怪談狩り あの子はだあれ? (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 132
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041083246

作品紹介・あらすじ

山道に佇む白無垢の花嫁、22階の高層マンションから落ちていく男性、ガソリン・スタンドに現われる子どもの謎、旅館の部屋に敷き詰められた真っ赤な椿――幽霊の出てこない怪異を集めた異色の実話集。

感想・レビュー・書評

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  • 8月も終わるというのに異常なほど暑い。
    いったいいつまで続くのか…。
    うんざり気味の毎日にぞぉ〜っと寒気がするような本を読もうと手にした怪談実話集。

    言い伝えなどもあるが、土地や家にまつわる話は動きがとれないと感じるせいか怖さが増す。

    「二十二階の男」高層マンションの窓に張り付き、ニタッと笑って落ちてゆくなんてゾッとする。

    「遭難」娘のお稽古帰り、遅くなり高速道路に入ったはずが、逆へ向かっているのに気づきインターを降りた後迷ってしまう。廃寺近辺をうろうろしたあとやっとの思いで帰ってから太ももにくっきりと指五本の手の平の跡が…。

    「弟」彼女の家で見たものが、想像を超えたものすぎて気絶して以降の記憶が、これは現実ではない…。ありえない。

    「督促状」大阪市内に住んでいる自宅ポストに宛名が松原市で行方不明の妹宛の督促状が入っていた。
    督促状の住所に行くと妹が住んでいて、兄と姉が玄関から入ってくる夢を見たところだったと言う。
    怖いというより不可解すぎる話。

    「カラオケボックス」誰もいないはずなのに誰かがいたような…。受付に繋がる内線電話も繋がらず、カラオケの歌に重なる女の声。
    何かある。何か感じる。
    閉じ込められた空間に襲う霊気はとんでもなく怖い。

    「ビワとイチジク」同じ庭にビワとイチジクを植えると、その家の当主にロクなことが起こらんと…
    迷信やと言っていたおじさんは脳梗塞で倒れて、二年間寝込んで亡くなる。その長男は精神を病み三年後に亡くなる。その直後におばさんは、肺がんで亡くなる。
    ビワは、人の精気を吸い取る、といういわれがある。
    知らずにいると命を奪われるのか…。

    「友人への供養」ある峠道を赤い車で通ると悪いことが起こる。パーキングエリアのトイレで亡くなった男性。白髪で眼球が飛び出し、肩や胸を掻きむしって恐怖の形相だったと…。何を見たのか、何故死んだのか。
    都市伝説のようだが…。怖い。

    「神様の通る道」神社の鳥居の前に家を建てたら十年のうちにそこに住んだ六家族、全員死んだという。
    町おこしのつもりがとんでもないことに。

    76話のうちゾワっとした一部を抜粋。
    短いので怖さの持続はなく、次々と読み進める。





  • 後半に進むに連れて怖さが増していき、そこに不思議な感じが混ぜ合って一気読み。

  • 比較的怖くない話が多かった。

  • 妖怪は怖い。
    でも、それと同じくらい、否それ以上に神さまは怖い。
    妖怪、神さま、神さまとも妖怪ともつかないモノ。
    人間の死者なら行動原理はまだ人間にも理解できるが(恨みや怒り、寂しさなど)、彼らのそれは人間の理解を超えてくる。「わけがわからない」が一番怖い。
    そして「わけがわからない怖さ」が一番後味を気にせず、不思議と畏怖と好奇心ないまぜになった楽しさを味わえる。

  • 今作は理不尽な恐怖が多い。なぜ彼はトイレで死なねばならなかったのか。なぜあの子は3歳を前に死んだのか。神の怒りに触れて一家が死んでしまうというのも、なんともやり切れない。

  • こういうのは癖になる。
    おかわり欲しくなるほど。

    でも、色々な媒体で読めるので、タイトルがシリーズ化してると、既読か未読かもう自己判断が難解すぎる!
    内容もタイトルも覚えられない!

    いつも、「これ読んだことあるかも…」「…やっぱり読んで無いかな?」と言う雑念がちょいちょい読書を邪魔する。(掲載誌で既読してたわーと言う
    パターンもあるから尚更)

  • 得体の知れない存在と出会ってしまった怪談を収録した「あの子はだあれ?」。

    怪談を読んでいて、いつも感じる怖さの要素として「気付き」にあります。あちら側が気づいた時の、恐怖はちょっとレベルが違う。同じ舞台にいないという安心感。それが、怪異に接触した時の最後の拠り所なのに、その一線を乗り越えられてしまった恐怖。
    全てがそうではないけども、「気づき」のある怪談は相変わらずこわいです。

    得体の知れない存在という点では「弟」「蔵の中」「不動産」「邪気の正体」「くだん」「牛の首」が触れてはいけない恐ろしさがあります。
    得体の知れない存在。その中でいえば、タイトルをあげた怪談に出てくる存在の方がレベルは上なのだけど、感じる恐怖は薄い。
    なんだろう、敬うというか、そういう感覚を持ってしまうからか?

    おかしな話。メガテンでいうと、低レベルの悪魔の悪霊や屍鬼の方が、怪談での恐怖は強い。高レベル悪魔の方が、恐怖は薄いんだよなぁ。
    あれかな、御霊信仰があるから?いや、単純にメガテンで仲魔として、親近感があるからだな。
    なんか、変に馴れ馴れしくて怒られてしまうやつだ。

  • じんわりと怖かった。

  • 怪談はいくつ読んでも飽きることがないので、目についたら手にとってしまう。この本は関西の怪談が多く収録されていて、身近に感じられて面白かった。世の中は不条理で溢れていて、不思議なことはいつもすぐそこにある普通であると思えるのが、怪談が好きなところ。なので、人が亡くなったり失踪したりといった大物(?)より、ちょっと不思議で怖い、くらいの話が好み。

  • <目次>


    <内容>
    久しぶりの怪談話。安定のスタイルですね。

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著者プロフィール

(なかやま・いちろう)兵庫県生まれ。怪異蒐集家、放送作家、オカルト研究家。クリエーター養成塾「作劇塾」塾長。木原浩勝氏との共著『現代百物語 新耳袋』(全十夜)は、ロングセラーとなった。著書に『怪異実聞録 なまなりさん』『聖徳太子 四天王寺の暗号』『怪談狩り 市朗百物語』『怪談狩り 赤い顔 市朗百物語』などがある。

「2022年 『なまなりさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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