- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041140741
作品紹介・あらすじ
祖母の葬儀のため、五島列島の実家に帰ったTさんが意外な行動をする猫を目撃する(「葬儀猫」)。店のクローズ後に、従業員用のシャワーを使っていた風俗嬢が目撃してしまった、切なく恐ろしい光景(「赤いマニキュア」)。間取りも値段もすべて気に入って購入を即決した分譲マンション。幸せに暮らすM子さん一家だが、ある日を境に、ご近所さんに死者が続出し、M子さんは奇妙な共通点に気づく……(「大黒柱」)。山の中での虫探しが好きな弟が見た、木の向こうから手招く白い腕。その直後、恐ろしい怪異が兄弟を襲う……(「神隠し」)など、日常で遭遇する恐怖に加え、世界最大級の山岳遭難事故である「八甲田山雪中行軍遭難事件」にまつわる一連の怪異を収録。実話怪談の先駆者が放つ、選りすぐりの恐怖。
感想・レビュー・書評
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日常に起こる出来事とは思えないほど全ての話が怖かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヤバいはなしについては感想は書きません。
これは読んだだけで怖すぎるからなにか意見を書いたらあかんのちゃうかと思ってます。
いちばん興味をひかれたのは『大黒柱』で何でこんなに不可思議なことがおこるのか、小説みたいなはなし。生駒にそんな場所があるのか、めちゃくちゃ調べたくなる。そのマンションがどこにあるのか。もしかしたらもう廃墟マンションになっていてこないだ読んだモキュメンタリーホラーのマンションだったりしたら面白すぎる。
もうひとつ『持ちこまれたビデオ』これもほんまにヤバいはなし。サムイボがたちまくり!正直こういうのには遭遇したくないな。見えなくて感じなくて良かったです。しかし読むのは最高です!! -
有名な八甲田山と千日前の話、そして後日譚を読んでやはり触れてはいけない場所や話はあるのだと思いました。たとえ敬意を払っても。敬意と言えば「真夜中の宴会」は映像化してほしいファンタジー怪談。丁寧にお伺いを立てたから神様も許してくれたのだと思う。これがもしふざけていたらどうなっていたか。夜に読んでも大丈夫だなと読み進めていたらたまに怖い話が挟まれるので、読む時間にはお気をつけて。
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今回は短編集というよりも、何話かは続編が続いているという感じだった。いろいろ興味深いものがあったり、自分の知らなかった歴史に関係する怪談もあり面白かった。
コロナに関する話もでていたため、意外にも最近でた話なのかなぁと思いながら読んでいた。 -
特定の「怪談」が、連続して怪異を成す、という話は何度か耳にする。
古く有名なのは、徳川夢声氏を襲った「田中河内介」の怪異だろう。
凄まじい怪談会での変死事件にはじまり、不気味に徳川氏周辺を得体の知れないナニカがうごめく。
中山氏にとってはそれが八甲田山・青森第五連隊にまつわる話になるのだろう。
特定の話を語る際に起こる怪異は、単純に怖いながらも、「怪談を語る」を生業としている人間に確実にダメージを与えるような代物で、それを引き起こしているのがもし軍人ならば、なかなか敵?を心得ている、死後もなお凄まじさを感じる。
しかし、こういう怪異に見舞われながらも、話を封じず、リクエストがあれば語るあたり、中山氏も簡単には撤退しないという…むしろ、怪異があればあるほど語れるので、それを待っているというか。
怪談として怖いというのもあるが、中山氏と件の怪異を引き起こしているヌシとの攻防戦も思い起こさせて、なかなか面白いエピソードだった。
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日常で遭遇する恐怖をまとめた怪談実話集。
サブタイトル「市朗百物語」「市朗百物語 赤い顔」「禍々しい家」「四季異聞録」「黄泉からのメッセージ」「あの子はだあれ?」「黒いバス」「山の足音」に続く、怪談狩りシリーズ9。
八甲田山雪中行軍遭難事件など、歴史的な事件にまつわる一連の怪異の総括も収録する。
自分にもありうるような、また実在する場所や出来事からの怪異など、リアル感たっぷりでかなり怖かった。というか今も怖い。
サブタイトル「葬儀猫」を含む57話。
公園のおばさん
流行らない店
トンボ
リセットするよ
空き缶
ファミリー・プラン
絆創膏
葬儀猫
悪魔祓い
エクソシストのテーマ
百三十円
山の集団
感じのいい男
獣臭
面布
毒じゃ、毒じゃ
後日譚
怖い三階
娘のユキ
赤いマニキュア
オオサキケイスケ
赤信号
大黒柱
落ちる
アイヌの人形
常連の客
心霊本
早番
忍者レストラン
大毎地下名画鑑賞会
神隠し
祭
捜索
憑かれやすい体質
自分
持ち込まれたビデオ
真夜中の宴会
仏壇
付き添い
呼ぶ声
杣の山
杣の山・後日談
お骨仏
百年目の八甲田山
八甲田山怪談の背景
八甲田山怪談、取材のエピソード
八甲田山怪談の隠された真実
記録に残らない八甲田山の怪談
英霊からのメッセージ
録音スタジオの怪
壊れたパソコン
氷点下の怪談ライブ
五十年目の千日前
煙
もう、やめとけ!
ココア・パウダー
令和の千日前怪談 -
怖かった。
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初めて実話系の怪談を読んだのですが、これは作家さんが悪いわけではなく相性の問題で自分とは合わなかったです。読み進めていくと「新耳袋」の話題が出てきたので、子供の頃にお世話になった作家さんなんだなと感慨深くは思ったのですが。実話系の怪談は創作系の怪談とは違い起承転結はありません。なので、基本的にオチというものがない。それが実話系怪談として怖さを感じるという方には刺さる内容なのですが、元々創作畑にいる人間にはいまいち刺さりませんでした。
出版社公式アカウントの広報活動で「猫」を扱った本として紹介されていたのがきっかけで購入したためあまり内容を精査しておらず、このような感想を抱くに至りました。肝心の猫の話は自分でも知っているようなありきたりな伝承絡みで、「怖いか?」となってしまいましたし、ホラーにコロナを絡めてくるのも個人的にはいまいち。何より、実話系怪談であり、八甲田山関連は聞いたり話したりで怖いことになる、障りのある話だとしながらそれでもなお執拗に語ろうとするのもいまいち理解し難かったです。