蜘蛛ですが、なにか? 蜘蛛子四姉妹の日常 (2) (角川コミックス・エース)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 26
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・マンガ (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041094693

作品紹介・あらすじ

体が分裂し、個性バラバラな四姉妹となってしまった蜘蛛子達。異世界迷宮でのヒルズ建設、確定申告にカーレース…!? 優雅で快適な生活を目指して、今日も四人は頑張ります!「蜘蛛ですが」公式ギャグスピンオフ!

感想・レビュー・書評

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  • 宙ぶらりんの蜘蛛の糸、着地を知らない空の旅。

    地龍アラバ、それにマザーと。
    本編の進行につれてスポットが当たり、やがて退場していく言葉なき強敵たち。
    もっとも、シュールギャグの世界では姿を見せども悲壮な気配などみじんも感じさせないのは幸か不幸か。

    そんなわけで『蜘蛛ですが、なにか?』公式スピンオフギャグコメディ『蜘蛛子四姉妹(シスターズ)の日常』第二巻がやってまいりました。一巻に引き続き8P×17本のショートコメディ・スタイルは相変わらず。考えも時間も取らせないお手軽気分で楽しめると思いますよ。

    とはいえ、私個人のレビューとしましては愚痴めいたことをのたもうてしまいます。
    よって、そのような言葉を受けたくないという方は回れ右を推奨します。

    一巻に引き続き、保留の意味として星三つの評価は揺るがないことをご了承ください。
    そもそも「シスターズ」の呼称自体、本編が原作書籍六巻に辿り着いた際に別ポジションのキャラ四体に対して用いられます。ダダ被りの用語だという指摘は野暮かもしれませんが、一応言わせておいてください。

    一応フォローを入れておくと作中人物同士の会話や文中で使われる類の言葉ではないのですが。
    あくまで書籍版の「シスターズ」は商業販促や幕間説明の都合上、読者向けの紹介と線を引いたうえでに便宜上用いられる呼称と断っておきます。

    それと「蜘蛛子」の名称自体、この世界では自然に使われていますがほとんど作中外用語なんですよ。
    上記の事情に加えて主人公の呼び方を「“私”」以外でネタバレなく、象徴的に過不足なく紹介するニーズに応えて発生ないし採用されたものだったりで。

    シュールギャグの世界で今更言っても詮無きこと……と身も蓋もない意見でまとめるのもありですが、精々紹介をあがかせてください。何を言ってもネタバレになってしまうのがもどかしいですが、この呼び方でわかる通り宙ぶらりんなんですよね、この時点での主人公の立ち位置(そしてそれを引き継ぐ本作も)。

    宙ぶらりんついでに、なんだかよくわからない位置を確保してしまったことは確かなのですが。
    だから繰り返させていただきますが、この作品は評価保留なのですよ。
    この種のギャグがツボにはまるかどうかは人それぞれなので私個人から何かを断言することはできません。

    けれど、ラストワンページの予想外だったり、それまでのてんやわんやをストンと腑に落とす結末作りには唸らされました。フォーマットとして確立した流れをポンポンと見せられるテンポを味わうにはある程度のまとまりが必要ということで、コミックスを買った甲斐はあったと思いました。

    「入れ替わり」だの「確定申告」だの、ハチャメチャなお題を後に引かないように強引にでもまとめつつ、はい次で進められる展開力は見習いたいところです。
    ちなみに、一巻と比べれば過剰なアクション・リアクション芸は柄ではないのかある程度引いて、代わりに原作特有のナレーション・システムメッセージを使った話芸(ツッコミ重視)が強化されているように感じます。

    結果、人はある程度選ぶものの、シットコムとしての完成度は上がっているように感じました。
    意外と原作ネタ要らないというか、本編の世界観、ゲーム的なシステムの盲点ないし意外な着眼点を見つけて、オリジナルのシチュエーションだけで話が回せると言いますか。

    そのためある程度文脈は押さえておく必要はあるかもしれませんが、別に原作ネタを知らなくても楽しめるかもしれません。かかし朝浩版の漫画から派生しつつも、間違いなく特有の空気感を有していますし。
    ある程度、原作を忘れて楽しむという選択も本作のオリジナリティを前にすれば見えてくる気がしました。

    というか、本編の序盤、しかもその半分しかネタが出せない上、主人公の内面に切り込む話もできない以上は早々にネタが打ち止めになるのもやむなしと言えるのかもしれません。
    むしろ本編を連想させる繊細な話は、能天気な本作の邪魔になるというか。

    その点、この巻収録の、謎の男「ギュリエディストディエス」とのレース回(前後編)はかなり危ない回のように思えました。本編をある程度知っている人向けの話なのに、知ってる人からはキャラいじりの面もあって好き嫌いが分かれやすい。私は流しましたが、今作最大の危機はその回だったのかもしれません。

    エンジン自体は間違いなくかかっています。原作抜きで話が成立するのは褒めか貶しかは判別しかねるにせよ。
    四体に分かれた主人公たちの役割分担は明確ですし、スムーズに話を流すにあたって個々の紹介も済み、読者が慣れてきたこと、キャラデザの優秀さもあって、迷わせることはないのです。

    それと、この巻のラストで本編の名物キャラ「ロナント」翁の参戦が示唆されていますが、本作のウリは先に申し上げた通り別にあるのであまり気にしないでください。
    優秀なフォーマットを確立させることで、シュールな作風を引き立てることに間違いなく成功していますので。

    とはいえ、永遠に続けられる類の作品でもないのでしょう。
    一応伏せますが、タイトルと絡めて本編と両立させることが出来る抜け道的な終わらせ方も私の中で推理することは出来ました。
    よくわからないなりにこの作品のことが癖になってきたことも確かなのですけどね。

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