嘘つきなふたり

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 877
感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041130964

作品紹介・あらすじ

誰か教えてほしい
恋愛や親友の定義を、人生の模範解答を――

親元から離れ寮で生活する19歳・朝日光は、小学校の同級生だった長谷川琴葉と偶然再会する。
当時の担任が川に転落したニュースが飛び込んできて動揺していると、
琴葉が「私が先生を殺したの」と告白、そのうえ一緒に逃げてほしいと言う。
しかし光は先生を殺した犯人は琴葉ではないと確信していた。なぜなら――。
互いに秘密を抱えながら、ふたりは小学校の修学旅行先だった京都に向かう。

『愛されなくても別に』の著者が描く、愛と友情と嘘だらけの衝撃作!

感想・レビュー・書評

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  • 嘘だけが心の安定剤… これからの人生を憂う、若者たちの不安を綴った青春ミステリー #嘘つきなふたり

    ■あらすじ
    主人公19歳の彼女は、実家を離れて東京で勉学に励む日々。ある日小学校時代の友人とばったり出会い、微妙な距離感の友情が芽生え始める。一方で、二人の小学校時代の担任の先生が死体となって発見されるのだった。
    主人公は友人から告げられる、先生を殺害したのは私であると。

    ■レビュー
    武田先生の真骨頂、若い世代の葛藤や不安といった心情描写がお見事!
    苦しまぎれの中で吐露されるセリフの数々や、若者たちの深層心理に潜む苦痛が手に取るようにわかる。いつもの作品とおり辛辣でした。

    今回は特にヤングからアダルトに成長する世代。
    大人になるとはどういうことなのか? 正解のない問題に対して、事件や出会いを通して彼女たちなりに答えを出していく。私も20代の思い悩んでいた時代を思い出し、胸が苦しくなりました。

    本作で推したい登場人物は京都で出会ったお姉さん二人。
    数々の名セリフが超ステキ。なんといっても結婚や人生に対する価値観がエグイんです。

    結婚は若ければ若いほど良い、昔ながらの結婚をしたいと思って何が悪い。
    人生なんてクソ、毎日をがんばって少しずつマシにする。
    世の中に潔癖な奴なんていない、多かれ少なかれ悪い奴もいる。しかし助けてくれるいい奴もいる。

    誰の何に対する嘘なのか。そしてその嘘をどうするべきなのか。
    彼女たちが少しだけ成長した姿が、胸にじんわり染み込みました。

    ■推しポイント
    若かりし頃、恋人に振られてしまって、ひとり京都に旅に出たんです。観光客でいっぱいの中、男子一人で清水寺の紅葉を見ながら、ぼんやりと歩いていました。

    私はなぜ振られてしまったのか… 一生懸命に彼女を愛し、自分の人生もしっかり歩んでいるつもりなのに。

    最終日、京都の街を出るときに、雨上がりの空にひろがる綺麗な夕日を見たんです。それは「嘘」みたいに美しい景色で、まるで夕日を見ている自分が「空想」の世界にいるようでした。

    辛いことがあったら、空想の世界に逃げ出すような背中の煤けている男なんて、たいした魅力はないんですよ。旅の終わりに夕日をみながら、なんとなく振られた原因を悟ったんです。

    大人になるとはどういうことなのか…忘れていた記憶を呼び起こす作品でした。

  • 秘密を抱える女子ふたりの逃避行を、ミステリーも絡めて描いた友情物語。

    女子版「スタンド・バイ・ミー」みたいな感じで面白かったです。
    7年ぶりに再会したふたりが、一緒に行けなかった修学旅行のやり直しで京都へ向かいます。
    小学校の担任教師の不審死。不穏な空気が漂いながらも、再会したばかりのふたりの距離の縮め方や微妙な関係性が何だか微笑ましいというか…
    多感な10代の心理描写が細やかで上手いなと感じました。
    全く違うタイプのふたりですが、ふたりとも生活環境などに悩みがあって、生きづらさが伝わってきました。京都のドミトリーで出会った女性たちにも色々あって、考え方や価値観は人それぞれだなぁと思いました。
    時系列をずらして小学校時代とアラサーの今も描かれています。

    ふたりの友情と成長がとても良かったです。
    自分の人生を自由に生きる。周りのことから解放される。色々と大切なことに気付かされました。
    特に若い世代の人にオススメです。

  • 日常の嘘がリアルに自分を苦しめる。
    優しい嘘なのか意地悪な嘘なのかは嘘の湿度にもよる。高校卒業したばかりの若い子の心情がリアル。思い出す過去の自分。
    一番の嘘つきはアイツだな。天罰だ。

  • 表紙とタイトルのわりに、淡々としていたかな。
    もっと毒々しい、息をのむような嘘を期待していたからやや残念。

    一番の嘘つきは、中山かな。

  • ミステリー要素もあってすらりすらりと読めてしまった。

    琴葉氏が"人生なんて基本的にクソなんだって"と吐き捨てている場面では「激しく同意」とキモヲタ風味に激しく首肯し人差し指を差したくなるほどだった。大好きなフレーズがまた増えて嬉しい限りでございます。

  • 読みやすく面白かった。母と娘の関係は、いろいろとあるなと。
    教師も一面だけの人って、いるよねって、思う。

  • 小学校の時に転校してしまっま親友・琴葉と偶然、再会した光。そして急遽、二人で京都修学旅行をやり直すことに。彼女たちは何から逃げようとしているのか。

    「嘘つきなふたり」だが、嘘をつくのは二人だけじゃない、ていうか全員?「嘘」でうまくいくときもあるし、いかないときもある。どんな嘘かによって、人となりがわかったりもする。



  • 感想は、なんと言ったらいいのかわかんないんだけどお互いが嘘をついたことで縛られていたものから向き合うことができたんだなぁと思いました

  • 初作家さん。
    期待してたからかなぁ。
    ちょっと期待外れだったかなぁ。人は誰でも嘘を吐く。ただ中山は本当に最低なやつだった。


  • 小学校時代に別れた友達との10年ぶりの
    再会に表面上は喜びながらも、琴葉との
    距離感を掴みかねて戸惑いを隠せない
    主人公の光。

    母親の示す道に沿って真面目で優等生に
    勉強だけしてきた光は、琴葉に誘われ初めて
    母親に黙って琴葉と二人だけの修学旅行に
    出かけるが、不自然な再会の裏には相手に
    見せない嘘があり、互いに本音を曝け出し
    あった時、二人の友達関係はどんなふうに
    変わっていくのかを描いた物語。





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著者プロフィール

1992年京都府生まれ。第8回日本ラブストーリー大賞最終候補作に選ばれた『今日、きみと息をする。』が2013年に出版されデビュー。『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』がテレビアニメ化され話題に。同シリーズは映画化、コミカライズなどもされ人気を博している。2020年に『愛されなくても別に』が第37回織田作之助賞の候補に、また2001年には同作で第42回吉川英治文学新人賞を受賞。その他の著作に、「君と漕ぐ」シリーズ、『石黒くんに春は来ない』『青い春を数えて』『その日、朱音は空を飛んだ』『どうぞ愛をお叫びください』『世界が青くなったら』『嘘つきなふたり』などがある。

「2023年 『愛されなくても別に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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