- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041014738
作品紹介・あらすじ
武家に生まれながら、商家に養子に出された高田兵衛は、幸せな日々を送っていた。だが、兄が病死し、兵衛は高田家を継ぐことに。商人として育てられた留守居役が、優しき心と秘めた剣才で難事を解きほぐす。
感想・レビュー・書評
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留守居役の高田兵衛の活躍の物語です。
兵衛は、横須賀藩の上屋敷で双子の弟として生まれた。武家では、双子は忌み嫌い弟を殺す。が、父・高田三右衛門は、兵衛を子供がいなかった横須賀藩出入の筆墨硯問屋「静修(せいしゅう)堂」へ養子に出した。静修堂では、兵衛を貰ってから七年後に女の子・お美津が生まれた。ゆくゆくは、二人を娶わせてと考えていたところ。
兵衛が、二十五才の時に病弱であった双子の兄で嫡男の丈太郎が亡くなり。父・高田三右衛門に頼まれて高田家に戻っていくが。兵衛は、静修堂を出る時にお美津と仮祝言を挙げ。高田家は、姉・浪江の次男・勝次郎が大きくなったら養子に迎え、兵衛は、静修堂へ戻ると決めた。
【武士商人(あきんど)】
兵衛は、鹿島神流の剣術、防山(ぼうざん)流の杖術(じょうじゅつ)、関口流の柔術と、三軒の道場に通ってそれぞれ免許皆伝を得た。兵衛は、商家で習い覚えた算盤と利殖の才を生かして藩の財政を好転させた。七年後、遠江国城東(きとう)郡を領する横須賀藩三万五千石の江戸上屋敷で対外的な渉外を担当する留守居役を拝命した。
【柔弱(にゅうじゃく)の科(とが)】
明け方に横須賀藩上屋敷の門前に棺桶が置かれていた。なかには、十手を持った亡骸が。十手を預かる深川の石場一家の万造の身内で、下っ引きの岩松を藩士の中山久太郎が、やむをえず斬ったことが分かる。万造は、これ幸いと横須賀藩から金を脅し取ろうと動き出した。兵衛は、話し合っても解決できないと知り、万造を秘かに斬り殺す。
【駆け入り】
「田中藩上屋敷より逐電した不義者たち、横須賀藩上屋敷に駆け入ったとの噂あり」との紙が横須賀藩上屋敷の物見窓の隙間に差し込まれていた。不義密通は、大罪です。藩士の竹部が、道場仲間の田中藩の並木と腰元・雪を匿っているのが分かる。そして雪を片想いして付け狙う田中藩家老列堀田左右衛門の嫡男盛之助が、紙で知らせて、上屋敷の周りを常に回って見張っている。兵衛は、この異常な状態を解消するために田中藩と話し合い、並木と雪を藩邸より出し、つけてきた盛之助を斬る。
【読後】
吉田雄亮さんの新しいシリーズを読み始めました。商家で育った兵衛は、穏便に物事を解決するために、常に先を考えて対応します。その柔らかな人柄と、剣の腕で、禍根を残さず摘み取ります。面白く、展開が早く、テンポがいいのですが、字が小さいので読むのに少し時間がかかりました。武士商人、柔弱の科、駆け入り、の短編3話の中で「駆け入り」がよかったです。
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留守居役日々暦シリーズ1作目《文庫本》
2014.04発行。字の大きさは…小。2023.03.20~22読了。★★★☆☆
武士商人、柔弱の科、駆け入り、の短編3話。
図書館から借りて来る2023.03.06
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《留守居役日々暦シリーズ一覧》
04.松風の香
03.落葉の虹
02.茜色の雨
01.留守居役日々暦 2023.03.22読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新宿区立図書館で借りて読了。
「遠江横須賀藩」、「江戸留守居役」というキーワードで興味を持って読んだもの。うちの先祖の一人が関宿藩久世家の江戸留守居役をしており、その子のうち横須賀藩士の養子となり(たぶん)家老になった人がいるため。
作品としてはまあ普通の時代小説。留守居役の業務についてはちょっとだけ参考になったかな。続きを読むかどうか微妙なところだが、もう一冊ぐらい読んで考えようかな。 -
双子の弟として生まれたが、殺されず商家の跡継ぎとして育てられ、そこの娘と結婚することが決まっていたが、直前に兄が死に横須賀藩藩士の家を継いだ高田兵衛。商人の出と揶揄されつつ、剣の腕を秘し、留守居役として日々、藩のために生きていく。
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忌み嫌われる双子が、兄の死で留守居役にまでなった
商人として生きてきた感性が役立つだけでなく、密か
に鍛錬した武術が切り札に・・・ -
武士に家に生まれたが、双子を忌み嫌う世に、出生したため、養子に出された主人公 高田兵衛。
養子先は、筆墨硯問屋。
その娘と、許嫁と幸せに過ごしているのに、兵衛の兄が亡くなり、高田家の世継ぎに、お鉢が、回って来る。
一応、高田家を継ぐことになるけれど、十数年後には、高田家に養子を迎え、自分は、筆墨硯問屋の静修堂を継ぐ事、そこの娘と、仮り祝言を挙げる事、そして、剣術野免許皆伝を内密にすることで、話を付ける。
留守居役として、、、剣のワザも、内緒に、立ち向かうのだが、、、武士の世界の堅苦しさを、どのように、藩の汚名をせずに、処理して行くか?
又 兵衛が、武士と商人のどちらの良さも、兼ね添えた采配に、面白さを感じた。