帝国のカーブ 「超限戦」時代に見るアメリカの「金融戦」の本質

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  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041108659

作品紹介・あらすじ

アメリカは帝国だろうか? そうだと答える人もいれば、そうではないと答える人もいるだろう。アメリカは以前のいかなる帝国とも異なり、海外に植民地を一つも持っていないし、戦争を通して占領した国から公然と資源や財産を略奪せず、また占領地の人を奴隷のように酷使していない。これらの点を見れば、アメリカはまったく帝国には見えない。しかし、これによってアメリカは帝国ではないと判断すれば、アメリカはなぜ覇権を執拗に追い求め、そしてこの覇権を確実に手に入れたのだろうか? 現在までの40年余りにわたり、アメリカは米ドルを用いて金融システムを構築し、全世界を人類史上類を見ない金融文明へと導き、全世界から利益を獲得してきたのだ。それでは、アメリカはいかにして有史以来最も強大な新興帝国になったのであろうか。【目次】日本語版への序文序文 「帝国」が時代遅れの話題になろうとしている時前書き 「9・11」はアメリカが衰退へと向かう転換点となった帝国の歴史 古い欧州の没落とアメリカの勃興金融植民 貨幣の歴史的ロジックとその軌跡金融という魔法の杖砲煙の背後 アメリカは何のために戦ったのか世紀の問いかけ 金融戦と陰謀論復興かそれとも衰退か アメリカは戦略の転換によって弱体化を避けられるか台頭するのは誰か アメリカが自分を倒した時に中国はなにをすべきか

感想・レビュー・書評

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  • アメリカの権力の源は巨大な経済、強力な軍事力、そして何よりもドルだという。確かにアメリカにとって自国通貨が基軸通貨であることのメリットは計り知れない。基軸通貨であることを最大限に活かし貿易赤字も経常赤字も物ともしないし、国際金融で傍若無人に振る舞い、基軸通貨であり続けることの優先度を高くしていることは理解できる。
    それでも何か一丸となってドルの変動を操作し、あるときは米国に資金を集め、あるときは海外に資金を流すような陰謀論のようなことは説得力がなかったかな。これはそれが真実というより、中国からはこのように見えると理解すればよいのかもしれない。
    邦題の「帝国のカーブ」は繁栄、衰退のカーブを示し、米国の金融帝国も終わりを迎えるというもの。これもいつかいつかと言われるだけでは説得力に乏しいが、この2~3年の米国が多用する金融制裁、スイフトからの締め出しなどは基軸通貨である強みを活かしているようで長い目ではドル離れ起こすのではないか。中国が米国を本書のように見ているとすると虎視眈々と脱ドルの機会を狙い、ドル離れの流れが強くなるのかも、そんな思いを持った。

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著者プロフィール

中国人民解放軍国防大学教授、空軍少将。魯迅文学院、北京大学卒業。文学作品や軍事・経済理論の著作は600万字を超え、代表作は長編小説『末日の門』、中編小説『霊旗』、理論書『帝国のカーブ』など。

「2020年 『超限戦 21世紀の「新しい戦争」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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