終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#02 (角川スニーカー文庫)
- KADOKAWA/角川書店 (2016年6月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041046555
作品紹介・あらすじ
〈獣〉の侵食により死にかけた都市ライエル。
その外れの森で新たに発生した妖精の子供2人は、リンゴ、マシュマロと名づけられた。
「ふぇどーるーっ!」「ふぇどるー」
「まったく、どうして僕なんかに懐いてるんだか」
ぼやくフェオドール四位武官に、ラキシュは悪戯っぽい笑顔を返す。
彼女らと過ごす日々の中、フェオドールは自らの想いを告げることを決めるが、そこに〈十一番目の獣〉(クロワイヤンス)の『小瓶』が落とされる……。
新シリーズ、第2弾。
感想・レビュー・書評
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うああ……、ラストには思わず「止めてくれ!」と言いたくなるくらい衝撃的な展開が……。黄金妖精の「あの件」については前シリーズの第一巻から触れられてきた要素なんだけど、結局作中で実行する者が居ないままになっていた。この作品のことだからいずれ誰かが実行するのだろうとは思っていたけど、まさかこのタイミングであの娘が実行するなんて微塵も思っていなかったよ……
そんな読んでいるこちらの精神を凄まじい勢いで揺さぶってくるこの巻だけど、最大の清涼剤となってくれているのがアイセアの再登場か
あのちょっと幼い感じもあったアイセアが口絵ではとんでもない美人さんに成長なされて……。アイセアってひょうきんな見た目や態度の裏に涙滲むような努力を隠した娘なんだけど、その裏側と見た目が遂に合致するような姿に。それでも口調が昔のままであった点には彼女の覚悟の強さを感じさせたかな
死にかけの世界の死にかけの街で過ごす、そう遠くない内に死にそうなフェオドールとティアットの二人
互いに何か切っ掛けがあれば急速に距離が縮まりそうでは有るんだけど、フェオドールの信念がそれを邪魔してやっぱり縮まらないような気もする。つまりは端からは中途半端な関係性であるように見える
そんな二人の許にやってきたのが幼体妖精のリンゴとマシュマロ。この二人に振り回されて特にフェオドールがあたふたする展開は色々と面白い
フェオドールは守ろうとした世界に裏切られた兄の為に世界に復讐すると誓っているせいか、大切なものを作ろうとしていないように思える。そんな彼の許にやってきた無邪気で誰かが守ってやらなければならないか弱い存在のリンゴとマシュマロ。妖精の面倒をみる任務により二人の面倒も見ることになったのだけど、その中でフェオドールが幼い二人にどんどん入れ込んでいく様子が手に取るように判る。
世界を壊そうとしている彼がこれから世界を満喫しようとする幼い命を庇護する展開は様々な矛盾を抱えているね
そういった意味ではこの巻でフェオドールは自身が抱えた矛盾点に向き合わされたといえるのかもしれない
フェオドールはいずれ世界を壊す気で居るから、本来は死にかけの街がどうなろうと知ったこっちゃないはず。なのに、終盤に街が危機に陥る場面では少しでも被害を軽減しようと行動してしまった。
黄金妖精はいずれ目的の為に利用しなくちゃいけないから、情が移るなんて禁物。でも、リンゴの喪失やラキシュの変貌に慟哭を上げてしまった
この時、覚えた感情を無かった事にしたくないなら、フェオドールは自身の目的が変わり始めたことを認めないといけない。認める必要がないなんて思うならそもそもリンゴの正しい名前を知れば良いだけの筈で
望まぬ形で大切なものを手に入れてしまっていたフェオドール。だというのにこの巻で彼はその守らなければならない大切なものに守られてしまった
彼にとっては受け入れがたい大きな矛盾のはずだけど、それを抱えて彼はこの先どのように黄金妖精と向き合っていくのかな?
力を使ってしまったことであっという間もなく変質してしまったラキシュ。いつかのクトリを思わせるような状況だけど、ラキシュもクトリのように踏みとどまることは出来るのかな?クトリはクトリで恋心のためにとんでもない負債を抱えて復活したわけだけど、ラキシュの場合はどうなるのだろう…… -
フェオドールとマルゴ、出会ったらどうなるのか。
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どやってもこの主人公に共感できひんわ。
もう読まんとく。3章が出るまで封印やな。