- 本 ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041108543
作品紹介・あらすじ
選考委員、激賞!令和初の大賞受賞作!
「恐怖と謎がしっかりと絡んでいる。ミステリ&ホラー大賞にふさわしい」――有栖川有栖氏
「謎への引きこみ方が見事。読了後は心地よい酩酊感に襲われました」――辻村深月氏
信州で暮らす久喜雄司に起きた二つの出来事。ひとつは久喜家代々の墓石が、何者かによって破壊されたこと。もうひとつは、死者の日記が届いたことだった。久喜家に届けられた日記は、太平洋戦争末期に戦死した雄司の大伯父・久喜貞市の遺品で、そこには異様なほどの生への執着が記されていた。そして日記が届いた日を境に、久喜家の周辺では不可解な出来事が起こり始める。貞市と共に従軍し戦後復員した藤村の家の消失、日記を発見した新聞記者の狂乱、雄司の祖父・保の失踪。さらに日記には、誰も書いた覚えのない文章が出現していた。「ヒクイドリヲクウ ビミナリ」雄司は妻の夕里子とともに超常現象に造詣のある北斗総一郎に頼ることにするが……。 ミステリ&ホラーが見事に融合した新鋭、衝撃のデビュー作。
感想・レビュー・書評
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もしかして、、から生まれた並行世界がじわじわと自身の現実に侵食してくる様子に背筋がゾワゾワしました。とても面白く1日で読了。ただ、凄惨な場面が強く印象に残ってしまうので、そこだけが…(*_*)
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『無理矢理捻じ曲げられるような展開に理解が追いつかない』
多くのレビューに書かれているとおり、本作のキーワードは『執念』。
この執念は、現実をも歪ませてしまうほど恐ろしい存在として作中では描かれる。
そして、それを火喰鳥という獰猛な生物と並べて描くことで、より恐怖が増していると個人的に感じる。
本作は、とある信州の田舎に暮らす久喜雄司が、太平洋戦争にて戦死した彼の大叔父・久喜貞市の日記を手に入れることから始まる。
そして、その日記を読み、死没日と思われる最後の日付に『ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ』と知らぬ間に刻まれたことをきっかけに、雄司をはじめとした人物の周りで起こる異変が作中では描かれている。
本作は、『ホラー』という分類をもちながら、『ミステリー』という要素もしっかり持ち合わせている。
(ただ、私は怖さが勝ってしまい、ミステリーとしてのヒントを完全に読み落としていた)
ただし、物語はゆっくり進んでいるように見せかけて、突然私たちを突き放してくる。
セリフ一つで話がひっくり返ってしまう、そんな面白さが非常に堪らない。
ただ、その意味を理解するには時間がかかると思われる。
私はこの本を読了しているが、雄司以外の目線から読んでみると、また見えてくるものは変わってくるのかもしれない。
『執念』による恐怖、是非一度その目で確かめて欲しい。 -
文章が読みやすかった。よく分からない理屈と説明も、妙な説得力でもって納得させられた。文章って大事だな、と思った。
頭の中がごちゃごちゃなまま、不気味さと後味の悪さを残し読了。夏の夜に読みたくなるホラーだった。 -
戦争中に死んだ貞市の日記が見つかり、その日記が見つかる前に墓の貞市の名前が刻まれていた部分が削られていた。
そこから物語は始まる。
貞市の「生きたい」という思いが日記に「籠る」その力により、貞市が死んだ現実と生きている現実がぶつかり合いどの現実が本当になるのか?
最後は貞市が生きている現実で娘のチャコがいるほうが現実になっていたが、そのチャコが悪夢を見るというので相談していた相手が北村総一郎であった。妻の夕里子を手に入れる為に貞市の日記の思いを利用し、もう一つの雄司がいた現実を夢に変えた。
最後に現実と夢が逆転し貞市が生きているほうが現実となってしまった。
誰の視点かにより現実と夢が入れ替わる為結局強い方が勝ってしまうのかと思いました。 -
主人公雄司は南方で戦死した大伯父久喜貞市の日記を手にする。読み進めると死者の日記に籠る執念が生と死を裏返し現実の世界を侵食する。死者の生存に不都合な人間が次々消えていく狂気の世界。
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墓の名前から大伯父の名前が消された
時を同じくして、南洋の方で戦死した大伯父の手帳が見つかり里帰りすることになる
どうもおかしい
家の者や戦友、マスコミまで得体の知れないものに巻き込まれていく
侵食されていく恐怖と、なぜそうなるのかミステリといばそうかな
ホラー要素の方が強い気がした
そして最後まで読んだら、絶対読み返すのではないだろうか・・
ある意味納得出来ない自分がいます -
ある日起きた二つの異変。ひとつは墓が何者かによって傷つけられた事。もうひとつは七十年以上前の死者の日記が届けられた事…
現実か夢かわからなくなる。このお話の背景はお盆過ぎの八月でリアルに蒸し暑い感覚が感じられました。ジャパニーズホラーは怖い。 -
ジワジワとくる怖さはあったけど、集中して読めてないせいかいまいちよくわからなかった。
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個人的な感覚としてはあまり怖くは無い。ホラーともミステリともあまりしっくりは来ないかな。
とはいえ全体の流れや終盤のカメラワークはかなり好き。ホラーやミステリとしての求めていた料理は出てこなかったけど、これも美味しいからいっかといった感じ。 -
この表紙、このタイトル!!読まない訳にはいかないっ!!
界隈で騒がれてる「ミステリーかホラーか問題」はそういう人達に任せるとして、この作品「引きの強さ」がもはや籠りなのではないかとね。
終盤に掛けての後片付けみたいなのはちょっと不満には思うけど、全体的に疑心暗鬼な状態を主人公とともに追体験出来るので読んでてエンターテイメントを感じた。
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