- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041103173
作品紹介・あらすじ
感じていたい、あの人のぬくもりを。過酷な運命を背負った少女が辿った、哀しき死と再生の物語。第19回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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死に対する見方が変わりました、切ない物語でもあります
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死者を再び富と名誉を持った家系に生まれ変わらせる役割を持つ先導者となった「わたし」。わたしの運命を一人称の語りでつづられた小説。
ホラー小説大賞の受賞作ですが怖さというものはなく、わたしの語りの美しさや格調高い文章はどちらかというと純文学の香りすらも漂わせているように思います。
なにより圧巻だったのはわたしが死者の魂を導くため臨死体験をする際の描写力です。この作者は一度死んだことがあるのか、と思わせる生々しさがありました。わたしが魂を導く御堂の話やそこが徐々に崩壊していく話も妙なリアリティがありました。
わたしが所属する組織についての話や後半の展開などがちょっと消化不良気味でしたが、語りの美しさ、描写力に加え、物語の展開もわたしの再生、もしくは復活の物語としてとても綺麗なもので、ここをさらに突き詰めていくと、ものすごい作品を今後書かれるのではないか、という予感を持ちました。
第19回日本ホラー小説大賞 -
だ、ダメでした。
途中で読むのやめちゃいました。 -
どうもファンタジーの要素が強いきがして読みにくかった。
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図書館本
ムラカミハルキ新作予約、2番目だって、やった~!
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車、ぶっつけた! とほほ・・・。 -
現実に見えそうで見えない。
異世界に連れて行ってくれる本でした。 -
切なくて儚いけれど、美しい。「生」と「死」、「業」について考えさせられる。
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(No.12-10) 第19回日本ホラー大賞〈大賞〉受賞作品。
『15歳になったばかりのわたしは、先導者として認可され、研修所から人里離れたコテージに移り住む。多少のわがままなら聞いてもらえるとの事で、北国を選んだ。
初めての御役(仕事のことを私たちはこう言っている)は、契約者ではない人物を連れて行くという例外的なものだった。しかも事故死。初めてなのに・・・、不安だったが次長に「あなたならできる」と言われ、困難に立ち向かう。
契約者なら、老衰や病死などなら、そこに佇んでいるはずだが、どこにもいない。まず探索からやらなくては。時間は限られているのに。
やっと探し出した相手は、思いがけない行動をとる・・・。』
図書館で借りるまで、これがホラー大賞をとった作品だと知りませんでした。面白そうな話だという情報を拾ったので探したのです。私はホラーはどちらかというと苦手なので、知らなくて幸いでした。
ぞくぞくするような恐さは全く感じませんでした。ホラーというより、ファンタジー色が強い気がします。
亡くなった人の魂を捜しに行く話は結構あって、私がまず思い出したのは「サブリエル」です。あの河のシーンは好きだな。
この話のすごいところは、人の死や、探索に向うために擬似的に死ぬシーンの克明な描写です。外からではなく内側からの描写なので、作者にあなたはもしかして死んだ経験があるの?って聞いてみたくなってしまった。
最初は連作短編集なのかなと思ったのですが、そうではなく長篇小説でした。
視点が「わたし」に固定されているので、組織の詳しいことや、世界の成り立ちなどはぼんやりとしか分かりません。でもそれはそれで良かったように思います。だって「わたし」にはそういう余計なことはいらないのですから。
最初から悟りきっているような、生きることをあきらめているような「わたし」が、静かに強く望んだこと。密やかなラストシーンは哀しくてとても素敵でした。
どこでこの本の情報を拾ったのか忘れてしまったのですが、読んで良かった~、静かに感動しました。