黒い魔女と白い聖女の狭間で ~アラサー魔女、聖女になる!(1) (角川コミックス・エース)

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  • Amazon.co.jp ・マンガ (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041135044

作品紹介・あらすじ

お疲れアラサーOL・ノバラの思いもよらない転職(!?)ファンタジー!
ブラック企業勤めのアラサー女性、ノバラは草むらで目覚め、角のあるウサギがいる世界への転生を知る。黒猫に導かれた彼女は書物から徐々に魔法を身につけてゆく。魔女見習いとして魔法で人々を助けていくが。。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公は見た目も名前も記憶も人格もそのままだし、現世で死んだかもはっきりしていないので、転生ではなく転移(もしかしたら召喚)とするのが適切。
    内容はチュートリアルっぽいというか、ひたすら順を追って進んでいるようで漫画としては野暮ったくて読みにくく、初めて読んだとき(Web掲載版)は面白くなかった。しかしコミックス用の修正でかなり改善されている。基本のストーリーは変わらないのに、台詞やコマを削るだけでこんなにも読みやすく、さらに印象が変わるものかと驚いた。これが《漫画》の力か。
    現世の知識が役に立つ場面はあるが、最初に職をアピールした割には職経験が生かされていないのは気になるところ。現状はぶっちゃけこのキャラじゃなくても成立する。長身アラサー田舎者の設定も上っ面だけで深みがない。

    ↓以下、細かい感想。

    第1話冒頭のナレーションっぽいモノローグが、めちゃくちゃはるえるぽん先生っぽい! そうそう、この導入!

    自分を庇って魔物に襲われた猫を助けるためとはいえ、つい数日前までデザイン事務所の会社員だった女性が「魔物の目を刺す」って思い切りがよすぎる。その上、頭を吹っ飛ばした魔物の死体をお金になると聞いていたから持ち帰る行動を取れるほど冷静になれるし(修正前は魔物を乾燥させてミイラ化させようとしていた。発想が怖い)、まだ序盤なのに現代人離れするのが早い。=読み手との乖離も早いので共感しにくくなる懸念がある。
    せっかく田舎出身設定があるんだから、コンプレックスだけに使うんじゃなく、「親戚や近所の人の狩りの成果で動物の死体は見慣れている」とか、そこまで広げてあるとよかった。(まあ都会の会社に10年勤めてるんだから、久々に死体見たらビビりそうではある。魔物だし、でかいし。だから「なぜそこまで冷静になれるのか」が納得できる、もっと強い背景が欲しいところ)

    猫の言葉がわかるようになってからも「にゃー」「えっ、○○だって?」のやりとりなので、テンポが悪くてダルい。猫の台詞はフキダシの形やフォントを変えたりトーンを貼ったりで区別して、直接書けばいいのに。

    180cmの長身がコンプレックスなのにヒールの高い靴を履いているのはよくわからない。「もっと背が高くなっちゃうじゃん」とか「その上背なら靴のサイズもでかいはず。合うヒールあるのか?」とか疑問が出る。「長身でも自分が好きな靴を履きたい」とか「外国産ならでかくてデザインのいいレディース靴がある。せっかく入手頑張ったんだから履く。もったいないし」とか背景が見えればよかった。
    はるえるぽん先生は長身美男子の受難ギャグ『コンプレックス192』を描いていただけに、余計に。

    デザイン事務所勤続10年・「10代20代のか弱い乙女じゃない」ということは、4大新卒入社で32歳とか? 自分をアラサーと表現するのは事実だし自虐だとしても、(悪人とはいえ)他人を「アラフォーBBA」と蔑むのはいかがなものか。あんまり性格良くないのかなと感じたので、今後主人公が周囲に持ち上げられる展開になったら「でも、こいつ性格良くないんだよ」で引っかかりそう。

    ↓以下、修正前(Web掲載分)との比較。

    キャラがベタもトーンもなく明らかに作画(仕上げ)が間に合ってない真っ白な原稿の回があって「これ公開して大丈夫か? 手抜き原稿に思われて敬遠されるのでは?」と思った。コミックス化に際して全体的に描き直しとトーン追加をしたとのことなので、Web版(今のところ差し替えられていない)と比較しながら読んだ。
    描き直しって表情変更とかその程度かと思っていたら、絵の描き直しではなく根本のネームから見直したようで、かなりコマ割りや台詞が変更されている。特に台詞が削られたおかげで導入部の説明っぽさ・チュートリアル感はだいぶ軽減されたように思う。最初は「原作の文章をそのまま漫画に入れたのか?」って感じ(=文字での説明が多い)だったから。
    ベタやトーンを追加したことでも解像度が上がり、画面にメリハリがついて見やすくなった。

    1コマ内の情報も整理されて、かなり漫画として読みやすくなっている。
    例)10ページ6コマ目
    修正前は川について
    ・水が透き通っている
    ・綿毛のような草が生えている
    ・魚が泳いでいる
    と、絵と文字で重複している情報説明が3つあったが、コミックス修正後では文字での説明が「綿毛のような草」だけになっている。
    →綿毛はファンタジー世界であることの描写なので必要(すぐ後で使うので伏線でもある)。水が透き通っているのは次のコマで「綺麗」と言及するので不要(そもそも透き通っているのは「水中が見える絵」でわかる)、魚は話に直接関係ないので言及しない。


    Web版は3月10日に第5話④が更新されて、次の更新は6月16日!? 3ヶ月も休載って大丈夫なのか? コミックス修正のためにしては長すぎる。いざこざがあって担当が変わったみたいだから大変なのかもしれない。また打ち切り(推定)じゃなければいいけど。
    →雑誌では6月9日発売号から連載再開。体調不良だったそうな。


    Amazonの出版社による作品紹介、「転生」に「また私何かやっちゃいました?」と、流行り文句を入れればいいと思ってる感じで印象が良くない。主人公は転生してないし、「何かやっちゃった?」なんて白々しいことも言ってない。出版社なのに内容に則した紹介が書けないの? それとも手に取ってもらえれば内容とズレててもいいわけ? 詐欺じゃん。作品の足を引っ張るようなことしないでほしい。


    10/13更新の第9話④のラストで次回が最終回と判明。また打ち切りか……。

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