地獄くらやみ花もなき 肆 百鬼疾る夜行列車 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 389
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041087572

作品紹介・あらすじ

〈地獄代行業〉の皓と助手・青児のもとへ、宿敵である荊から果たし状が届く。地獄の王座争いに終止符を打つため、2人は決闘の舞台となる寝台列車〈青い幻燈号〉へ。豪華な車内で待っていたのは、6人の乗客たち。発車後すぐに、ひとりが密室で姿を消し、ひとり、またひとりと殺されて――乗客にまぎれた処刑人は誰か? 探偵役・皓vs.黒幕・荊、一夜限りの推理勝負が始まる! 美少年探偵とペット扱い助手の事件簿、第4弾。

感想・レビュー・書評

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  • <地獄代行業>の皓と助手の青児のもとへ、荊から果たし状が届く。
    決闘の舞台となる寝台列車、<青い幻燈号>で待ち受けていたのは、6人の乗客たち。ひとり、またひとりと殺されていく乗客たち。乗客にまぎれた処刑人はいったい誰なのか?


    地獄代行業を営む皓少年と、助手の青児の「地獄くらやみ花もなき」シリーズの4冊目です。
    今回の舞台は豪華な寝台列車。そこで起こる連続殺人事件。
    ミステリ的な舞台の中、犯罪者が妖怪の姿に見えるという青児の設定がうまく調和していて、ファンタジー側からも推理をすすめられるのが楽しいです。
    そして、『そして誰もいなくなった』か『オリエント急行の殺人』か……と思わせて、別の文学作品に着地するのが美しくも寂しく儚い。

    作品としてはまだ続きが出ているのですが、物語としては一区切り。
    シリーズの最初から読み進めてくると、全てから逃げ続けていた青児の成長と、皓の弱さと優しさにじわっと来ます。
    この先も2人のバディがまだ見られると思うと嬉しいですね。

    ちなみに、コミカライズ版もとっても良いのでお勧めです!

  • 地獄の次期魔王の座をかけた最終勝負が荊から申し込まれた。皓は助手兼ペットの青児を連れて舞台の豪華寝台特急「青い幻燈号」に。この列車がレトロな雰囲気で相変わらず舞台が魅力的。列車には他に6人の乗客がいたが青児の目には罪を表す妖怪の姿として映る。罪人たる乗客達を地獄に堕とす「執行人」から終着駅まで2人以上守るのが皓の勝利条件。勝負が始まって間もなく乗客の一人が密室から姿を消し、一人が殺害される。乗客の中に潜む地獄の執行人は誰か?そして勝負の行方は?前作までに語られていた条件があったりするけど人物消失や執行人の正体、全体の事件の謎についてはフェアに解かれていると思う。青児と皓の絆が勝負を通じてしっかり結ばれて何より。荊と棘のその後も気になるしここでシリーズ終了しなくてにこにこだ。

  • 「では地獄に堕ちていただきましょう」
    職も居場所もない、途方に暮れる青年"遠野青児"が迷い込んだ洋館で出会ったのは、人間離れした怖いほどの美貌をもつ着物の少年"西條皓。
    青児は、「罪を犯した人間の姿が妖怪に見える」ことに悩んでいた。この体質を買われた青児は、皓に半ば強制的に助手(ペット)して雇われる。
    謎の美少年、皓の職は、罪人を暴き地獄へ堕とす、「地獄代行業」であった。


    夜行列車を舞台に皓の父親の命と地獄代行業の王座をかけて因縁の相手との対決。
    もちかけられた要件は、乗客を死に追いやる執行人がいる中で、夜行列車の乗客を2名生き残らせること。

