前でこう言いました。

「この工場が沈むときが来たら、君たちは先に船を降りろ。
それを見届けてから、オレはこの窓を蹴破って飛び降りる。
それがラストマンだ」

――そのときから、私の胸に「ザ・ラストマン」という言葉が深く刻まれています。【序章より】

*  *  *  *  *  *

「自分の後ろには、もう誰もいない」――ビジネスマンに必須の心構えとは。

決断、実行、撤退…一つひとつの行動にきちんと、しかし楽観的に責任を持ってやり抜けば、より楽しく、成果を出せる。
7873億円の赤字から会社を再生した元日立グループ会長が、苦境の日本経済で戦い続けるビジネスパーソンに贈るメッセージ。

新規収録原稿「若い企業人の皆さんへ」「ポストコロナ時代の企業」

※本書は二〇一五年三月に小社から刊行された同名の単行本を加筆・再編集したものです。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本の巨大企業「戦艦大和」のような時代遅れになりかけたのを、解体・再生した実行力は見事。日本の経営者で希有と言える。(同じ道産子として誇り)
    日立は立ち直り、世界へ挑戦している。
    他方、東芝は実質的に消滅してしまった。
    この二社の運命は「日本の行方」を厳しく迫っている。
    いずれにしても「トップのリーダーシップ」「高い見識」
    →川村社長の「カンパニー制導入」自己責任体制と
     東原社長の「BUビジネスユニット制」の対比は☆
    経営理論の現実適用レポートとして大変勉強になる。
    有数のBusiness School Case Studyに相応しい
    日本の経営学者はもっと関与すべき。

  • 日立製作所が7,873億円の赤字を出した直後の09年に執行役会長兼社長に就任し、V字回復を成し遂げた川村氏の著作。大企業のトップに立つ人物の思考、視座を垣間見ることができます。

    【メモ(改革について書かれた第一章から抜粋)】
    ・一人ひとりが、会社から給料をもらうだけではなく、「自分がみんなの給料を稼ぐ」という意識を持てるようになれば、会社は再生できるはず。
    ・たいていの改革は、スピードさえあれば何とかなるもの。決断して実行するまでに時間がかかると、その反対勢力に根回しをされ、改革を断念せざるを得ない状況に追い込まれる場合もある。
    ・改革をするにあたって、最初に手掛けたことは、意思決定をする人数を絞った
    ・緊急時を切り抜ける方法は①出血を止める②キャッシュを生む事業を見つける→近づける事業と遠ざける事業を決める。

  • 日立グループの変遷、特に業績悪化からの立て直しを行なっていた時期について知りたいと思い購入。淡々とした口調で語られながらも、日立が置かれていた状況やそれに対しての考えや当時の思い、行動が取り繕われることなく書かれていてストーリーとしても面白かったし、一ビジネスパーソンとしても心改められるようか場面が多かった。

  • ラストマンの思想は普段の業務にも活かせるもの

    自分の日々の行いが河村さんの言うラストマンと合致する点があり、自分の心持ちや行動に少し誇りを持てるようになった。責任感を強い方なので、自分がこの仕事をサボったらプロジェクトの成果に影響する、という思いのもと、たとえ一メンバーに過ぎないとしても従事してきた。この思いはぶらさず持ち続けたい
    これから上位職になった際には、情を持ちつつ理を重んじ、強い思い出決断、断固実行する人間になる

  • 組織で仕事をする上での心構え。
    教養も大事。

  • 戦略はどんなに情勢が変わってもグラグラしてはいけないものであり、朝令暮改していいのは戦術だけ。状況が変わると、あっさり戦略まで変えてしまうリーダーのもとでは、周りは振り回され、現場に混乱が生まれてしまう。

  • 7000億円の赤字
    日立時間
    大抵の改革はスピードでどうにかなる
    社会イノベーション事業
    カメラの目を持つ
    稼ぐ力を身につける
    社長にカリスマ性は必要ない
    情報を集めて未来を予測する
    51点でいい
    ピークを少し過ぎたら撤退する
    最良のときはこれからくる

    以前から読もう、読みたいとは思っていた一方、経営者向けの内容だと思っていたので、読んでいませんでした。しかし実際は、一般のビジネスパーソンに向けた内容、
    メッセージもふんだんでした。特に、日立のようなトラディショナルな大企業に勤めているビジネスパーソンは、参考になる一冊かと。

  • ラストマンとは「自分が責任を取るつもりで仕事をする」と考えて社長だけでなく、平社員も仕事をしろという著者の教えです。ただ会議をすればいいのではなく、何を考えて会議に臨むのか、結論を先延ばしにせずに決め切り、それをやり抜くにはどうすべきかなどいわゆるリーダー論がこの本には書かれていますが、これを日立製作所という日本でも有数の大企業でやり抜き、業績をV字回復させた部分が他のリーダー論を書いている本以上の説得力を感じます。日立製作所を目指す就活生や今現在リーダーなどの役職がある人はもちろん、役職のない人が読んでも自分のすべきことに対しての意識が変わります。(Y)

  • 自分の後ろには誰もいない。覚悟とは何なのかを示した自伝。

  • 転職の都合上、読んでみたものの、そこまで気付きはなかったです。目新しさがないという感じ。V字回復をやったその時の温度感とか感情をもう少し濃く描いてくれるとより良かったなと。

    結局自分がやるしかないなーそんな感覚でしかし楽観的に実行することが重要

    行き先や、航海ルートは船長が決めるが、船内のメンテナンスは方法、実行タイミングはボトムアップ(戦略はトップダウン、戦術はボトムアップ)

    戦術は変えても戦略は変えてはいけない。戦略はどんなに情勢が変わってもグラグラしてはいけない、朝令暮改してよいのは戦術のみ

    理と情のバランスは大事だけど、結局情を理解しつつ、理をとることができる人間が重要。小事には情、大事には理


全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

川村 隆(カワムラ タカシ)
1939年生まれ。日立製作所元会長。東京電力前会長。1962年東京大学工学部を卒業し日立製作所入社。電力事業部火力技術本部長、日立工場長を経て1999年副社長。その後、日立マクセルなどグループ会社の会長を歴任したが、日立製作所が7873億円の巨額最終赤字を出した直後の2009年に呼び戻され、執行役会長兼社長に就任。日立再生を陣頭指揮した。黒字化の目処を立てた2010年に社長を退任、2014年には取締役会長を退任。2010~2014年日本経済団体連合会副会長。2014~2019年みずほフィナンシャルグループ社外取締役。2015~2017年カルビー社外取締役、2016~2017年ニトリホールディングス社外取締役。2017年に東京電力ホールディングス社外取締役会長に就任し2020年退任。

「2021年 『一俗六仙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川村隆の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×