- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041139899
感想・レビュー・書評
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仕事や恋愛、子育てなどに悩む人がネコシェフに出会い、心の中にある本音と向き合っていくお話。登場人物たちにつながりがあり、連作短編集になっています。
好きな台詞↓
「俺、ネコだぜ。我慢なんかしねえよ」
「自分の気分の赴くままに生きる。そうじゃなきゃ、たった一度しかない今日なんだぜ、もったいないじゃないか」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いい意味で予想を裏切られた。正直もっとフワっとしたファンタジーかと思ってたけど、全然違った。
煮詰まってテンパリ気味の女性が、ふとネコシェフのお店がある海辺に迷い込み、魚料理とともに渋いアドバイスで心をほぐされる。そんな短編集です。主人公たちはみんなどこかでつながってるけど、連作短編というほどにお話は繋がってません。
何と言ってもネコシェフのキャラがいい。料理もおいしそうだし、お店に行ってみたい。 -
それぞれの事情を抱え悩む人たちのところへ突然現れる「ネコシェフ」。標野凪さんの小説はこうしたファンタジー要素が含まれるものが多いと思う。各章の主人公は最初の話の専業主婦の女性(40)と何らかのつながりをもつ人たち、という連作短編集。ネコシェフの出てくる幻想的な場面との対比で、主人公たちの生きる日常のリアルさが増している気がした。一方の人がもう一方の人に対し感じていることが、当事者の状況と一致しているとは限らないということを改めて感じた。やはりどんな境遇の人にとっても自分の選ばなかった人生を歩んでいる隣の芝生は青く見えるのだろうな。心が弱っている人の前に現れ、美味しい食べ物を食べて元気や気力取り戻す小説が最近多いのは、皆それぞれ疲れていてそうした拠り所を求めているということの裏返しかもしれない。ネコシェフは気取っていながら、お茶目でネコらしいかわいさを持つところが良かった。ネコシェフの作る魚料理はシンプルだがどれも美味しそうだった。
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現代社会で悩める人々の前に現れたサバトラ柄の「ネコシェフ」が、絶品お魚料理を食べさせてくれる、というストーリーです。魚に限定することで、日本人が忘れかけている食文化や生態系、自分の本音にこそ向き合うべきことを教えてくれます。
豆絞りの手拭いが可愛いカバーイラストは、庄野ナホコさんです。 -
そぉーーーっと背中を押してくれる短編小説。
生きていれば、他人と比較して焦りを感じたり、やりたいことが分からなくなったり、予定外の悩みが出てくるもの。
まだ起きていない未来のことを心配するよりも、今、目の前にある事柄をひとつひとつ丁寧に行うことで、自分に満点をあげて良いんじゃないかなって思った。
登場人物が少しずつ繋がっていく感じや、人間が何気なく発した言葉から魚のダジャレにもっていくところが面白かった! -
自分らしく自分軸で生きていいんだと背中を押してくれる小説。
仕事や人生で色々と悩むけれど、自分らしく生きていいんだと教えてくれます。
また、魚料理がとても美味しそうで自分でも魚料理をしたくなります。
魚の漢字の意味を興味深く面白かったです。
ただし、俳句は知識が乏しいため、理解できなかったのが残念です。
(精進します。)
自分と向き合いたい方にはいい小説かもしれません。
また、短編なので読みやすかったです。 -
悩みある人がたどりつくネコシェフのレストラン。
料理上手なネコシェフさん。
猫ならではの言葉が訪れた人の心に響く。
いいなぁ、作った料理を自分も食べちゃうっていうのもなんだかほっこりしちゃう。
だって、猫だもんね。
訪れる客にひそかにつながりがあるのも面白い。
そのレストラン、私も行けるといいな。