    罪人が妖怪に見える青児の目に映ったのは、乗客全員の妖怪の姿だった。



    これまで屋敷で地獄代行業をするしかなかった皓が自分自身と向き合い、青児も信じて待つ。今回の対決を経て自らの今後の生き方について見つめなおすところが印象的だった。

    「なので、青児さんの百年を僕にくれませんか?」
    2人の関係性も前進。続きが楽しみすぎるし、コミカライズも絶対素敵に違いない。

    2024年2月12日

  • シリーズ4作目も面白かったです。西條さんと荊さんの魔王継承バトル…青児さんのマイ妖怪辞典が気になります。
    「オリエント急行殺人事件」かと思っていたら「銀河鉄道の夜」だったのはぐっと来ました。
    荊さんは棘さんよりとんでもないけど、兄弟想いだったのかも?と思います。2人ともそれなりに。神野家も山本家もお父さん方が横暴だったようだし兄弟は団結するのかも。凜堂兄弟、英国でもお健やかに。。
    西條さんも青児さんもお互いに良い影響与えあってて良いです。離れるの!?と思ったけど、魔王勝負に勝った西條さんがぬらりひょんに押し付けて代行業に戻るの良かった…飼い主とペットコンビ再び。
    結構随分あっさり、と思ったら一旦ここでお話は終了だったようです。かと言って続きは書かれてるので、楽しみです。人物紹介の小野篁さん、もはや平安装束じゃない方が多いけど…何お召になってても似合ってるようなので流石です。

  • 最終巻は何だか限りなく人間臭い心がちりばめられていた。結局、心持ちって凄く大事。どうやって生きていくかは自分次第だって言われた気がする。

  • 終盤の展開が驚きと切なさの連続だった。
    執行人の辛い過去からの荊の仕掛けで絶望展開、からの荊の本当の動機等、ページめくる度に驚きと切なさがありました。完全な悪役だと思っていた荊の印象も、この本で変わりました。

    鳥栖青年の「なぜ自分は自殺した兄のマネをしたのか」に対しての青児のアンサーがすごく好きです。

  • 荊さんが・・もう好きの塊よ・・。

    全員が何かしらの罪を犯している人だと・・いったいどんな展開になるのかと思いきや・・切ない。

    鵜ノ木さんとお父さん、青児さんと猪子石さん切ないのオンパレードじゃん。
    生き残った2人はこの先もある意味生きていくことにはなるんだけど、知り合いに会ったりしたらと思うとなかなかつらいものがある

  • 皓の父・山本五郎左衛門と凛堂兄弟の父・神野悪五郎が荊によって殺された。そして皓にその荊から果たし状が届く。魔王の座をかけて用意された舞台は寝台列車“青い幻燈号”での推理対決だった。
    青児と皓の最後の探偵業になるとあって、けっこうな業を抱えた乗客たちが揃った。それぞれここに至るまでの背景は浅い深いがあったが、各々の背景に符合した妖怪の組み合わせとエピソードがよかった。残念だったのは誰が執行人かがすぐ分かってしまったことだ。怪しいなと思ってから、それが覆ることもなかった。序盤に怪しいと思わせておいて違うかと思い直して、やっぱりそうなのな展開が欲しかった。
    一方で荊は前巻の印象を見事に覆した。荊は兄たち全員分の想いを背負って棘を魔王にしようとしていた。この兄弟、兄想いの弟と弟想いの兄でよかった。まあ2人とも愛情表現が暴力的だが…
    青児と皓は相変わらず抜群の相性を見せた。それに1巻と比べたら青児は成長した。出来ないけれど出来ないなりに頑張るのは、同じく出来ない私から見て共感と応援しか湧かない。
    物語がまだ続くのは嬉しい限りだ。だがもう少しだけということなのでその言葉を裏切ってくれたらなと思う。

  • 残念ながら、オリエント急行殺人事件を読んだことがないのでなんともだが、なかなか面白かった。まさかの全員お亡くなりに…?とハラハラしたが生きたままの人が居て良かった。今作も面白かった。

  • ここで地獄代行編は完結なのね。オリエント急行×そして誰もいなくなった的連続殺人、ミステリとしてもたのしい展開。最後のプロポーズもとても良かった。続いてくれて嬉しい。

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著者プロフィール

愛知県生まれ。2017年「地獄くらやみ花も無き」で、第3回角川文庫キャラクター小説大賞〈読者賞〉を受賞。同年、「折紙堂の青目鬼 -折り紙あやかし事件帖-」で、第5回富士見ラノベ文芸大賞〈審査員特別賞〉を受賞。

「2023年 『地獄くらやみ花もなき 捌 冥がりの呪花、雨の夜語り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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