怪談狩り 山の足音 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 121
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041127421

作品紹介・あらすじ

登山の途中で足を挫いてしまったA君は、親切な登山者に声をかけられ、力を借りて下山しだす。しかし、その途中である恐ろしいことに気づいてしまい……(「助けてくれた男)。脱サラして実家近くでコーヒーハウスをはじめたHさんは、客足が増えたことをきっかけに駐車場を拡張することに。父親の反対をふりきって工事をしたが、店の周囲で不思議なものが目撃されるようになる(「山神様」)。最愛の恋人を自殺で失ったEさんは、時折自身がビデオにおさめた生前の彼女の姿を見返していた。しかしある日を境になぜか無音になり、その映像を見た妹が、意外なことを言い出して――(「彼女の姿」)。実話怪談の先駆者が放つ、選りすぐりの恐怖。日常の地続きに潜む怪異を淡々と描きだす、実話怪談集。

感想・レビュー・書評

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  • 怖かったけど不思議な事があるな〜。と思って読んでいるけど、実際本当に起こったらと考えたらゾワゾワ怖い!

  • 最後の話はアルミサッシを霊なのか神様が嫌がるというのが、なんとも不思議だった。

  • ほっこり怪談かと思いきや、最後にひっくり返してゆく「おじいちゃん」。因縁なのか怨讐なのか、解釈次第でどうとも取れる「カルテの虫干し」。人の弱みにつけ込む悪意の塊「彼女の声」。ホンモノじゃねぇかの叫びにいろんな闇を感じる「心霊番組」。これを社畜というのは心苦しいけど、そこまで囚われてしまうのがしんどい「残業」。希望と絶望が同居してしまう怖さの「やけど」。コロナ感染で経験したというタイムリーな「死神」「コロナ感染」「入院」。タイムリーというと不謹慎な気もするけど、大災害やパンデミックのような歴史に残る出来事には、不思議なことがつきものだと思う。そうでない時も起きているだろうけど。善意の仮面で奈落へひきずり込もうとする「助けてくれた男」。
    人が踏み入れてはいけない境界は確実にあるのだ、と感じてしまう「吉野の古家」「お盆の夜」「吉野の探索」「貸した車」。

    印象に残った話をつらつらと。

  • いわゆる実話怪談の体を為すオムニバスで、1篇が数ページ単位と短いので読み易く、また過度な演出はほとんど見られないので、リアルさも充分に伝わってくる。
    と言いながら、「助けてくれた男」の中に、山で滑落し両脚骨折という重傷を負いながら、怪異に導かれるまま苦痛に耐えて下りていく登場人物が出てくるが、さすがにその表現は盛り過ぎだろう、歩けるわけがない…。
    こういう事例が1つでもあると、他もどこまでが聞き取った実話でどこからが創作なのか…とすべてを疑ってかかってしまうようになるので、少々残念である。

  • 今回は末尾を中心に「山の怪談」が多い一冊。
    吉野・高野山という霊山もあるが、里山(田舎)もあるので、どちらかというと人間の生活圏に近い。

    このうち、吉野を著者が探索したエピソードがあるが、そのなかで『山怪』の田中康弘氏との出会いから「山の神」の存在を考えるようになったと書いている。
    この本と同年の心霊ドキュメンタリー『北野誠のおまえら行くな。』では、「女の声が聞こえる某トンネル」を訪れた北野誠氏がこの田中氏とこの著者の名前をあげたうえで「これは山の神ではないか、幽霊ではないような気がする」とコメントしている。
    このように本書で語られている中村氏&田中氏の「山中にあらわれる女性=山の神」説がほかの心霊番組にも影響していたのは、なかなか面白いものがあった。
    山道にあらわられる謎の女性、禁忌をもった川にまつわる白い服の女性、吉野某地域に現れる女性、そして番組でとらえられたトンネルに響く女性の声。山の神とはなにか、共通項のある謎の女性。なかなかゾクリとこわい。

    ほかにも、なんだかリズム感のある死神遭遇譚、自然すぎる現れかたをする自死した若奥様、謎の「ラスボス」、などなど。キャラや描写が秀逸な実話怪談が多かった。

  • 面白かった。

  • 実話怪談はやはり怖い。
    明確なオチがないのが怖い。
    吉野の古家の話は底知れないものがある。

  • <目次>


    <内容>
    中山さんの怪談シリーズ。夏の発売を見落としていて、冬に購入、読了した。奈良県吉野の不思議な話が記憶に残った。霊(神)の通り道ってあるのかな?アルミに弱いって、面白いけど…。

  • 中山市朗さんの文体が好き。
    寄り添う感じで読める文体だと思う。
    『吊ってはる』『庭の龍』『龍が見える人』『裏の竹藪』『ずれた世界』『地下のトイレ』『心霊番組』『山女』『N山』『天狗の写真』『高野山の茶店』『吉野の探索』『貸した車』が面白かった。
    『ずれた世界』はスーパーマーケットの、怪異。二階の本屋さんで立ち読みしてて気がついたらフロアに誰もいない。本を置いて店を出てあちこち見ても誰もいないし音もしない。ふと気配を感じて振り返ると赤い帽子、赤いワンピースに赤い靴の赤い女が立っていた。めちゃくちゃ怖い!!慌ててエスカレーターを一階まで駆けおりたらスーパーマーケットは普通でお母さんが買い物してたって、ほんま戻ってこれてよかったなぁと思う。この手のはなしはわりと多いけど好みです。
    赤って怪談の常套句みたいな気がする。でもほんまにやばいときは青とか聞きましたけど、どうなんやろう?
    面白かった、もっと読みたい気持ちになる。

  • 面白かった。
    怪談狩りシリーズ今年も読めてよかった。
    吉野の平屋、山の足音、山の神様、異次元

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著者プロフィール

(なかやま・いちろう)兵庫県生まれ。怪異蒐集家、放送作家、オカルト研究家。クリエーター養成塾「作劇塾」塾長。木原浩勝氏との共著『現代百物語 新耳袋』(全十夜)は、ロングセラーとなった。著書に『怪異実聞録 なまなりさん』『聖徳太子 四天王寺の暗号』『怪談狩り 市朗百物語』『怪談狩り 赤い顔 市朗百物語』などがある。

「2022年 『なまなりさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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