終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#07 (角川スニーカー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041075494

作品紹介・あらすじ

一人の少年が舞台から降り、一人の少女が英雄となった。それでも幕は下りたりしない。この世界に生きる全ての者たちの営みは、続いてゆく。だから、ここからは──残された者たちの物語を、始めよう。

感想・レビュー・書評

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  • 【電子書籍】英雄として祭り上げられたラキシュ。フェオドールの思惑通りに黄金妖精たちが表舞台に引きずり出されることに。賞賛される一方で妖精を利用しようというもの、恨みを持つものによって水面下で陰謀が進められ…。物語の舞台は全滅の危機に瀕する38番島へ。今回はパニコロ、特にこれまでその心情等が語られてこなかったパニバルの回といえるでしょう。展開にハラハラしました。ブラックアゲート(ヴィレム≒フェオドール)とパニバルの邂逅によってどんな物語が始まるのか。次巻が待ち遠しいですね。

  • 女の子たちはあっさり舞台から姿を消すのに、男どもはなかなか袖に引っ込まない

  • 前巻でフェオドールのしたことはコリナディルーチェで起きていた問題を解決し、妖精たちの未来を開くものだと認識していたけど、ここまでのものとは……
    まさか彼があれほどまでに緻密な根回しをしているとは思わなかったよ…。そうか、フェオドールは完膚なきまでにティアット達の邪魔をしてしまったんだなぁ
    ただ、一方でそれは自分の死をトリガーとして計画したものであり、計画が完遂されればティアットが望んだ「フェオドールの邪魔」は叶うことが無くなるわけで。
    やはりティアットは、ティアットだけはフェオドールのしたことを怒る権利があるように思うな


    この巻で舞台はコリナディルーチェから38番浮遊島に移り、表紙になっているパニバルがメインとなる
    パニバルって4人組の中では前シリーズの時点からちょっと子供らしからぬ言動を繰り返し、本シリーズにおいても達観した目で他の事物を見ていたキャラクターであるように思えたのだけど、この巻を読んで少し印象が変わった気がする。パニバルの本質はどちらかというと、感情の起伏が少ないことにより自己理解が進まず他者にばかり目を向けてしまった結果達観しているように見えるキャラクターなのかな?
    だから、ちゃんと自分の感情に目を向ければ違う面が見えてくる。フェオドールの喪失を落ち着いて受け止めているふりをして実際はかなりのダメージが有ったのでは?と推察できるシーンも有ったし、自分の命を惜しむシーンも有った
    ただ、一方でその曖昧な達観さが光明を齎すことも有る。クロワイヤンスの中で起こした悪戯心があのような結果を呼ぶとはかなり予想外。
    獣ってああいう方法でも倒せるのか…?


    この巻において2つの集団意思が対比となっているような構成はかなり好き
    悪が倒され平和となったコリナディルーチェに対して、ライエルは今にも悪に押しつぶされかねない悪夢のような状況。だからか、黄金妖精に対する群衆の姿勢も違ってコリナディルーチェでは妖精を英雄と扱い、ライエルでは敵意を向けられる
    モウルネンは集団の意志を合わせた事で目的が発生するのに対し、クロワイヤンスは集団の意志を纏め上げることを目的とした存在

    特に群衆の意志の分かれ方は印象的。どちらも公が発表した情報を単純に受け取っている。受け取った上で感じ方がまっぷたつに分かれている。それは環境によるものが大きいのかな。そしてそれが一番判りやすく描かれていたのがコードB。
    彼は受け取った情報を自分に都合よく解釈しそれ以外の考えを持とうとしない。結局彼は暴走に暴走を重ねた上で都合のいい夢を見て終わる。

    また、エルピス残党派との戦いの中でアイセアに訪れた選択はとても衝撃的で残酷
    軍や戦力を指揮する立場になり獣以外も敵としなければならない状況があればいずれは訪れる機会。
    一方でエルバとナサニアのときとは違う残酷さはこの場面においては敵対勢力の皆殺しがどうあっても正しい選択肢である点。目の前の獣を退治するにも、自分たちが生き残るためにもコロンに皆殺しを命じなければならない
    以前、それを理由として親友と道を分かつことになった過去を持つアイセアにとってはどうあっても辛い選択肢。だけど、今のアイセアの立場はそれを選ぶしか無くて…
    ここでコロンがアイセアの想いを越えて、誰も殺さずに済むかもしれない道を見つけ出したのは本当に素晴らしいシーン。そりゃアイセアだって柄にもなく泣いてしまうというものだよ!


    これまで怪しさ抜群で裏で全ての事件の黒幕として存在していたような雰囲気すらあったオデット
    彼女の思惑はフェオドールより幾らか進んだものであろうことは以前から示唆されていたが、その思惑が少し見えてきたね
    こうして見ると、浮遊大陸群の危機を真っ先に知ってしまった彼女が考えたことってとても単純なものだったのか。こういう部分を見ると何だかんだあのフェオドールの姉なのだなと思えてしまう。
    ただ、フェオドールが妖精への執着を優先したのに対し、オデットは浮遊大陸群の未来を考えた
    その違いは黄金妖精たちに何を齎すことになるのかな?


    ティアットが纏め上げた希望の力、オデットによって知らされた新たな形の絶望
    そんなさなかで遂に正体を表した”おばけ”
    これらがどのように絡み合って物語が展開されていくのか全く想像できないね

  • パニバルが活躍する巻でした。

  • 今まで分からなかったパニバルの内面が見えた巻。

    …正直前の巻の内容がいまいち思い出せない。
    フェオドールがいなくなってその後に残った人達の話。
    フェオドールがどういなくなったか思い出せないから読み直したい。

    個人的にネフレンが出て嬉しい。大変そうだが。
    ネフレンとつながっているフェオドールの姉のオデットが表に出てきた。
    オデットは何のために動いてるのかな。

    そして黒い人。そしてつながっている人。
    もう無理かとも思ったけどそういえばそうだったなと。ここは次巻に期待?かな。

    パニバルの話。
    ずっと表面的にしか書かれてなかったから分からなかったんだけど今回はパニバル視点だったからどう考えてるのか見れた。
    パニバルは無というかフラット?なのか。
    ただやっぱり倉庫は大切な存在なんだなと。
    そして最終的に獣と一体化したみたいで。そこ動くのね。

    書きたいこと全然まとまらないけどこれで。
    石灰岩ノ肌さんは相変わらず好きです。

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著者プロフィール

2002年にPCゲーム『Wind -a breath of heart-』のノベライズで富士見ファンタジア文庫よりデビュー。代表作は「銀月のソルトレージュ」(富士見ファンタジア文庫)、「終末なにしてますか?」シリーズ(角川スニーカー文庫)。PSPソフト『サモンナイト5』(2013年)のシナリオを担当するなど、多方面で活躍。

「2022年 『砂の上の1DK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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