デッドライン 上 (角川文庫 た 54-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043867011

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  • 内容(「BOOK」データベースより)
    第二次世界大戦末期、欧州戦線から米本国に帰還した日系二世のミノルは、世界発のコンピューター、「エニアック」の開発に参加する中、日本への原爆投下が間近であることを突き止める。母国にいる家族を守るため、一刻も早く「降伏」を促さなければならない。ミノルは、酒場で出会った日系人の踊り子エリイと共に、日本への密航を企てる。すべてを投げ捨て、アメリカ大陸を北に向かう二人。壮大な逃避行がはじまる―。

  • 「ジャップ」
    第二次世界大戦当時、日本はこのような蔑称で呼ばれていた。
    本書の主人公ミノル・タガワは移民の子供。
    日系二世。
    パールハーバーで開戦した日米戦争は、米国に移民した在米日本人社会に暗い影を落とした。
    その多くは収容所に隔離され、不自由な生活を送っていた。
    二世たちは、アメリカで確固たる地位を築くため、米国兵士として主にヨーロッパ戦線に従軍する。
    が、かえって人種差別の根深さを実感するのだった。

    ミノルも志願し戦場に赴任するが、そこで見たものは想像を絶するおぞましい世界。
    体のいたるところを負傷し、左目を失明して負傷兵として帰還する。
    心根が優しいミノルは、自暴自棄にならず、日系二世として一旗あげるためにアメリカで懸命に働く。
    今で言うコンピュータの技師として職を見つけるが、そこにあったのは、ジャップへの根強い差別。

    白人至上主義ともいうべきアメリカは、有色人種を徹底的に差別する。
    黒人は奴隷として差別し、先住民インディアンは、土地を取り上げ居留地に押し込める。
    軍事的価値、海獣の乱獲により振り回され続けたアラスカのエスキモー。
    ロシアとの緩衝地帯として蹂躙されたアリューシャン列島のアリュート。

    日本人に対しては、臆面もなく「黄色い猿」と呼び、ジャップはせいぜいが狡猾な猿か臆病などぶネズミみたいで、知性のかけらもない、とのたまう。

    結局、この技師としての仕事も辞めざるを得なくなった。
    その際ミノルは、開発していたコンピュータの目的が弾道計算や、原爆のためと知ってしまった。
    そして日本への原爆投下が間近であることを知ったミノルは、母国に帰国した家族を守るため、すべてを投げ捨て、日本への密航を企てる。

    ここから壮大な逃避行が始まった。。。

  • 最初に出てきた女性はどこへ? と首を傾げたくなる内容。
    そのうち女性は出てきましたが…主人公は男性、ですよね?
    途中で出てくる子供も、一体どういうつながりが? と思いましたが
    色々繋がっていきます。

    ここだけで終了すると、嘘から出た真、です。
    差別と偏見、そのせいで起こったような感じがしますが
    ちゃんと目的を果たす事ができるのか…。

    昔、日本以外にいた日本人はこんな感じだったのか? と
    ちょっと嫌な感じがします。
    白人は、どうしてこう己が一番、何でしょうか?
    選ばれた、と宗教で習っているせいなのでしょうか??

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